連絡事項

月報クリップボードに掲載すべき情報をご存じの方は、運営委員・月報担当までご連絡ください。

所属先の変更等で、メールアドレスに変更がある場合には、速やかに運営委員・月報担当までご連絡下さい。

月報メールが戻ってくるアドレスがいくつかあります。研究会前にもかかわらず月報が届かないという方は急ぎご連絡ください。



2015年10月25日日曜日

日時:2015年11月7日(土) 14時
報告者:カール=フリードリッヒ・レンツ(青山学院大学)
報告判例:2014年12月17日の第1法廷判決(1 BvL 21/12)
http://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2014/12/ls20141217_1bvl002112.html

判例要旨 ※判決全文訳については、http://k-lenz.de/betrieb をご参照ください。
  1. 自己の租税法関係に影響しない租税法上の規定が、第三者を平等に反する形で遇する場合、納税者が憲法3条1項に基づいて違憲審査を請求できない。但し、当該優遇により、当該租税の平等負担に全面的な疑問が生じる場合、その限りでない。
  2. 憲法72条2項の意味で「国家全体の利益で必要」とは、当該規定が法律・経済統一のために不可欠である場合に限らない。連邦立法者が法律・経済統一についての問題が生じる展開を予測できる場合でも、充分である。憲法72条2項の要件が備えているか否かについて、連邦憲法裁判所が審査する。その際、立法者が連邦規制の許される目的および国家全体の利益のための必要性について、判断の優先権を有する。
  3. 平等原理は、租税立法者に幅広い判断余地を残す。租税対象の選定の際でも、税率を定める際でも、その判断余地が残る。負担について一度決定した後に、その決定からの例外は、平等原理の基準で審査される(租税法上の基本構成に一貫性を有する形成を加える義務)。このような例外には正当化理由が必要となる。例外の範囲と程度が増加すれば増加するほど、正当化理由に対する要求も増加する。
  4. 相続税法第13a・第13b条による企業財産の相続における相続税の特例は、その程度および可能となる迂回を配慮して、憲法3条1項を侵害する。
    (a) 但し、個人的な責任で指揮されている中小企業について、その存続の保障および職場の維持を目的として相続税から完全にまたはほとんど免除することも、立法者の判断余地内である。租税免除のどの程度についても、立法者は適切な正当化理由を必要とする。
    (b) しかし、必要性の検討なく当該免除が中小企業の領域を超えている限り、企業財産の無償獲得の優遇は、正当性の原則に反する。
    (c) 給料総計規制は原則として合憲である。但し、従業員20名以下の企業について給料最低基準を適用しないことは、これらの企業に関する取得を相当性の原則に反する形で優遇する。
    (d) 「管理財産」に関する規定は、憲法3条と両立しない。優遇財産の50%以下が「管理財産」であっても無制限に免除しているが、そのために適切な正当化理由がないからである。
  5. ある租税立法が、目的とされていない上に平等基準で正当化できない租税免除を確保できる形成を可能とする場合、違憲である。