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2023年8月26日土曜日

第299回研究会

日時:2023年9月2日(土)13時~18時 *2名の報告があります。開始・終了時間にご注意下さい

会場:日本大学法学部本館171講堂

報告者①:棟久敬(秋田大学) 13時~15時30分(予定)

報告判例:連邦憲法裁判所2021年11月19日第一法廷決定(1 BvR 971/21, 1 BVR 1069/21)https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2021/11/rs20211119_1bvr097121.html

判決要旨

1. 基本法7条1項と結びついた2条1項から、共同体においても自らの責任を自覚した人格への発展を学校教育により支援及び促進する子ども及び青少年の国家に対する権利(学校教育への権利)が導き出される。

2. 学校教育への権利は異なった保障の側面を含む。

a) この権利は、自らの責任を自覚した人格を等しい機会のもとで発展させるために不可欠な最低限度の教育を提供するよう順守を求める権利を子ども及び青少年に与えるものではあるが、国家の学校の特定の形態に対する元来の給付請求権を含むものではない。

b) さらに、学校教育への権利からは、現存の学校制度の枠内で国家による教育の提供への平等なアクセスへの権利が導き出される。

c) 学校教育への権利は、現在開放され維持されている学校が提供する教育を、基本法7条1項の形成において作り出された学校制度そのものを変更することなく制限する措置に対する防御権をも含む。

3. 学校での対面授業が主に感染症を撲滅するという理由で長期間行われない場合、ラントは基本法7条1項により、子ども及び青少年の人格の発展のために不可欠な最低限度の学校教育を可能な限り保持するよう義務づけられる。ラントは、対面授業が禁止されている際には可能な限り遠隔授業を行うよう配慮しなければならない。

4. コロナパンデミックのように長期間にわたり危険な状況が継続している際には、立法者は、危機を撲滅するためにとられる負担をかける措置が長期にわたって持続するほど、その決定をより支える評価を基礎としなければならない。しかし、国家は結局のところ、身体や生命にとっての大きな危険を甘受することはない。というのも、国家は、こうした危険を防止するための自由にとって寛大な選択肢が探究されてきたことに十分には寄与してこなかったからである。

5. 基本法104a条4項所定の連邦参議会の同意権を発動させる、第三者に対する金銭給付、金銭価値のある現物給付またはそれに匹敵する役務給付をなすべきラントの連邦法律上の義務が存在するのは、法律が客観的な規制内容により、第三者に国家給付により個別の利益を得させることを目指す場合のみである。


報告者②:平良小百合(一橋大学) 15時30分~18時(予定)

報告判例:2022年12月14日第2法廷決定2 BvL7/13, 2 BvL 18/14 - Vororganschaftliche Mehrabführungen (機関関係制度以前の超過供出)https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2022/12/ls20221214_2bvl000713.html

判決要旨
2004年12月9日の国税法におけるEU指令の実施及びその他の諸規定の改正のための法律(BGBl.ⅠSeite 3310)の形式における法人税法34条1項及び9項4号は、それらの規定が、2004年12月9日の国税法におけるEU指令の実施及びその他の諸規定の改正のための法律(BGBl.ⅠSeite 3310)の形式における法人税法14条3項を機関会社に以下に関して適用する限りで、基本法2条1項と結びついた20条3項の信頼保護原則に違反しており無効である。

1. 2003年3月5日から2004年8月13日の間に締結された利益供出契約に基づいて2007年1月1日以前になされた機関会社から機関主体への超過供出、

2. 2003年3月5日以前に締結された利益供出契約に基づいて、

a) 2003年3月4日以降の利益供与契約が遅くとも2003年12月31日までに解約告知を認められていた場合に2004年に終了する会計年度末になされた機関会社から機関主体への超過供出、

b) 2003年3月4日以降の利益供出契約が遅くとも2004年12月31日までに解約告知を認められていた場合に2005年にはじめて終了する会計年度末になされた機関会社から機関主体への超過供出、

c) 2004年12月16日以前に終了する会計年度末になされた機関会社から機関主体への超過供出。

その時々の超過供出や関連する賦課期間におけるそれぞれの超過供出の合計によって2004年12月9日の国税法におけるEU指令の実施及びその他の諸規定の改正のための法律(BGBl.ⅠSeite 3310)の形式における法人税法37条2項1文に従って引き起こされる法人税の引き下げを上回って、その時々の超過供出や関連する賦課期間におけるそれぞれの超過供出の合計によって、2003年5月16日の税優遇措置及び例外規定の縮小に関する法律の形式における法人税法38条2項に基づく法人税の引き上げが、引き起こされる限りで。


クリップボード@月報第310号

石村修・稲正樹・植野妙実子・永山茂樹編『世界と日本のCOVIDー19対応』(敬文堂、2023年7月)

  • 石村修「ドイツにおけるCOVIDー19」
  • 根森健「日本のコロナ対策立法と立憲主義」

※月報に記載漏れがございましたことお詫び申し上げます。次号で改めてお知らせ申し上げます。

工藤達朗・小山剛・武市周作編『憲法裁判の制度と実践』(尚学社、20023年7月)

  • 工藤達朗「憲法と憲法裁判」
  • 川又伸彦「憲法異議の起源について」
  • 永田秀樹「憲法適合的解釈・合憲限定解釈」
  • 三宅雄彦「憲法裁判の制度-欧州司法裁判所・欧州人権裁判所との関係」
  • 高橋雅人「司法による執政の統制の限界-ドイツにおける近年の動向から」
  • 太田航平「裁判所による憲法改正審査-ドイツ基本法146条解釈を手がかりに」
  • 嶋崎健太郎「基本権の裁判的実現-基本法1条1項(人間の尊厳)」
  • 武市周作「第1次・第2次堕胎判決と基本権保護義務-2つの堕胎判決前・後の学説・判例の展開と刑法典における妊娠中絶関連規制の流れ」
  • 毛利透「意見表明の自由判例の原点と現状」
  • 徳本広孝「ベルリン科学アカデミー解散法の公法学的検討」
  • 岡田俊幸「集会の自由-ブロックドルフ決定とその後の判例の展開」
  • 石村修「ドイツの安全論と憲法裁判所の判断-基本法10条・13条と関連して」
  • 小山剛「連邦憲法裁判所における萎縮効果論」

 

大西楠テア「出入国管理体制から考えるコロナ後の法学」法律時報95巻9号(2023年7月)

神橋一彦「行政法ポイント判例研究/金沢市庁舎前広場事件(第2次訴訟)判決― 最(三小)判令和5年2月21日裁判所ウェッブサイト掲載判例」行政法研究50号(2023年6月)259-287頁

神橋一彦「憲法と行政法の交差点【第18回】行政法における比例原則」法学セミナー824号(2023年8月)

斎藤誠「海上保安庁と自衛隊の海上警備行動における連携―国内法的側面」奥脇直也・坂元茂樹編『海上保安法制の現状と展開 多様化する海上保安任務』(有斐閣、2023年7月)244-268頁

渡辺康行「個別意見から見る最高裁判所裁判官—第一次夫婦同氏制違憲訴訟判決における寺田を素材として」現代思想2023年8月号(2023年7月)

自治研究99巻7号(2023年6月)

  • 初宿正典・櫻井智章訳「ドイツのラント憲法:バイエルン共和国憲法(1)」
  • 中西優美子「EUにおける一事不再理(ne bis in idem)原則と相互信頼(V(7))【EU法における先決裁定手続に関する研究】」
  • 松原光宏「【ドイツ憲法判例研究266】連邦非常ブレーキ決定I(Bundesnotbremse I)」

自治研究99巻8号(2023年7月)

  • 阿部泰隆「司法改革失敗の原因と司法の蘇生策(1)」
  • 初宿正典・櫻井智章訳「ドイツのラント憲法:バイエルン共和国憲法(2・完)」
  • 日野田浩行「【ドイツ憲法判例研究267】『ベルリン住居賃料制限法』決定」