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2016年12月31日土曜日

1月6日(土):第234研究会

日時:2017年1月7 日(土)13時  *報告2つのため13時から研究会を開催します。

【報告①(サブ報告)13:00~14:50】
報告者:鈴木秀美(慶應義塾大学)
報告判例:2015年9月14日の第1法廷第3部会決定(1 BvR 857/15)
https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2015/09/rk20150914_1bvr085715.html

判例要旨
地裁判決の(個人情報が匿名化された)写しの新聞社への送付拒否を認めた上級行政裁判所決定によるプレスの自由侵害が認められた事件


【報告②(メイン報告)15:00~18:00】
報告者:石塚壮太郎(慶應義塾大学大学院博士課程)
報告判例:2016年5月31日の第1法廷判決(1 BvR 1585/13)
https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2016/05/rs20160531_1bvr158513.html

判例要旨
  1. 基本法5条3項1文で要請される芸術に対する特別の考慮は、著作権法上保護される諸対象の一部の借用を、芸術的表現および芸術的造形の手段として承認することを求める。利用方法をほんの少ししか制約しない、著作権または給付保護権(Leistungsschutzrecht)への介入が、この発展の自由と対置される場合には、権利保持者の利用利益は、芸術の自由に有利となるように、後退しなければならないこともありうる。
  2. 等価で後演されうる(gleichwertig nachspielbar)音源媒体のサンプルの使用を、一般的に音源媒体作成者の許諾にかからしめることを、財産の保護から導くことはできない。これが、芸術家の創作過程を十分に考慮していないからである。
  3. 専門裁判所によるEU法の適用の統制に際し、連邦憲法裁判所は、とりわけ専門裁判所が、欧州司法裁判所への呈示によって差し迫った基本権侵害を避けられたかどうか、そして基本法における基本権の絶対的な最低水準が確保されているかを審査する。

クリップボード@月報第244号

井上典之
『憲法の時間』(有斐閣、2016)

鈴木秀美=山田健太編著
『放送制度概論-新・放送法を読みとく』(商事法務、2017.1) *お正月明けに書店に並びます。
鈴木秀美 第2編第1章「放送法の構成」、第5章「日本放送協会」
西土彰一郎 第2編第2章「放送の自由」
杉原周治 第2編第8章「放送大学学園、放送番組アーカイブ、電波監理審議会権限強化案」
丸山敦裕 第2編第11章「国際放送・内外放送・要請放送」

トーマス・ヴュルテンベルガー著・畑尻剛編訳
『トーマス・ヴュルテンベルガー論文集・国家と憲法の正統化について』(中央大学出版部、2016年)
以下の会員の翻訳所収:工藤達朗、柴田憲司、古野豊秋、嶋崎健太郎、高橋雅人、石村修、山本悦夫、玉蟲由樹、斎藤一久、土屋武、太田航平、根森健、武市周作(掲載順)

片桐直人
「ドイツにおける政府提出法案の起草過程とその規律」川﨑政司・大沢秀介編『現代統治構造の動態と展望――法形成をめぐる政治と法』(尚学社、2016)186-208頁

浅川千尋
「EUの政治・経済統合と機構」天理大学EU研究会編『ドイツ統一から探るヨーロッパのゆくえ』(法律文化社、2016)60-76頁

高田倫子
【ドイツ憲法判例研究187】「裁判官及び検察官の俸給の合憲性[ドイツ連邦憲法裁判所第2法廷2015.5.5判決]」自治研究92巻12号(2016.12)123-131頁

中西優美子
【ドイツ憲法判例研究188】「EU欧州逮捕状の執行に関するアイデンティティコントロールの実施」自治研究93巻1号(2017年)112-121頁

畑尻剛
「憲法の規範力と憲法裁判所――ドイツの連邦憲法裁判所に対する世論調査を素材として」法学新報123巻5・6号(2016)731-757頁

12月3日(土):第233回研究会

日時:2016年12月3 日(土) 13時  *報告2つのため13時から研究会を開催します。

【メイン報告 13:00~15:50】
報告者:片桐直人(大阪大学)
報告判例:2016年6月21日の第2法廷判決(OMT合憲判決)
(2 BvR 2728/13, 2 BvR 2729/13, 2 BvR 2730/13, 2 BvR 2731/13, 2 BvE 13/13)
https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2016/06/rs20160621_2bvr272813.html
判例要旨
  1. 国民は、欧州統合プロセスにおいて民主的な影響力を行使する可能性を確保することに関して、基本的に、高権的諸権限の委譲が基本法23条1項2文並びに3文及び79条2項において基本法の定める範囲でのみ行われることを求める権利を有する。 
  2. EUの諸機関の行為が、自らに与えられた権限を踰越する場合には、基本法23条1項2文に基づいて同意法律によって定められた統合プログラムに違反するとともに、基本法20条2項1文が定める国民主権の原則に違反する。 
  3. 憲法機関は、自らに課せられた統合責任に基づき、EUの諸機関の行為が基本法の同一性を損ない、あるいは、与えられた権限を踰越する場合に、それに対抗する義務を負う。 
  4. 欧州中央銀行のOMT決定及びその将来の実効は、EU司法裁判所のEU法解釈によれば、権限踰越の行為ではなく、条約上禁じられた中央銀行による直接の財政援助に明らかに該当するとも言えない。ただし、OMTプログラムが権限踰越の行為ではないのは、EU司法裁判所が示した枠組みにとどまる限りにおいてであり、連邦銀行は、OMTプログラムがかかる枠内で行われている限りにおいて、OMTプログラムの実行に参加することができる。5.また、連邦政府と連邦議会は、その財政政策上の全体責任に基づき一定の義務を負っているが、OMTプログラムに反対する義務があるとはいえない。ただし、連邦政府と連邦議会は、将来のOMTプログラムの実行に対して継続的な監視をする義務を負う。 

【サブ報告 16:00~18:00】
報告者:松原有里(明治大学)
報告判例:2015年12月15日の第2法廷決定(2 BvL 1/12)
2015年12月15日の第2法廷決定(2 BvL 1/12)
https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2015/12/ls20151215_2bvl000112.html

判例要旨
  1. ドイツ連邦憲法裁判所法80条2項1文は、提示裁判所に想定しうるいかなる法解釈を推測することも義務づけてはいない。提示問題について判断をするためには、それが、明らかに根拠がない訳ではない限りにおいて、基本的に同裁判所の法解釈が基準となる。 
  2. ボン基本法59条2条1文は、条約が、別の特別なセービング・クローズ(=特典条項)の適用範囲、とりわけボン基本法の23条~25条の規定に該当しない限りにおいて、(ドイツ)国内法上、個別連邦法の順位に来る。 
  3. ボン基本法59条2項1文は、条約の解釈原理(後法は前法に優先するという原則)の効力を妨げない。後法の起草者は、-国民の総意という表現を選択することによって適した-基本法上に示されている前法の起草者の立法行為の範囲内で、これを修正することができる。 
  4. 国際法違反の条文の違憲性は、遡及的に、基本法の条文上書かれていない国際法に沿った(国内法の解釈・運用:筆者注)原則には根拠づけられない。同原則は、憲法の順位(Verfassungsrang)にあるものの、すべての国際公法上の規範の無制限の(=無条件の)遵守という憲法上の義務をも内包しているものではない。 
  5. 法治国家原則からは、国際公法上(限定的な)法律に対する優位もしくは後法は前法に優先する原則の制限は導き出されない。

クリップボード@月報第244号

石塚壮太郎「『生存権』の法的性質――主観的権利としての成立とその意義」法学政治学論究110号(2016)101-134頁

鈴木秀美
「メディアの公共性をめぐる制度と法」大石裕ほか編『メディアの公共性――転換期における公共放送』(慶應義塾大学出版会、2016.10)39-57頁

中西優美子
「EU欧州逮捕状枠組み決定の実施と基本権の保障」【EU法における先決裁定手続に関する研究】自治研究92巻11号(2016.11)113-124頁

前硲大志
「【ドイツ憲法判例研究186】法案審議合同協議会の作業部会への鏡像原則の妥当の有無[連邦憲法裁判所第二法廷2015.9.22判決]」自治研究92巻11号(2016.11)149-157頁

2016年10月25日火曜日

11月5日(土):第232回研究会+ロスナーゲル教授講演会

日時:2016年11月5 日(土) 13時

13時~15時45分:定例研究会
報告者:山中倫太郎(防衛大学)
報告判例:2015年9月23日第2法廷判決(2 BvE 6/1)
https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2015/09/es20150923_2bve000611.html
判決要旨

  1. 防衛憲法上の議会留保は、相互的安全保障システムの内部での、軍隊の武装出動に限定されるのではなく、一般的に、外国におけるドイツ軍人の武装出動に妥当し、これが戦争または戦争類似的な性格を有するか否かに関わりがない。
  2. 危険が差し迫っている場合には、連邦政府は、例外的に、軍隊の武装出動を、暫定的に、単独で議決する権限を有する。この場合には、連邦政府は、直ちに、議会に対して継続的な出動について付議しなくてはならず、連邦議会の要求があれば、軍隊を呼び戻さなくてはならない。
  3. この連邦政府の緊急決定権限の要件は、憲法裁判所によって完全に審査することができる。
  4. 危険が差し迫っている場合において連邦政府によって議決された出動は、事後的な議会への付議のもっとも早い時点で既に終了し、それゆえに、軍隊の具体的な使用に対して法的に重大な影響を及ぼすことがもはや不可能であるときは、防衛憲法上の議会留保は、連邦政府に、出動に関するドイツ連邦議会の決定を得ることを義務づけない。しかし、連邦政府は、連邦議会に、遅滞なく、かつ、特別に、その出動について報告しなくてはならない。


16時~18時30分:アレクサンダー・ロスナーゲル教授(カッセル大学)講演会
講演テーマ
Datenschutzgrundverordnung und ihr Verhältnis zum Recht der Mitgliedstaaten
通訳:寺田麻佑准教授(国際基督教大学)、笠原毅彦教授(桐蔭横浜大学)


懇親会のご案内+出席確認
 19時から専修大学近くでロスナーゲル先生と山中会員を囲んで懇親会を開催します。予め懇親会参加者の人数を確認する必要があります。懇親会に参加される方は、恐れ入りますが10月31日(月)までに武市会員宛にご連絡くださいますようお願いいたします。懇親会からのご参加でも結構です。

  • 会場:「蓮」東京都千代田区神田神保町2-12-3 安富ビル 1F(神保町駅 A4番出口 徒歩1分
    https://tabelog.com/tokyo/A1310/A131003/13173236/ 
  • 電話:080-3214-0310

クリップボード@月報第242号

初宿正典
『カール・シュミットと五人のユダヤ人法学者』(成文堂、2016年10月1日)

斎藤誠
「行政法関連法令における国際取極めの位置づけ――『国際的な基準』を中心に」小早川光郎先生古稀記念『現代行政法の構造と展開』(有斐閣、2016)

Kazuhiro Takii / Michael Wachutka (Hrsg.), Staatsverstännis in Japan. Ideen und Wirklichkeiten des japanischen Staates in der Moderne, Nomos-Verlag,Baden-Baden 2016. (Aufsätze von Nagao Ryuichi, Harald Kleinschmidt, Michael Wachutka, Takii Kazuhiro, Kokubun Noriko, Uemura Kazuhide, Shiyake Masanori)

鈴木秀美
「メディアの公共性をめぐる制度と法」大石裕ほか編『メディアの公共性――転換期における公共放送』(慶應義塾大学出版会、2016.10)39~57頁

三宅雄彦
「【ドイツ憲法判例研究185】法律による宗教団体への公法社団地位の付与」自治研究92巻10号(2016.10)125-132頁

宮地基
「ドイツ連邦憲法裁判所における平等審査の新傾向」明治学院大学法学研究101号『明治学院大学法学部創立50周年記念論文集 中巻 消費情報環境法学科』161頁

2016年9月27日火曜日

10月7日(金):第231回研究会

日時:2016年10 月7 日(金) 18時~20時 *公法学会第1日目の前夜です。

会場:専修大学法科大学院棟4階841教室(いつもとは異なる教室です。お気を付けください。)
 
報告者:村西良太(大阪大学)
 
報告判例:2014年12月16日の第2法廷判決(2 BvE 2/14)
 
判例要旨
  1. 政党に関する連邦大統領の発言および当該発言に対する連邦憲法裁判所の審査に適用される基準(Maßstäbe)は、連邦政府の閣僚の場合には準用できない。
  2. 閣僚職に在任中の者が政治的な争論に参画する場合には、当該閣僚職と結びついた財源や手段の利用を控えることが担保されなければならない。閣僚がその活動のために当該閣僚職の権威またはそれと結びついたリソースを特別に用いようとするとき、当該活動は中立性の要求に服することとなる。
 
 

10月7日(金):第231回研究会

日時:2016年10 月7 日(金) 18時~20時 *公法学会第1日目の前夜です。
 会場:専修大学法科大学院棟4階841教室(いつもとは異なる教室です。お気を付けください。)
 
報告者:村西良太(大阪大学)
 
報告判例:2014年12月16日の第2法廷判決(2 BvE 2/14)
 
判例要旨
  1. 政党に関する連邦大統領の発言および当該発言に対する連邦憲法裁判所の審査に適用される基準(Maßstäbe)は、連邦政府の閣僚の場合には準用できない。
  2. 閣僚職に在任中の者が政治的な争論に参画する場合には、当該閣僚職と結びついた財源や手段の利用を控えることが担保されなければならない。閣僚がその活動のために当該閣僚職の権威またはそれと結びついたリソースを特別に用いようとするとき、当該活動は中立性の要求に服することとなる。
 
 

クリップボード@月報第241号

土屋武
「【ドイツ憲法判例研究184】連邦選挙法6条1項一部違憲無効判決」自治研究92巻9号(2016.8)153-160頁

中西優美子
「EUから第三国への個人データ移転と欧州委員会のセーフ・ハーバー決定」自治研究92巻9号(2016.8)96-108頁

2016年8月29日月曜日

9月3日(土):第230回研究会

日時:2016年9月3 日(土) 13時
報告者①(メイン報告):中西優美子(一橋大学)
報告判例:2015年12月15日の第2法廷決定(2 BvR 2735/14)
https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2015/12/rs20151215_2bvr273514.html
判例要旨
  1. 連邦憲法裁判所は、アイデンティティコントロールを通じて基本法79条3項及び1条1項と結びついた23条1項3文に基づき不可欠な基本権保護を無条件にかつ個々の場合において保障する。
  2. アイデンティティコントロール実施のための厳格な前提条件は、しかるべき憲法異議における高められた許容性要件の中に反映される。
  3. 在罪性原則は、憲法アイデンティティに属する。それゆえ同原則は、不在のまま有罪判決を受けた者の刑事判決の執行のための引き渡しの際においても維持される。
  4. ドイツの高権機関は、他の国家による人間の尊厳の違反の片棒を担ぐことは許されない。在罪性原則の尊重に関して裁判所が実施しなければならない捜査の範囲と程度は、基本法1条1項により要請される最小限の基準を下回っているとする、有罪判決を受けた者の主張の根拠の性質と重大性による。


報告者②(サブ報告):カール=フリードリッヒ・レンツ(青山学院大学)
報告判例:2015年6月23日の第1法廷決定(1 BvL 13/11. 14/11)
https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2015/06/ls20150623_1bvl001311.html
判例要旨
土地登記免許税法8条2項は違憲
  1. 連邦憲法裁判所が、ある法規が憲法3条1項と両立しないことを確認した上に、当該法規が一定の期間中に妥当し続けることを命令した場合、憲法100条1項に基づく裁判所による付託が継続妥当期間についても排除されない。但し、当該規定が別な規制関係のものであることが条件である。
  2. 納税義務者の平等負担のため、課税される財産について、その価値を現実的に把握するための評価基準が必要である。
  3. 立法者が通常課税基準と並んで特別課税基準の妥当を命令した場合、負担平等の原則(憲法3条)を遵守するために、当該特別評価基準の結果が通常評価基準と概ね近いものでなければならない。土地登記免許税法8条2項(評価法138条以下と関連して)は、この要求を満たしていない。

クリップボード@月報第240号

小山剛
『「憲法上の権利」の作法〔第3版〕』(尚学社、2016.8)

古野豊秋
『違憲の憲法理論と解釈』(尚学社、2016.7)

岩間昭道
「憲法九条についての若干の考察」千葉大学法学論集31巻1号(2016.7)
栗島智明
Eine unantastbare Verfassung? – Vom Sinn und Unsinn der Debatte um Verfassungsänderung in Japan
https://www.juwiss.de/69-2016/
 *“Junge Wissenschaft im öffentlichen Recht“というブログに2016年8月11日付で上記の記事が掲載されました。

片桐直人
「財政・会計・予算――財政法の基礎を巡る一考察」法律時報88巻9号(2016.7)

三宅雄彦
「学長時代のスメント:ゲッティンゲン大学戦後史の一断面」早稲田法学91巻3号(浦川道太郎先生退職記念号)(2016.6)103-135頁

カール=フリードリッヒ・レンツ
【ドイツ憲法判例研究183】「相続税法に関する違憲判決[ドイツ連邦憲法裁判所2014.12.17判決]  自治研究92巻7号(2016.6)154-162頁


 月報クリップボードに掲載すべき情報をご存じの方は、月報発送担当までお知らせください。

2016年6月23日木曜日

7月2日(土):第229回研究会@大阪大学豊中キャンパス

日時:2016年7 月2 日(土) 14時

会場大阪大学豊中キャンパス「待兼山会館」2F 会議室
キャンパス・マップ (80番の建物)http://www.osaka-u.ac.jp/ja/access/toyonaka/toyonaka.html

報告者:高田倫子(中京大学)

報告判例:2015年5月5日の第2法廷決定(2 BvL 17/09)
https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2015/05/ls20150505_2bvl001709.html

判例要旨

  1. 基本法33条5項から生じる裁判官及び検察官の職務に適合した扶養の義務の実践的転換における立法者の広範な決定余地には、憲法裁判所による単純法律の規定の控えめな、明白な不合理性の基準に限定されたコントロールが相応しい。収入が明白に不十分であるか否かは、様々な基準の総合的考察に基づいて、具体的に問題となる比較グループを考慮して審査されねばならない。
  2. この総合的考察の枠内において容易に思いつくのは、扶養原理から導出可能であり、かつ、国民経済学的に跡付け可能なパラメーターを用いて、原則として憲法に合致した扶養構造及び扶養水準の形成のための、数値によって具体化された方針枠組みを確定することである。
  3. それに適しているのは、連邦憲法裁判所の扶養原理に関する判例において構想され、憲法上その義務を負わされている扶養水準の確定に際して徴憑としての意味がある、5つのパラメーターである(一方における俸給変動と、他方における公務における協約賃金、名目賃金指数、及び、消費者物価指数の変動との顕著な差、制度内在的な俸給の比較、並びに、連邦及び他のラントの俸給との横断的比較)。これらのパラメーターの過半数が充足されているときに(第1審査段階)、憲法違反の扶養の過少に関する推定が存在する。この推定は、扶養に関連する更に別の諸基準を考慮することによって、総合的衡量の枠内において反証されることもあれば、その正しさが更に強化されることもある(第2審査段階)。
  4. 総合的考察によって、不十分であるとして攻撃された扶養が、原則として憲法違反の扶養の過小であると評価されねばならないことが明らかになるとき、それが例外的事例において憲法上正当化され得るか否かの審査が必要である。職務に適合した扶養の原則は、基本法33条5項の伝統的諸原則と結び付いた制度的保障の一部である。この原則が、他の憲法上の価値決定又は制度と衝突する限りにおいて、それは実践的整合性の原則に従い、衡量の方法において慎重に調整されねばならない(第3審査段階)。憲法的地位を有するのは、とりわけ基本法109条3項1文における新規債務負担の禁止である。
  5. 憲法上要求される最低限の扶養を越えて、裁判官又は検察官の扶養は、相対的な規範存続保護を享受する。ここで、立法者は、収入の削減又はその他の切り込みを、それが合理的理由に基づいて正当化されているときには、行うことが許される。
  6. 立法者による俸給の高さの確定は、手続的諸要求の遵守と結び付いている。これらの要求は、とりわけ理由付け義務の形態において、立法者に向けられている。


 研究会終了後、阪急「石橋駅」そば居酒屋にて開催予定の懇親会について、予め参加人数を把握いたしたく存じます。懇親会に参加される会員は、6月30日までに武市までご連絡ください。

クリップボード@月報第239号

松井茂記『スターバックスでラテを飲みながら憲法を考える』(有斐閣、2016.5)

  • 赤坂正浩「『全国民の代表』とは何か――国会議員の地位」
  • 棟居快行「Short, Tall, Grande, or Venti?」
  • 笹田栄司「裁判のことを知っていますか?――『裁判の公開』原則は裁判情報を伝達する役割を果たしているか」


實原隆志
【ドイツ憲法判例研究182】「女性の内密領域の保護と裁判所による法の継続形成の限界」自治研究92巻6号(2016.6)142-149頁

鈴木秀美
「放送事業者の表現の自由と視聴者の知る権利――番組編集準則を読みとく」法学セミナー738号(2016.6)24-28 頁

水島朝穂
「日独における『特別の道』(Sonderweg)からの離陸―1994年7月と2014年7月」ドイツ研究50号(2016.5)7-19頁

渡辺康行
「憲法学からみた最高裁判所裁判官14 リベラルなタカ:団藤重光」法律時報1100号(2016.5)84-89頁

2016年5月28日土曜日

6月4日(土):第228回研究会(2016/06/01追記)

日時:2016年6月4日(土) 14時

場所:法科大学院棟3階835教室(6月からこの教室に変更します)

報告者:難波岳穂(日本大学大学院)

報告判例:2014年6月24 日の第1法廷決定(1 BvR 2926/13)
http://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2014/06/rs20140624_1bvr292613.html

判例要旨
  1. 基本法6条1項に基づく家族の保護には、近親者間における家族的結び付き、とりわけ、祖父母とその孫からなる家族関係を含む。 
  2. 基本権的保護には、後見人(Vormund)ないし補充保護人(Ergänzungspfleger)を選定するための裁判において考慮対象となる、近親者の権利を含む。第三者の選定によって、子どもの福祉(das Wohl des Kindes)がより有益となるように、個々の場合において具体的な認定が行われた場合を除いて、近親者らは親族以外の者(nichit verwandten Personen)に対し優越するべきである。
  3. 連邦憲法裁判所は、選任裁判(Auswahlentscheidung)が、BGB1779条に基づく一般原則について、すなわち、それが近親者の基本権の意味に関する根本的に誤った考え方(Auffassung)に基づいているという解釈上の誤り(Auslegungsfehler)を示しているかについて、再審査する。

クリップボード@月報第238号

赤坂正浩
「ドイツにおける『立憲主義』」法学教室428号(2016.4)23頁

笹田栄司
「砂川事件最高裁判決――政治と法の狭間に漂う最高裁」論究ジュリスト17号(2016.4)26頁

高田篤
「ポツダム宣言の受諾――憲法的断絶について語られたことの意義と射程」論究ジュリスト17号(2016.4)18頁
「憲法の論じ方――カール・シュミットの緊急事態の論じ方を例に」文明と哲学8号(2016.3)155頁

西土彰一郎
「番組編集準則は何を要請しているか――「国家からの自由」と「国家による自由」のあいだで」世界2016年5月号(2016.5)73頁

林知更
『現代憲法学の位相ー国家論・デモクラシー・立憲主義』(岩波書店)

春名麻季
【ドイツ憲法判例研究181】「生活パートナーシップ関係の下での継養子の可否」自治研究92巻5号(2016.5)146頁

三宅雄彦
「スメントの後任問題―一九五一年の国法講座と統合理論の継承」文明と哲学8号(2016.3)166頁

Jahrbuch des Öffentlichen Rechts der Gegenwart, Band 64(2016) 所収
  • Toru Mori, Die Rolle von Verfassungsrecht bei Rawls, Habermas und in Japan, S. 795 ff.
  • Hiroshi Nishihara, Zwischen Staatsabhaengigkeit und Repraesentationsdefizit--Warum akzeptieren viele Japaner die antifreiheitliche Verfassungsreform der LDP?, S. 815 ff.
 
 

2016年4月25日月曜日

5月6日(金):第227回研究会

日時2016年5月6日(金)18時~20時  *全国憲の前夜

会場:中京大学名古屋キャンパス11号館(本部棟)8階第1会議室
(名古屋市営地下鉄「八事」駅5番出口より徒歩1分)
・交通アクセス http://www.chukyo-u.ac.jp/information/access/h1.html
・キャンパスマップ http://www.chukyo-u.ac.jp/information/facility/g1.html
(⑪の建物です)*会議室は、17時から予約しています。

報告者:高橋雅人(拓殖大学)

報告判例:2015年5月12日第1法廷決定(BvR1501/13, 1682/13)
判例要旨
  1. 基本法5条3項1文の学問の自由の基本権は、2大学合併法律の実施における、大学、学部または個々の研究者の参加権を根拠づけるものではない。
  2. 大学合併において管理機関の国家による設置は、次の場合に、学問に適する組織という基本法の要請をいよいよ充足しなくなる。この管理が大学の自治機関抜きに長期に行われれば行われる場合、そして、その権能が可逆的決定のための緊急権限に限定されなければされない場合に。


*5月6日の研究会終了後、以下のように懇親会を開催します。会場の「つくね屋」は鶏料理のお店です。会場予約の関係で、ご出席くださる方は遅くとも5月4日(水)正午までに武市会員へご連絡ください。懇親会のみの参加も歓迎いたします。お店は鈴木代表の名前で予約しています。研究会参加者は、中京大学そば「八事」駅から鶴舞線で「伏見」駅へ移動する予定です。
 
時間:2016年5月6日20時30分より(研究会は20時終了の予定)
 
会場:つくね屋 住吉店(名古屋市中区栄3-9-31)
電話:050-5787-8103
会費:5,000円(予定)
 
アクセス:地下鉄鶴舞線・東山線「伏見」駅4番出口から徒歩5分
地下鉄東山線「栄」駅8番出口から徒歩5分
名鉄瀬戸線 栄町駅 8番出口 徒歩5分

クリップボード@月報第237号

渡辺康行・宍戸常寿・松本和彦工藤達朗
『憲法Ⅰ 基本権』(日本評論社、2016年)

赤坂幸一
「【講演】クリスチャン・ヴァルトホフ「近年のドイツにおける議会法の展開――『加重された大連立qualifizierte Große Koalition』を踏まえて」法政研究82巻4号(2016年)

鈴木秀美
「メディアと政治と『表現の自由』-英独との比較の中で、高市『停波』発言問題を考える」(聞き手:門奈直樹)マスコミ市民567号(2016年)24-37頁

平松毅
History and Background of the Administrative Counselor of Japan, VARIA 63(E), S.3-17
「Der Einfluss der Japanischen Lokalen Verwaltungsberater auf den Ombudsmann」大東ロージャーナル5号(2009.3)45-77頁
「オンブズマン研究の最近の動向・管見」季刊行政相談139号(2013)38-43頁
「現代の政策諸課題――スイスとドイツの憲法から学ぶ」法政論叢52巻1号(2016.2)219-230頁

三宅雄彦
【ドイツ憲法判例研究(180)】「待機期間延長による官吏恩給の減額[連邦憲法裁判所第二法廷2007.3.20決定]」自治研究92巻4号(2016.4)150-157頁

2016年3月23日水曜日

4月2日(土):第226回研究会

日時:2016年4月2日(土) 14時

会場専修大学法科大学院棟3階835教室 ※いつもと異なる教室です。\

報告者:三宅雄彦(埼玉大学)

報告判例:2015年6月30日の第2法廷決定(2 BvR 1282/11)https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2015/06/rs20150630_2bvr128211.html
 
判決要旨
  1. 基本法4条1項及び2項並びにワイマール憲法137条5項2文と結びついた基本法140条による公法社団の地位の付与を請求するための要件の審査は、諸ラントが行う。社団地位の付与により諸ラントが執行するのは、基本法83条の意味での連邦法律ではなく、ラント法である。
  2. 基本法4条1項及び2項並びにワイマール憲法137条5項2文と結びついた基本法140条による請求の要件について個別になされる審査を議会的立法者に委ねると規律されている場合、その規律は権力分立の原則に違反する(基本法20条2項2文)。この原則により、個別事件での実効的な権利保護を求める、基本権として保護された権利が、間接的に保障されている。
 

クリップボード@月報第236号

高田敏・初宿正典
『ドイツ憲法集〔第7版〕』(信山社、2016年)

赤坂幸一
「最若年の最高裁オリジナル・メンバー 河村又介」法律時報88巻3号(2016.2)95-100頁
【ドイツ憲法判例研究179】「ハルツⅣ改革と自治権の保障」自治研究92巻3号(2016.3)143-151頁

石村修
「憲法尊重擁護義務・再論」専修法学論集126号

Tsuyoshi HATAJIRI
Material : Beschluss des Obersten Gerichtshofes zu Art.900 Nr.4 des japanischen Zivilgesetzes, 比較法雑誌43巻3号(2015)107-124頁

松井茂記・鈴木秀美・山口いつ子編著『インターネット法』(有斐閣、2015年12月)
  • 鈴木秀美「5章 インターネット上での青少年保護」
  • 西土彰一郎「12章 サービス・プロバイダーの責任と発信者開示」
 
鈴木秀美
「『忘れられる権利』と表現の自由-ドイ通常裁判所の判例を手がかりに」慶應義塾大学メディア・コミュニケーション研究所紀要66号(2016)15-30頁
 
 

2016年3月1日火曜日

3月5日(土):第225回研究会

日時:2016年3月5日(土) 14時

報告者:前硲大志(大阪大学大学院)

報告判例:2015年9月22日の第2法廷判決
(Urteil des Zweiten Senats vom 22. September 2015 -2 BvE 1/11-)
http://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2015/09/es20150922_2bve000111.html

判例要旨:議会と委員会の鏡像原則は、調整委員会の作業部会には妥当しない。このことは、当該作業部会の設置が委員会の正式な議決によるか非公式な決定によるかに左右されない。

クリップボード@月報第235号

大岩慎太郎
【ドイツ憲法判例研究178】「追加選挙と本選挙の暫定的な選挙結果公表による情報格差の合憲性」自治研究92巻2号(2016.2)151-158頁

太田航平
「憲法理論と憲法教義学の関係―M. イェシュテットの論稿を手がかりに―」青森中央学院大学研究紀要24号(2015年)15-25頁

片桐直人
「日本国憲法研究第18回 中央銀行論 [基調報告]日本国憲法の下における中央銀行制度の位置づけとそのデザイン」論究ジュリスト16号(2016.2)140-148頁

Atsushi Takada,
Die Eigenschaften der deutschen Staatsrechtslehre und ihre kuenftigen Herausforderung, in: Christoph Schoenberger, Der "German Approach", 2015, S. 55 ff.

土屋武
【ドイツ憲法判例研究177】「ヴンジーデル決定」自治研究92巻1号(2016.1)144-151頁

ルドルフ・メリングホフ/松原有里
「租税徴収手続と租税刑事手続の原則と限界(1)」自治研究92巻2号(2016.2)75-91頁