• 日時:2025年11月1日(土)14時~17時
• 会場:日本大学法学部本館141講堂(4階)
• 報告者:神橋一彦(立教大学)
• 報告判例:2025年1月24日第2法廷決定(Beschluss vom 24. Januar 2025 - 2 BvR 1103/24 -)
https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2025/01/rk20250124_2bvr110324.html
• 決定要旨:
1.欧州における司法共助関係では、「相互信頼」および「相互承認」の原則が基本とされる。このような相互信頼原則の制限は、当該人物の引き渡しがEU基本権憲章第4条の意味における非人道的または屈辱的取扱いに至るおそれがある場合に認められる。
2.「非人道的または屈辱的取扱いの禁止」は絶対的な性格をもつため、国内裁判所による拘禁条件の審査は、表面的な不備の有無にとどまらず、拘禁の実質的条件全体を総合的に評価して行わなければならない。引き渡しに関する審理を行う裁判所は、当該人物の拘禁条件について必要な補足情報を直ちに要請しなければならない。具体的には、引き渡しを要請した加盟国に対し、どのような環境で収容されるかについての追加資料の提供を求める義務がある。
3.裁判所は、これらの補足情報を受領して危険が存在しないことを確認するまで、引き渡しの許可決定を保留しなければならない。もし合理的な期間内にその危険を排除できない場合は、引き渡し手続を終了すべきである。
4.ハンガリーへの刑事訴追目的での引渡し容認決定に対して、ノンバイナリーを自認する人物が提起した憲法異議申立てを認容する。