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2025年7月5日土曜日

第317回研究会

 日時:2025 年 7 月 5 日(土)14 時~17 時

• 会場:日本大学法学部 141 講堂(本館4階)

• 報告者:山本響子(千葉大学)

• 報告判例:2022 年 6 月 28 日の第 2 法廷決定(BVerfGE 162, 277; 2 BvL 9/14, 2 BvL 10/14, 2 BvL 13/14,2 BvL 14/14 - Kindergeld für Drittstaatsangehörige)https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2022/06/ls20220628_2bvl000914.html

• 決定要旨:

1. 本件各手続は併合され、共通した判断を下される。

2. 2006 年 12 月 13 日の、児童手当、育児手当および扶養立替金に関する外国人の受給資格に関する法律の条文における所得税法(連邦官報 I 2915 頁)62 条 2 項 3 号 b は、基本法 3 条 1 項と相容れず、無効である。

3. 上記以外の部分についての移送は不適法である。

クリップボード@月報329号

 ジュリスト 1612 号(2025)

・植松健一「森英樹著『民主主義法学の憲法理論』」(書評)


法学教室 538 号(2025)

・片桐直人「憲法記念日に未来を不安に思う」

・高田篤「憲法の基本原理から見る統治〔第 15 回〕国会・議院の権能(1)」


法律時報 97 巻 8 号

・片桐直人「【法律時評】EXPO2025」

・篠原永明「マンションの再生等に向けた新たな決議制度」


自治研究 101 巻 7 号

・前硲大志「ドイツ連邦議会における委員長の選挙/解任の合憲性」


独立行政法人経済産業研究所 ポリシー・ディスカッション・ペーパー 25-P-009(2025)

・福山宏・橋本由紀「専門的・技術的分野の在留資格の理念型と現実的変容」

2025年5月31日土曜日

第316回研究会

 • 日時:2025 年 6 月 7 日(土)14 時~17 時

• 会場:日本大学法学部 141 講堂(本館4階)

• 報告者:高田倫子(大阪公立大学)

• 報告判例:2024 年 7 月 30 日の第2法廷判決(BVerfGE 169, 236; 2 BvF 1/23 - Bundeswahlgesetz 2023)

https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2024/07/fs20240730_2bvf000123.html

• 判決要旨:

1.選挙法を改革する立法者の決定は、特別の条件に拘束されていない。

2.連邦選挙法 1 条 3 項ならびに 6 条 1 項および 4 項 1・2 文に規定された第 2 票による裏付け手続(Zweitstimmendeckungsverfahren)は、勝利した無所属の候補者についての正当化される例外規定の他に、異なった取扱いを基礎付けない。

3.現在の事実的および法的な諸条件の下において、5%の阻止条項が許容されることは明らかである。しかしながら、連邦選挙法 4 条 2 項 2 文 2 号における阻止条項の内容形成は、全ての範囲において必要であるとはいえない。ある政党の議員が、当該政党が考慮されるとすればもう一つの政党の議員と共同会派を形成し、両党が共同で 5%の定足数に達するような場合に、ドイツ連邦議会が活動し機能する能力を確保するために、当該政党を議席配分において考慮せずにおくことは、必要であるとはいえない。

4.立法者は、阻止条項を修正してよい。その際に、立法者は、政党の特別な政治的力を、第 2 票の結果から引き出しても、第 1 票の選挙における政党の勝利の規模から引き出してもよく、したがって阻止条項を選挙区条項によって緩和することが許される。


クリップボード@月報328号

 小西葉子『現代の諜報・捜査と憲法: 自由と安全の日独比較研究』(法律文化社、2025)


法学教室 537 号(2025)

・高田篤「憲法の基本原理から見る統治〔第 14 回〕国会の組織」


法学セミナー844 号(2025)

・片桐直人・伊藤健「FOCUS 憲法Ⅵ[第1回]私人間紛争における憲法の適用—ゴルフクラブ入会拒否事件」


自治研究 101 巻 6 号(2025)

・クリティアン・ブムケ(宮村教平訳)「国家による政党助成の限界―近年の連邦憲法裁判所の判決に照らして」

・中西優美子「EU構成国間の投資協定に関する Achmea 先決裁定とドイツ連邦憲法裁判所(IV(11))【EU法における先決裁定手続に関する研究(62)】」

・村西良太「政党国庫助成の絶対的上限の引上げ」


行政法研究 60 号(2025)

・斎藤誠「機関委任事務の廃止」

・神橋一彦「厚木市議会ホームページ会議録発言掲載等請求事件―発言取消命令に対する司法審査を中心に」


公研 2025 年 5 月号(2025)

・福山宏、三好範英(対談)「移民・難民問題を一から議論するために〈対話〉」


棟居快行「国民全体での議論 重要」読売新聞 2025 年 5 月 3 日朝刊7頁

(読売新聞の憲法に関する全国世論調査の結果についてコメント)

赤坂幸一「柔軟さと同居した危うさ…明治憲法の教訓は今も」朝日新聞電子版 2025 年 5 月 5 日(連載「100 年をめぐる旅~未来のための近現代史」憲法編のインタビュー)

鈴木秀美「私が考える憲法 SNS 事業者と『共同規制』」日本経済新聞 2025 年 5 月 3 日朝刊8頁 (「憲法が問う『表現の自由』」というタイトルの特集テーマについてコメント)

同「国民の知る権利が脅かされる恐れ」朝日新聞 2025 年 5 月 14 日朝刊 24 頁

同「専門家は『知る権利への理解欠く』」産経新聞 2025 年 5 月 14 日大阪朝刊第1社会面と電子版

(ttps://www.sankei.com/article/20250513-XI4GU5PG4ZK6NGLUOTVGXOB3W4/)

(兵庫県が情報漏洩につき容疑者不詳で県警に告発状を提出したことについてコメント)

同「ほっと関西」NHK 大阪 2025 年 5 月 23 日

「“情報漏えいか„兵庫県 警察に告発状」のニュースに録画でコメント

2025年5月5日月曜日

第315回研究会

 日時:2025 年 5 月 10 日(土)14 時~17 時

• 会場:日本大学法学部 141 講堂(本館4階)

• 報告者:安原陽平(獨協大学)

• 報告判例:2024 年 9 月 23 日の第1法廷決定(1 BvL 9/21 – Bundesausbildungs-förderungsgesetz)

https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2024/09/ls20240923_1bvl000921.html

• 決定要旨:

1.社会国家原理(基本法 20 条 1 項)と結びついた基本法1条 1 項に基づく生存を保障するための給付に対する請求権は、自ら生存を確保できる状況にない者の人間の尊厳に値する生存を保障し、そしてそのために絶対に必要な手段に限定される。当該請求権は、基本法 12 条 1 項に基づき保障される大学での学びの実現といった特定の基本権的自由の行使が不可能となったとしても、生存を保障できる就労の開始により貧困が解消しうるあるいは避けられうる場合には、認められない。

2.基本法3条 1 項と結びついた基本法 12 条 1 項から生じる、国立大学での学びへ平等に参加する大学入学有資格者の権利は、実際に提供される教育訓練の収容能力を平等的観点から見て公正に配分することを保障する。しかしこの権利は、社会的関係から負わされている大学進学に対する障壁を除去するための国家的給付請求権を含むものではない。

3.a)財政的手段の限界ゆえに多様な任務の必要な優先付けがなされる際、民主政原理および権力分立原則(基本法 20 条 2 項、3 項)に基づき立法者に認められる幅広い形成の余地を鑑みると、社会国家原理から社会的不平等の除去のための国家的給付への主観的権利は原則的に導かれない。

b)資産のない大学入学有資格者の大学での学びを可能にすることは、他の社会的需要との関係で、社会国家原理と結びついた基本法 12 条 1 項に対応した給付請求権の承認を通じて、例外的に必要な手段を民主的に正統化された立法者による配分決定から永続的に取り上げるほど、必要不可欠であるようには思われない。

4.学歴や教育訓練歴の社会的流動性(Durchlässigkeit)という特別な意味を鑑みると、基本法 12 条 1項および社会国家原理から、教育および教育訓練の平等な機会を支援する国家の任務が生じる。この支援任務は、ある住民グループ全体(ganze Bevölkerungsgruppen)が特定の教育および職業領域への参加機会を事実上持つことができない時、客観法的な作為義務にまで密度が高まる。

クリップボード@月報327号

 渡辺康行・宍戸常寿・松本和彦・工藤達朗『憲法Ⅱ総論・統治〔第2版〕』(日本評論社、2025)

辛嶋了憲「里親移転拒否事件」廣島法学 48 巻 3 号(2025)123 頁

辛嶋了憲「令和 5 年 10 月 25 日・性同一性障害者特例法手術要件違憲大法廷決定の憲法学的意義について・補遺:正当化論証を中心に」広島法科大学院論集 21 号(2025)327 頁

入井凡乃「立法者の事後的是正義務の法的構造―ドイツの判例・学説を中心に―」慶應義塾大学大学院法学政治学論究 139 号(2023)1 頁

入井凡乃「立法者の事後的是正義務と『見直し条項』」慶応義塾大学大学院法学政治学論究 144 号(2025)1 頁


法学教室 535 号(2025)

・高田篤「憲法の基本原理から見る統治〔第 12 回〕「最高機関」,「立法」,「唯一」(1)」

法学教室 536 号(2025)

・高田篤「憲法の基本原理から見る統治〔第 13 回〕「最高機関」,「立法」,「唯一」(2)」


法学セミナー843 号(2025)

・木下智史・松本和彦・村西良太・片桐直人・伊藤 建「[座談会]ジェンダーをめぐる裁判動向と違憲審査の方法論」


法律時報 97 巻 5 号(2025)

・宮村教平「現代における「法律」の憲法学的意義——ドイツ公法学の観点から」


自治研究 101 巻 4 号(2025)

・中西優美子「EU 生息地指令とオオカミの保護(Ⅲ(8))」

・初宿正典・宮村教平訳「ドイツのラント憲法:ノルトライン・ヴェストファーレン憲法(一)」

・木藤茂「ドイツ憲法判例研究(286)欧州連合案件における連邦政府の連邦議会への情報提供義務(ギリシャ支援事件)」


自治研究 101 巻 5 号(2025)

・初宿正典・宮村教平訳「ドイツのラント憲法:ノルトライン=ヴェストファーレン憲法(二・完)」

・松村好恵「児童婚撲滅法違憲決定」


鈴木秀美「国民の知る権利、脅かされかねない」朝日新聞 2025 年 4 月 10 日朝刊

(「兵庫県、『文春』への情報提供も第三者委に調査依頼」の記事にコメント)

2025年3月29日土曜日

第314回研究会

 第 314 回研究会

• 日時:2025 年 4 月 5 日(土)14 時~17 時

• 会場:日本大学法学部 10 号館 1031 講堂 ※いつもの建物、教室とは異なりますのでご注意下さい。

• 報告者:棟久敬(白鷗大学)

• 報告判例:2023 年 11 月 23 日の第1法廷判決(BVerfGE 167, 239; 1 BvR 2577/15, 1 BvR 2579/15, 1BvR 2578/15 – Zeugnisbemerkungen)

https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2023/11/rs20231122_1bvr257715.html

• 判決要旨:

1. ある人が、通常とは異なる(regelwidrig)身体的、精神的ないしは心的な状態の結果として、個人が独立して生活を送る能力に比較的長期にわたって支障がある場合に、憲法上の意味における障害がある。軽微な支障(Beeinträchtigungen)は該当せず、重大な制限のみが該当する。

2. 基本法 3 条 3 項 2 文は、特定の障害を持つ人々を、他の障害を持つ人々に比べて不利に取扱うことにも適用される。

3. 法的な平等取扱が、典型的かつ性質や範囲に応じて、障害を理由とした予見しうる事実上の不利な取扱いをもたらす場合にも、基本法 3 条 3 項 2 文の適用領域は開かれている(BVerfGE 128,138〈156〉と関連する)。

4. 自らの能力をその社会的な出自にかかわりなく発揮して、学校卒業後に自らの能力や素質に応じて教育課程や職業を自由に選択し、そして自らの責任によって生活する基礎をつくることができる。そのような人格の持ち主(人物)へと生徒が成長することもまた、学校教育の目標である。ここには、個人のもつ潜在能力を 阻害する社会的な不利益を可能な限り取り除き、多種多様な教育を提供することで存在

する才能を呼び覚まし、支援することも含まれる。その社会的な出自にかかわりなく、おしなべて教育または職業の機会をとらえることができるような人格の持ち主(人物)へと成長しうる機会を、少なくとも生徒に開いておく教育を提供することは欠くことのできないものである(BVerfGE 159,355〈383f.Rn.50 及び 386f. Rn.57〉と関連する)。

5. (大学入学資格試験の)成績証明書(Abiturzeugnis)は、一般的な大学入学資格の証明として、生徒に付与された学校での成績や人的な能力に応じて教育や職業へアクセスしうる平等な機会をすべての生徒に開くという目標に貢献する。このような目標は、基本法 12 条 1 項及び 3 条 1 項と結びついた基本法 7 条 1 項により憲法上の地位をもつ。とりわけ、すべての受験者が同一の学校で身に着けた知識や能力を同一の条件の下で証明しなければならず、異なる成績付与により提示された成績の異なる質が正確に把握され、すべての卒業証明書において説得力があり、かつ比較しうる方法で記録される場合には、立法者はこの目標に適ったやり方をしている。

6. 記載がなければわからないような、申請に基づいて行われた、そして一般的な試験基準とは異なるような、障害に起因する制約を理由とした成績評価の除外に関する学校の卒業証明書における所見は、基本法 3 条 3 項 2 文による能力に即した機会均等な教育や職業へのアクセスを確保するため、全体として証明書の十分な透明性が達成される程度に、その所見が網羅的になされるのであれば、原則として正当化される。

7. 少なくとも、一般的な大学入学資格の証明によりすべての科目についての研究許可への原則的な請求権を成立させる成績証明書においてそのような所見を記入することは、原則として必要である。