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2025年5月5日月曜日

第315回研究会

 日時:2025 年 5 月 10 日(土)14 時~17 時

• 会場:日本大学法学部 141 講堂(本館4階)

• 報告者:安原陽平(獨協大学)

• 報告判例:2024 年 9 月 23 日の第1法廷決定(1 BvL 9/21 – Bundesausbildungs-förderungsgesetz)

https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2024/09/ls20240923_1bvl000921.html

• 決定要旨:

1.社会国家原理(基本法 20 条 1 項)と結びついた基本法1条 1 項に基づく生存を保障するための給付に対する請求権は、自ら生存を確保できる状況にない者の人間の尊厳に値する生存を保障し、そしてそのために絶対に必要な手段に限定される。当該請求権は、基本法 12 条 1 項に基づき保障される大学での学びの実現といった特定の基本権的自由の行使が不可能となったとしても、生存を保障できる就労の開始により貧困が解消しうるあるいは避けられうる場合には、認められない。

2.基本法3条 1 項と結びついた基本法 12 条 1 項から生じる、国立大学での学びへ平等に参加する大学入学有資格者の権利は、実際に提供される教育訓練の収容能力を平等的観点から見て公正に配分することを保障する。しかしこの権利は、社会的関係から負わされている大学進学に対する障壁を除去するための国家的給付請求権を含むものではない。

3.a)財政的手段の限界ゆえに多様な任務の必要な優先付けがなされる際、民主政原理および権力分立原則(基本法 20 条 2 項、3 項)に基づき立法者に認められる幅広い形成の余地を鑑みると、社会国家原理から社会的不平等の除去のための国家的給付への主観的権利は原則的に導かれない。

b)資産のない大学入学有資格者の大学での学びを可能にすることは、他の社会的需要との関係で、社会国家原理と結びついた基本法 12 条 1 項に対応した給付請求権の承認を通じて、例外的に必要な手段を民主的に正統化された立法者による配分決定から永続的に取り上げるほど、必要不可欠であるようには思われない。

4.学歴や教育訓練歴の社会的流動性(Durchlässigkeit)という特別な意味を鑑みると、基本法 12 条 1項および社会国家原理から、教育および教育訓練の平等な機会を支援する国家の任務が生じる。この支援任務は、ある住民グループ全体(ganze Bevölkerungsgruppen)が特定の教育および職業領域への参加機会を事実上持つことができない時、客観法的な作為義務にまで密度が高まる。