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2024年10月2日水曜日

第309回研究会

 • 日時:2024 年 10 月 11 日(金)18 時~20 時

• 会場:明治大学グローバルフロント3階 N403

※明大通りに面しているリバティータワー、アカデミーコモンではありません。

〒101-8301 東京都千代田区神田駿河台 1-1

*JR 中央線・総武線:御茶ノ水駅下車徒歩約 3 分/東京メトロ丸ノ内線:御茶ノ水駅下車徒歩約 3 分

東京メトロ千代田線:新御茶ノ水駅下車徒歩約 5 分

都営地下鉄三田線・新宿線・東京メトロ半蔵門線:神保町駅下車徒歩約 5 分

アクセスマップ:https://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/suruga/access.html

• 報告者:松村好恵(茨城大学)

• 報告判例:2023 年 2 月 1 日の第 1 法廷決定(BVerfGE 166, 1: 1 BvL 7/18 - Kinderehe)

https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2023/02/ls20230201_1bvl00071

8.html

• 決定要旨:

1.基本法 6 条 1 項の意味おける婚姻は、法的拘束力があり、原則として永続的であり、自由な決定に基づき、平等および自律的に形成されている生活共同体であり、その生活共同体は定式化され、外部から認識可能な行為によって成立するものであり、特別な方法において相互の扶養義務(Einstandspflflichte)と同時に現れる。

外国法により結ばれた婚姻の性質を有する生活共同体が、憲法上の構造原理(Strukturprinzipien)に反する場合には、何の問題もなく基本法 6 条 1 項の保護領域に含まれるわけではない。

2.婚姻の自由は、憲法上保護される生活共同体を婚姻として法的に定義および区別する法的規定を必要とし、許容する。

そのような諸規定は、構造原理に一致し、比例性の要件を満たさなければならない。

3.立法者は、憲法の意味で婚姻という制度を定める構造原理を保障するために、婚姻障害を設けることが許される。

これに関して、例えば、婚姻締結のための最低年齢制限という形で、両婚姻締結者の自律的な決定を保護する婚姻能力に関する諸要件が含まれる可能性がある。


クリップボード@月報321号

 高橋和之・長谷部恭男編『芦部憲法学──軌跡と今日的課題』(岩波書店、2024)所収の以下の論文

・林知更「「政治」の現れる場所──芦󠄀部信喜の憲法制定権力論をめぐって」

・石川健治「公共の福祉」

・井上典之「基本権の制約を正当化する法理──違憲審査基準論か構造化された比例原則か」

・渡辺康行「包括的基本権論──論争における芦󠄀部信喜の位置」

・毛利透「「明白かつ現在の危険」基準──芦󠄀部の考察がインターネット時代にもちうる意味」

・笹田栄司「裁判を受ける権利──訴訟と非訟の区分をめぐって」

・赤坂幸一「憲法 62 条の憲政史──国政調査権の過去・現在・未来」

・高橋雅人「「議会政」と専門家の関与」

ジュリスト 1602 号

・中西優美子「EU の気候変動対策と法」

・石塚壮太郎「ドイツ―無人ミニスーパーは閉店法の適用対象か」

法学教室 528 号

・高田篤「憲法の基本原理から見る統治〔第 6 回〕国民主権・民主制(2)」

法学教室 529 号

・高田篤「憲法の基本原理から見る統治〔第 7 回〕大日本帝国憲法――成立,展開,崩壊

法学セミナー837 号

・松本和彦「FOCUS 憲法Ⅴ【第 3 回】ヘイトスピーチ条例の合憲性をめぐる事例分析[判例解説編]

―大阪市ヘイトスピーチ対処条例事件」

・石塚壮太郎「最新裁判例研究 憲法(最二小判令和 5・12・15 LEX/DB:25573213)

自治研究 100 巻 9 号

・辛嶋了憲「監護要件としての麻疹予防接種証明決定」

自治研究 100 巻 10 号

・宮村教平「第二次政治財団助成判決」

2024年8月29日木曜日

第308回研究会

 • 日時:2024 年 9 月 7 日(土)14 時~17 時

• 会場:慶応大学三田キャンパス南校舎 6 階 463 教室

キャンパスマップはこちら:https://www.keio.ac.jp/ja/maps/mita.html

※南校舎は正門から入ってすぐの校舎です。

• 報告者:小西葉子(関西学院大学)

• 報告判例:2023 年 10 月 31 日の第2法廷判決(2 BvR 900/22 - Wiederaufnahme des Strafverfahrens)https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2023/10/rs20231031_2bvr09002

2.html

• 判決要旨:

1.基本法 103 条 3 項の基本権同等の権利は、単なる多重刑罰の禁止ではなく、無罪判決を受けた者と同様に有罪判決を受けた者を保護する多重訴追の禁止を含む。

2.刑事手続の再審を通じ、新たな刑事訴追のための法律上の前提条件をつくる場合、[基本法 103 条 3項の多重訴追の禁止の]効果は、立法者にも及ぶ。

3.基本法 103 条に規定された多重訴追の禁止は、実体的正義よりも法的安定性に有利に働く優先決定(Vorrangentscheidung)に向けられている。この優先決定は、憲法上の地位にある他の法的利益との均衡を通じた禁止の相対化には開かれていないので、その結果、立法者にはこの限りにおいて、再審法の形成に際して[立法の]形成裁量が認められるべきではない。

4.基本法 103 条 3 項は、確定した決定(rechtskräftige Entscheidungen)における信頼保護の、狭く限定された個別形成のみを含む。同一の行為のために、既にドイツの裁判所を通じて確定した刑事判決が下された場合、同条項は、一般刑法に基づく新たな刑事訴追の前にのみ、個人を保護する。

5. この限定的な保護内容の枠組みにおいて、基本法 103 条 3 項は、基本権の享有主体の不利益となる刑事手続の再審を一般的に禁止しないが、いかなる場合でも、新たな事実又は立証方法に基づく再審は禁止する。

6. 無罪判決を受けた者は、無罪判決の既判力が、既判力の開始時点で有効な法的状況に基づいてのみ破棄され得るということを信頼することができる。ne bis in idem の原則は、無罪の刑事判決における保護の権威(Schutzwürdigkeit)を尊重し、基本法 103 条 3 項は、この信頼保護に憲法上の地位を与える。

※9 月の報告は、当初 2 つの予定でしたが、新井会員の報告が来年 1 月に延期されました。

9 月は小西会員の報告のみとなります。そのため、開始時間は通常どおり 14 時となります。

クリップボード@月報320号

 ・福山宏『<和英対訳>10訂版 外国人のための入国・在留手続の手引』(日本加除出版、2024)

・山元一・吉田徹・曽我部真裕・栗島智明『憲法学と憲法学者の〈アフター・リベラル〉-戦後憲法学

の「これまで」と「これから」を語る』(弘文堂、2024)

自治研究 100 巻 6 号(2024)

・岡田健一郎「ドイツ憲法判例研究〔276〕警察による端末通信傍受と IT 基本権に関する保護義務との

立法による調整のあり方――IT セキュリティ脆弱性決定」

自治研究 100 巻 7 号(2024)

・石塚壮太郎「庇護申請者に対する社会扶助における特別需要等級の違憲性-特別需要等級決定」

自治研究 100 巻 8 号(2024)

・岡田俊幸「ドイツ憲法判例研究〔278〕制約類似の事前効と州の気候保護法」141-147 頁

・鈴木秀美「取材源秘匿権 明文規定を」朝日新聞 2024 年 7 月 5 日朝刊 11 面「耕論 報道の自由 守

るには」(聞き手:豊秀一)

2024年7月3日水曜日

第307回研究会

 日時:2024 年 7 月 6 日(土)14 時~17 時

• 会場:慶應義塾大学三田キャンパス南館 2B15 教室(地下 1 階)

キャンパスマップはこちら:https://www.keio.ac.jp/ja/maps/mita.html

*南館はキャンパスマップ2番の建物です。正門正面の南校舎ではありませんのでご注意ください。

• 報告者:山中倫太郎(防衛大学校)

• 報告判例:2022 年 10 月 26 日の第 2 法廷決定(BVerfGE 163, 298; 2 BvE 3/15, 2 BvE 7/15 - Militäroperation

"EUNAVFOR MED Operation SOPHIA")

https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2022/10/es20221026_2bve000315.ht

ml;jsessionid=3B1A950B9B61795F93EDD92C77E90244.internet012

• 決定要旨:

1. 基本法 23 条 2 項 2 文に従って連邦議会に包括的かつなるべく早く報告する、連邦政府の義務は、共通外交安全保障政策(GASP)及び共通安全保障防衛政策(GSVP)にも及ぶ。

2. 報告の相手方は、全体としての連邦議会である。これに伝えられた情報を効果的な議会の意思形成へと導くのは、まず第一に、連邦議会自身の任務である。

3. 秘密保護の規制に服する連邦議会の情報は、基本法 23 条 2 項 2 文の要請に適さない。というのは、議会の情報は、同時に、民主制原理に基礎を置く、議会の公開性の原則に資するからである。

4. 基本法 23 条 2 項 2 文による、連邦議会の報告義務の限界は、執行府の固有責任の中核又は国家の繁栄から明らかになりうる。秘密保持の必要性は、ドイツ連邦議会に対する連邦政府の報告義務に原則的に反しない。連邦政府がその情報提供義務の全部又は一部を上記の限界のゆえに履行するつもりがないならば、連邦政府は、ドイツ連邦議会に対してその義務を援用し、そのための理由を説明しなければならない。


クリップボード@月報319号

 法学セミナー834 号(2024)

・神橋一彦・櫻井智章・鵜澤 剛・栗島智明「憲法と行政法の交差点【最終回・第 28 回】[座談会]連載

を振り返って(下)」

ジュリスト 1599 号(2024)

・山本真敬「ドイツ―大麻との「統制された関わり」の解禁」

法律時報 96 巻 6 号(2024)

・村西良太「行政法学のリ・デザイン——二元的思考を超えて・9-2 法律と委任立法のはざま(下)」

法律時報 96 巻 8 号(2024)

・赤坂幸一「幻の創文社版『憲法綱要』とその批判的検討・17 統治のアナロジー——「身体」を通じ

た「演出」

自治研究 100 巻 7 号(2024)

・石塚壮太郎「庇護申請者に対する社会扶助における特別需要等級の違憲性-特別需要等級決定」


2024年5月26日日曜日

第306回研究会

• 日時:2024 年 6 月 1 日(土)14 時~17 時

• 会場:日本大学法学部 141 講堂(本館4階)

• 報告者:武市周作(中央大学)

• 報告判例:2022 年 3 月 22 日の第1法廷決定(BVerfGE 161,1: 1 BvR 2868/15 - Übernachtungsteuer)

https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2022/03/rs20220322_1bvr28681

5.html;jsessionid=78E71BDC9D4444914448AC86EE0B4C28.internet001

• 決定要旨:

1. 支出税(Aufwandsteuer)(基本法 105 条 2 項 1 文)の対象は、個人の生活需要のための所得の消費である。支出(Aufwand)は、外部から認識可能な消費であり、そのために資金が用いられ、一般的に経済的担税力(Leistungsfähigkeit)の表れであり指標であるとみなされるが、この消費がどのような手段でなされ、どのような目的で使われるかは、詳細なところまでは問題とならない(BVerfGE 65, 325<347>; 114, 316 <334>の確認)。支出税を課すことを控えるという憲法上の義務は、基本法 105 条 2 項1 文の権限規範(Zuständigkeitsnorm)から生じるのではなく、せいぜい基本権から導かれるものである。したがって、ビジネス目的の宿泊も支出税の対象となりうる。

2.a) 基本法 105 条2a 項 1 文にある同種性の禁止(Gleichartigkeitsverbot)は、州が地域的な消費税(Verbrauchsteuer)及び支出税に対する課税権(Steuererfindungsrecht)を制限する。同種性の判断は、一方では支出税、他方では同種の連邦税の具体的な構造を総合的に考慮することによる。このことは、州や地方公共団体(Kommune)の課税権に広範な遮断効(Sperrwirkung)をもたらすものではない。

b) 宿泊施設(Beherbergungsbetrieben)での有料の宿泊に対する税は、売上税(Umsatzsteuer)のようにすべての費用に均等に課税されるものではないし、連邦政府が既に特別な課税の対象としている税源から徴収されるものでもないので、連邦法で規律する租税とは同種のものではない。

3. 立法者は、ビジネス目的の宿泊を支出税の課税から除外することはできるが、その必要はない。