● 日時: 2020年1月9日(土)14時~17時
● 会場: Web会議システム「Zoom」を使用して開催します(詳細は月報をご覧ください)
● 報告者: 玉蟲由樹(日本大学)
● 報告判例: 2020年2月26日の第2法廷決定(2 BvR 2347/15ほか、自殺幇助に関する判決)
https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2020/02/rs20200226_2bvr234715.html
● コメンテーター:實原隆志(福岡大学)
➣ 決定要旨:
1. a) 一般的人格権(基本法1条1項と結びついた基本法2条1項)は、個人の自律の表現として自己決定にもとづく死の権利を含む。
b) 自己決定にもとづく死の権利は、自殺する自由を含む。QOLおよび自己の存在の意味づけに関する本人の理解に応じて個人が自らの生命を終わらせようと決めることは、出発点において自律的自己決定の行為として国家および社会によって尊重されるべきものである。
c) 自殺する自由は、第三者に助けを求め、それが提供される限りにおいて援助を要求する自由をも含む。
2. 間接的ないし事実上の効力をもつ国家の措置も基本権を侵害しうるものであり、それゆえに憲法によって十分に正当化されなければならない。刑法典217条1項における業務上の自殺援助の刑罰を伴った禁止は、自殺志願者に対して、その者によって選択され、業務上提供された自殺ほう助を要求することを事実上不可能なものとしている。
3. a) 業務上の自殺援助の禁止は、厳格な比例原則を基準として審査されなければならない。
b) 要求可能性審査に際しては、人の助けを借りた自殺の規律がさまざまな憲法上の保護の視角間での緊張関係のなかにあるということが考慮されねばならない。自己責任のもとで自己の生命を終わらせることを決断し、そのために援助を求める者がもつ原則的な、自己の生命の終わりをも包括する自己決定権は、自殺志願者の自律と、ひいては生命という高次の法益を保護する国家の義務と対立する。
4. 憲法が自律と生命に承認する高次のランクづけは、原則として、刑法という手段を用いてでもそれらに対して実効的な予防的保護を行うことを正当化するにふさわしいものである。法秩序が自律を危険に晒すような自殺援助の形態を処罰することを定める場合には、法秩序は、かかる禁止にもかかわらず、個別ケースにおいて自由意思で提供される自殺ほう助へのアクセスが現実に可能となっていることを確保していなければならない。
5. 刑法217条1項での業務上の自殺援助の禁止は、人の助けを借りて行われる自殺の可能性を、個人に対して現実にはその憲法上保護された自由の保障の余地をほとんど残さないような範囲に限定している。
6. 何人も、自殺援助をすることを義務づけられることはありえない。
● 会場: Web会議システム「Zoom」を使用して開催します(詳細は月報をご覧ください)
● 報告者: 玉蟲由樹(日本大学)
● 報告判例: 2020年2月26日の第2法廷決定(2 BvR 2347/15ほか、自殺幇助に関する判決)
https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2020/02/rs20200226_2bvr234715.html
● コメンテーター:實原隆志(福岡大学)
➣ 決定要旨:
1. a) 一般的人格権(基本法1条1項と結びついた基本法2条1項)は、個人の自律の表現として自己決定にもとづく死の権利を含む。
b) 自己決定にもとづく死の権利は、自殺する自由を含む。QOLおよび自己の存在の意味づけに関する本人の理解に応じて個人が自らの生命を終わらせようと決めることは、出発点において自律的自己決定の行為として国家および社会によって尊重されるべきものである。
c) 自殺する自由は、第三者に助けを求め、それが提供される限りにおいて援助を要求する自由をも含む。
2. 間接的ないし事実上の効力をもつ国家の措置も基本権を侵害しうるものであり、それゆえに憲法によって十分に正当化されなければならない。刑法典217条1項における業務上の自殺援助の刑罰を伴った禁止は、自殺志願者に対して、その者によって選択され、業務上提供された自殺ほう助を要求することを事実上不可能なものとしている。
3. a) 業務上の自殺援助の禁止は、厳格な比例原則を基準として審査されなければならない。
b) 要求可能性審査に際しては、人の助けを借りた自殺の規律がさまざまな憲法上の保護の視角間での緊張関係のなかにあるということが考慮されねばならない。自己責任のもとで自己の生命を終わらせることを決断し、そのために援助を求める者がもつ原則的な、自己の生命の終わりをも包括する自己決定権は、自殺志願者の自律と、ひいては生命という高次の法益を保護する国家の義務と対立する。
4. 憲法が自律と生命に承認する高次のランクづけは、原則として、刑法という手段を用いてでもそれらに対して実効的な予防的保護を行うことを正当化するにふさわしいものである。法秩序が自律を危険に晒すような自殺援助の形態を処罰することを定める場合には、法秩序は、かかる禁止にもかかわらず、個別ケースにおいて自由意思で提供される自殺ほう助へのアクセスが現実に可能となっていることを確保していなければならない。
5. 刑法217条1項での業務上の自殺援助の禁止は、人の助けを借りて行われる自殺の可能性を、個人に対して現実にはその憲法上保護された自由の保障の余地をほとんど残さないような範囲に限定している。
6. 何人も、自殺援助をすることを義務づけられることはありえない。