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2026年3月31日火曜日

第324回研究会

 •日時:2026年4月4日(土)14時~17時

•会場:慶應義塾大学三田キャンパス南校舎2階421教室(正門を入ってすぐの建物)

•報告者:柴田憲司(中央大学)

•報告判例:2024年11月26日の第1法廷判決(BVerfGE 170, 293; 170, 373– 1 BvL 1/24 – Krankenhausvorbehalt)

※月報335号掲載の今後の報告予定に記載されているものから修正あり

https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2024/11/ls20241126_1bvl000124.html?nn=68020

•判決要旨:

1.基本法2条2項1文〔生命権・身体の不可侵性〕に基づく国家の保護義務の充足として行われる、承諾〔同意〕能力のない被世話人に対する医療上の強制処置〔強制治療〕は、厳格な要件に服し、かつ、最終手段としてのみ許容される。

2.専門裁判所による医療上の強制処置の命令によってもたらされる、承諾〔同意〕能力のない被世話人の基本法2条2項1文後半の基本権〔身体の不可侵性〕に対する介入は、厳格な比例原則の審査に服する。

3.医療上の強制処置を、詳細に専門化された処置〔ケア〕水準を備えた病院における入院での滞在と結びつけることは、原則として許容される。

4.病院〔入院〕の留保によって追求された強制処置の諸目的、すなわち、私的な居住環境における強制処置からの保護、医療上の強制処置の実施要件についての多職種からなる専門家のチームによる審査、不当な誘因に基づく不必要な医療上の強制処置の阻止、適切な専門水準を備えた医療処置の確保という諸目的は、いずれも正当であり、憲法上も根拠づけられる。

5.しかし、医療上の強制処置を、例外なく、入院中の病院での滞在と結びつけることは不相当である。一定の例外が次のような場合に要請される。すなわち、医療上の強制処置を、病院における入院での滞在の枠内で実施すべきことを例外なく求める基準により、個別の事案において、事前の観察〔事前評価〕に基づき、被世話人に対し、その身体の不可侵性への重大な侵害を切迫させるおそれがあることに少なくとも一定の蓋然性があり、かつ、被世話人が入居している施設であって、事後の処置〔ケア〕も含めた具体的に必要となる医学上の処置〔ケア〕に関し、病院における場合とほぼ同程度の水準が達成されうると想定される施設において強制処置を行うことで、前記の身体の不可侵性への侵害が回避されるか、少なくとも大幅に減少されうる場合であって、その際、身体の不可侵性やこれと同等に重要な他の基本権上保護された地位への別途の侵害の危険を生じさせない場合である。

クリップボード@月報336号

 井上典之・鈴木秀美・小山剛・山元一・山崎栄一・西土彰一郎編『もうひとつの憲法学 棟居快行先生古稀記念』(信山社、2026)

※全執筆者89名のうち本研究会会員が多数を占めるため、以下に信山社HPのアドレスを掲載します。おそれいりますが、ご自身で各巻に収められた論文の執筆者とタイトルをご確認ください。

第Ⅰ巻 https://www.shinzansha.co.jp/book/b10161002.html

第Ⅱ巻 https://www.shinzansha.co.jp/book/b10161014.html

第Ⅲ巻 https://www.shinzansha.co.jp/book/b10161015.html


ジュリスト1621号(2026)

・石原佳代子「議員定数不均衡問題を考える――司法府と国民の「対話」は成り立つのか」


法学教室547号(2026)

・小西葉子「憲法による現代的捜査の統制」


自治研究102巻3号(2026)

・初宿正典・山中倫太郎訳「ドイツのラント憲法:ニーダーザクセン憲法(三・完)」

・栗島智明「大学における学術助手の義務的な無期転換ルールを定めた州法の合憲性―ベルリン州大学法事件」自治研究102巻4号

・中西優美子「EU統合的汚染防止管理(IPPC)指令のイタリアにおける実施の確保(Ⅲ(11)) 【EU法における先決裁定手続に関する研究(67)】」

・渡辺洋「ノルトライン=ヴェストファーレン州官吏法における政治的官吏規定の合憲性」

2026年3月30日月曜日

第323回研究会

 • 日時:2026 年 3 月 7 日(土)14 時~17 時

• 会場: 日本大学法学部本館 142 講堂(4 階)

※いつも使用している 141 講堂の隣の教室になります。

• 報告者:植松健一(立命館大学)

• 報告判例:2023 年 7 月 5 日の第 2 法廷決定(BVerfGE 166, 304; 2 BvE 4/23 –Gebäudeenergiegesetz)

https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2023/07/es20230705_2bve000423.html

• 決定要旨:

被申立人には、「建造物エネルギー法改正、暖房費規則改正及び煙道清掃・検査規則改正」(BTDrucks20/6875)のための連邦政府提出法案に関する連邦議会第二読会および第三読会を、週内は実施してはならない。

1.仮命令は単に現状を一時的に保全・形成するものであるから、仮命令が本案手続の結論の先取りとなることは原則として認められないが、本案判決が過度に遅れることが予見でき、かつ他の方法によっては申立人に十分な権利保護を与えることが不可能な場合には、例外的に仮の命令は認められる。

2.機関争訟に付随する仮命令である申立ては、申立人が有する議会の意思意思形成への同権的参与の権能(GG38 条 1 項 2 文)という点で、不適法とはいえない。議員は採決の権能のみならず、審議する権能も有する。審議には対象に関する十分な情報が前提であるから、議員は情報を獲得できるのみならず、当該情報を消化(verarbeiten)できなければならない。

3.法案審議時間の相当性の判断に際しては、事案の全体状況を、具体的な法律案の観点から、さらには議会の活動を規定するその他の諸要素の観点から、考慮する必要がある。本件審議では、議会多数派の立法手続自律権の行使に憲法上の疑義がないとは簡単には認定できない。法案審議の進行の決定には議会内多数派に広い裁量が認められるとしても、また、本件審議がドイツ連邦議会議事規則が定める立法手続の間隔を遵守しているとしても、申立人の参与権が「十分に合理的な理由なしに実質的な程度において」毀損されていないか、また、議会多数派が選択した審議の進め方が立法手続の権利濫用的な加速となっていないかという点について、仮の権利保護手続の中で簡素ではない、詳細な審査を必要とする。

4.仮命令が主文のとおり発出されても、政府の予定する建造物エネルギー法改正法の施行日(2024 年1 月 1 日)に影響せずに、なお採決が容易である。他方、仮命令が発出されず、かつ本案手続で申立人の請求が認容された場合には、申立人の侵害された憲法上の権能は回復不能になる。それゆえ、仮命令発出の利益が優位する。

クリップボード@月報335号

 ・福山宏「入管行政と国家の自由裁量―運用と学説の歴史―」公益財団法人入管協会刊『国際人流』2026年 3 月号


野口貴公美ほか編『髙橋滋先生古稀記念論文集 社会の変革と行政法学―法解釈と法政策の探究』(弘文堂、2026)

・木藤茂「行政責任の憲法上の定位をめぐって―日本国憲法 65 条・66 条 3 項・73 条の整合的解釈の試み・再論」

・神橋一彦「地方議会における「紀律」と「自律」―発言取消命令(地方自治法 129 条1項)を中心に」

・渡辺康行「再婚禁止期間をめぐる法解釈と法政策―回顧的考察」


法学教室 545 号(2026)

・高田篤「憲法の基本原理から見る統治〔第 22 回〕裁判所と司法権の独立(1)」


法学教室 546 号(2026)

・山中倫太郎「ウクライナ支援と日本の法制――平和主義と防衛装備移転・『安全の保証』」

・石原佳代子「扉は常に開かれている」

・高田篤「憲法の基本原理から見る統治〔第 23 回・最終回〕裁判所と司法権の独立(2)」


ジュリスト 1620 号(2026)[書評]

・高田倫子〔書評〕「赤間聡著『科学訴訟と司法審査――裁判所は科学問題にどのように向き合うべきか』」


法学セミナー848 号(2026)

・斎藤一久「子どもや若者の選挙権・被選挙権、そして政治参加」

・松本和彦・木下智史・村西良太・片桐直人・伊藤 建「FOCUS 憲法Ⅵ[第 5 回・最終回][座談会]憲法判例の動向と FOCUS 憲法の挑戦」法律時報 98 巻 3 号(2026)

・赤坂幸一「評議の秘密と評議資料—團藤重光文書を活用した評議過程の実証研究の可能性」

・高橋雅人「専門知が統治する「民主主義」——日本型ポピュリズムの憲法的条件」


自治研究 102 巻 1 号(2026)

・中西優美子「マルタ国籍付与と EU 市民権(Ⅲ(10))【EU 法における先決裁定手続に関する研究(65)】」

・初宿正典・山中倫太郎訳「ドイツのラント憲法:ニーダーザクセン憲法(1)」

・新井貴大「警察による自動化されたデータ分析と情報自己決定権―自動データ分析判決」


自治研究 102 巻 2 号(2026)

・篠原永明「公務員制度の制度設計原理としての『政治的中立性』―問題提起的に」

・中西優美子「EU 市民権と EU 構成国における同性婚の承認(Ⅴ(10))【EU 法における先決裁定手続

に関する研究(66)】」

・初宿正典・山中倫太郎訳「ドイツのラント憲法:ニーダーザクセン憲法(2)」

・上代庸平「基本法による起債制限と財政憲法上の基本原則―2021 年連邦第二次補正予算法違憲判決」


鈴木秀美「交論 放送と政治の距離」朝日新聞 2026 年 1 月 14 日朝刊 13 頁、同日 5 時配信「放送の監督強化『政府が業界ごと抑え込みに』、国の姿勢の危うさとは」(聞き手:田⽟恵美)デジタル版(https://www.asahi.com/articles/ASV191TRVV19UPQJ008M.html)

2026年1月8日木曜日

第322回研究会

 •日時:2026年1月10日(土)13時~18時

※1月は報告者が2名ですので、開始時間と終了時間がいつもの研究会とは異なります。

•会場:慶應義塾大学三田キャンパス南校舎(正門を入ってすぐの建物)2階421教室

•報告者①:高橋和広(東邦大学)

•報告判例:2024年10月1日の第1法廷決定( 1 BvR 1160/19 –Bundeskriminal-amtgesetz II)

https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2024/10/rs20241001_1bvr116019.html


•判決要旨:

1.データ取得を目的とする高度の介入措置による接触者の秘密裡による監視の要件は少なくとも、当該手段を用いた警察法上の責任者の監視が許されることである。

2.以前に取得された個人データの目的を維持する処理の範囲内において、取得の直接の動機となった事件が終結し、それによって取得の端緒となっていた具体的な目的が果たされた後、これらのデータは消去されなければならない。直接の端緒となった事件以後も消去の見合わせを考慮し得るのは、データそれ自体からであれ、当局が持つ他の知識との結びつきからであれ、その間にデータから具体的な捜査の端緒が生じ、以て目的を変更した利用の要件が充たされた場合に限られる。

3.被疑者の身元や、刑法上の関係のある一定の行為に関する個人の基本データを、連邦刑事庁が連邦警察データ・プラットフォームに予備的に保存するためには、少なくとも、適切な保存閾値の設定と、適切な保存期間の決定が求められる。

a)予備的保存は、予備的に保存される個人データと保存目的の実現との関連を比例的な形で確保し、予備的保存に固有の危険に適切に対処する保存閾値に依拠していなければならない。犯罪の予防及び訴追に対してこれが認められるのは、当事者が発生し得る犯罪と刑法上の関係のある結びつきを示し、保存されるデータがまさに当該犯罪の予防及び訴追に適切に寄与しうるという十分な蓋然性が存在する場合に限られる。この予測は、事実に即した十分な根拠に基づくものでなければならない。

b)適切な保存期間を定める法規定が必要である。適切な保存期間は、介入の重大性、予測の時間的耐性及び比例原則から生じる他の観点により決まってくる。この予測は原則として、関係する新たな状況を追加的に考慮しない限り、時間の経過とともに説得力を失っていく。


•報告者②:入井凡乃(駒沢大学)

•報告判例:2023年6月20日の第2法廷判決(BVerfGE 166, 196; 2 BvR 166/16 – Gefangenenvergütung II)

https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2023/06/rs20230620_2bvr016616.html?nn=68080


•判決要旨:

1. 基本法1条1項と結びついた2条1項から導かれる憲法上の社会復帰要請は、立法者が、包括的、効果的、整合的で、科学的水準に則した、社会復帰構想を策定すること、ならびに、立法者自身によって定められるべき行刑についての本質的な規律を社会復帰構想に基づいて構築することを義務づけている

2. 全体的構想は、憲法によって要求される社会復帰目標の達成のためのものであることが、法律自体から認識可能でなければならない。立法者は、自らの社会復帰構想の枠組みにおいて、受刑者の労働の(全体的な)報酬、および、特に金銭的報酬部分によって到達されるべき目的を法律で明示し、矛盾のないよう相互に調整しなければならない

3.立法者は特定の規律構想に拘束されない。むしろ、立法者には広い形成余地が開かれている。行刑の構成についての法律上の基準は、慎重に導き出された仮定や予測に基づかねばならない。そして、行刑の構成及び処遇措置の有効性は、定期的に科学的に裏付けられ、また、評価されなければならない。

4. 立法者が、社会復帰構想を定め、どのような目標に受刑者の労働及びその報酬が役立つべきかを決定した場合、報酬の構成とその額は、その構想において明記された目的が実際上も達成されうるよう設定されなければならない。報酬水準の適切性は、社会復帰構想によって追求される目標に照らして判断されなければならない

5. この関連において行われるべき、様々な考慮要素の評価、衡量、および、重みづけの際に、立法者には、評価及び形成の余地が与えられている。連邦憲法裁判所は、この構想の憲法上の審査を主張可能性の統制の枠組みにおいて行う。

クリップボード@月報334号

 Toru Mori, Volkssouveränität und Parlament - aus Sicht der Souveränitätsdiskussion in Japan, 法学論叢197巻2号1頁(2025)


法学教室544号(2025)

・高田篤「憲法の基本原理から見る統治〔第21回〕違憲審査制」

2025年12月5日金曜日

第321回研究会

 • 日時:2025 年 12 月 6 日(土)14 時~17 時

• 会場:日本大学法学部本館 141 講堂(4 階)

• 報告者:玉蟲由樹(日本大学)

• 報告判例:2025 年 7 月 15 日第 2 法廷判決(Urteil vom 15. Juli 2025 – 2 BvR 508/21 –)

https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2025/07/rs20250715_2bvr050821.html

• 判決要旨:

1. ドイツ連邦共和国には,外国との関連を有する事案においても,基本的人権および国際人道法の核心的規範の保護が確保されるようにする一般的な保護任務が課されている。

2. この保護任務は,事案に応じて,一定の条件の下で,具体的な基本権保護義務へと発展しうる。

a) 基本法 2 条 2 項 1 文にもとづくこのような保護義務は,生命の保護のために適用される国際法の遵守を目指すものであり,他国によって生じる危険もこれに含まれる。

b) この憲法上の保護義務をドイツ国籍を有する者または国内居住者に限定することを,憲法は定めていない。国外に居住する非ドイツ国籍の人々もまた,ドイツの国家権力との十分な関連性を有する危険から保護されうる。

c) 十分な関連性が存在するかどうかは,個々の事案の事情に即して,全体的かつ価値判断を伴う評価に基づき判断される。全体的な事象の一部であるとしても,単に偶発的に〔ドイツ〕領域と接点を持つにすぎないような領域的関わりでは,国外において基本権にとって重要な保護の必要性を生じさせるには不十分である。むしろ,基本権に拘束されるドイツの公権力との十分な関連性が成立するためには,一定の重要性を有する特別な関与が必要である。

d) さらに,一般的な保護任務が,第三国の行為に関して具体的な域外での保護義務へと発展するためには,生命の保護に資する国際人道法および/または国際人権のルールが体系的に侵害される現実的な危険が存在することが必要である。そのような侵害の発生が単に可能性としてではなく,現実に懸念されるに足る重大な根拠が求められる。

e) 第三国の行為によってこのような危険が存在するかどうかを判断する際には,外交および安全保障政策に関して権限を有するドイツの国家機関の法的見解を,それが合理的なものである限りで,尊重しなければならない。