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2026年11月6日金曜日

連邦憲法裁判所 75 周年記念式典の動画配信

 9 月 28 日に開催された連邦憲法裁判所 75 周年記念式典のテレビ中継動画がインターネットで配信さ

れています。番組冒頭にゲストとしてアンドレアス・フォスクーレ元⻑官が出演しています。

Vgl. https://www.zdf.de/play/magazine/zdfspezial-128/zdf-spezial-75-jahre-bundesverfassungsgericht-100

ドイツ国法学者協会の名称変更について


「ドイツ国法学者協会」の名称が「国法学者協会」に変更されることになりました。今年のドイツ国法学者大会に参加された松原光宏会員にお願いして、大会の様子についてまとめていただきました。

「ドイツ国法学者協会の名称変更について」 松原光宏(中央大学)

ドイツ国法学者協会(Vereinigung der Deutschen Staatsrechtslehrer)第85回年次大会は、「憲法国家の試金⽯―憲法学の試金⽯」と題し、かのトイトブルクの森からも近い、ビーレフェルト大学にて開催され(2026年10月7日~9日)、(ザクセン=アンハルト州議会選挙におけるAfD 台頭に象徴される)デモクラシーの危機を背景とした8本の報告が、憲法、行政法、国際法にわたって展開されました(8~9日)。個人的には、(自明とされてきた)私的自律と公的自律の調和を疑う傾向に異論を唱える、⾸都フンボルト大学へと移籍して間もないTh.・ビッシュマイヤー教授の報告が強く記憶に残っております。CSU党⾸M.・ゼーダーによって力説される、同州への財政調整停止の余地については、J.・v.・アッシェンバハ教授(フランクフルト(オーダー))が取り上げていました(報告については、協会サイトを参照)。また、4つのセッションからなる対話サークル(7日)では、「公法の基礎」に参加しました。デモクラシーの危機と憲法裁判の関係に注目する論者として知られる、政治学者Ph.・マーノウ教授(ジーゲン大学)のゲスト報告があったからですが、個人的にお話をする機会も得られ、大変勉強になりました(もっともその所見に批判的な会員は少なくない)。

さて、総会(7 日。議⻑は協会理事⻑であるH.・ヴィスマン教授(ミュンスター))では、①極右会員問題に対する処方箋としての規約改正(過去の経緯については、参照、⾼橋雅人「『ドイツのための選択肢』と国法学者協会の選択」法時97巻3号(2025)83⾴以下)の他、②組織名称変更が主要議題になりました(終了までに約3 時間も、日本でもよく知られるD・グリム教授(ベルリン)はお元気に参加されていました)。①について、除名処分要件の具体化申立は否決されましたが(手続的改正のみ)、②については、予想よりもスムーズに承認されました。

1922 年以来の伝統的名称が使われる大会は今回が最後となり、今後は、「主体ではなく客体に重点をおいた」(O.・レプジウス教授(ミュンスター))、「国法学協会(Vereinigung für Staatsrechtslehre)」と呼称されます(但し、略称はVDStRL として不変)。”deutsch”、文献に拠れば、初回の招待は、(プラハのドイツ大学を含む)ドイツ語圏の大学の憲法・行政法学者に送られたようですが(M. Stolleis, Die Vereinigung der Deutschen Staatsrechtslehrer. Die Bemerkrungen zu ihrer Geschichte, in: KritV 1997, S. 341)、今回の決定は、オーストリア及びスイス人会員との関係、及び、”Lehrer”と(増加傾向にある)女性会員の関係を問題視する、12名の会員の申立に基づくものです。協会が、専門学会を超えた、幅広い研究者コミュニティーとしての性格を有していることが、こうした問題が個々のアイデンティティーにかかわる事項として重視される理由の一つになっているようにも思われます。今年も総会は、J.・イプセン(1月31日)、J.・フローヴァイン(2月8日)、R.・アレクシー(9月5日)教授ほか、物故会員の黙祷から始まり、追悼文も順次投稿されています。7 日及び8 日のレセプションもまた、各々、NRW州政府及びビーレフェルト市の招待によって開催され、相互の歓談は深夜まで続きました(2026 年10 月24 日)。

第330回研究会

 •日時:2026年11月7日(土)14時~17時

•会場:慶應義塾大学三田キャンパス大学院校舎1階313教室

※会場が、いつもの日本大学ではなく慶應義塾大学三田キャンパスですので、ご注意ください。

三田キャンパスMAP https://www.keio.ac.jp/ja/about/campus/mita/map/(3番の建物です)

•報告者:辛嶋了憲(新潟大学)

•報告判例:2025年9月23日の第1法廷決定(1 BvR 2284/23, 1 BvR 2285/23, トリアージⅡ決定)

https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2025/09/rs20250923_1bvr228423.html

•決定要旨

1. 基本法第12条第1項は以下のことを保障する。医師はその職業活動において専門的指示から自由である。そして、基本法第12条第1項は―治療上の責任の範囲において―治療行為を「行うか否か」、そして、その治療行為を「如何に行うか」という医師の判断を保護する。

2. 基本法第74条第1項第19号第1行為態様(公共の危険を伴う、又は伝染性の人畜の疾病に対する措置)に由来する権限規定は、単なるパンデミックの帰結に関する法に関する根拠を提供しない。むしろ、封じ込め又は防止にある程度関連した指向性が前提条件である。

3. 基本法第74条第1項第7号は保健衛生制度の領域における一般的な扶助権限を根拠づけない。保健衛生制度に関して個々の事項領域に限定された立法権限のみを連邦に割り当てるという基本法第74条第1項第19号及び第19a条における憲法の判断を、公的扶助に関する立法権限の拡張解釈によって、すり抜けてはならない。

クリップボード@月報342号

 小山剛『憲法上の権利の作法 第4版』(尚学社、2026)


宇賀克也・斎藤誠ほか編『公法理論の基底と展望〈上〉〈下〉碓井光明先生傘寿記念』(信山社、2026)

・神橋一彦「『憲法上の権利』の作法と確認訴訟―救済の受け皿機能との関係で」

・斎藤誠「都道府県制度の安定性と改革―歴史からの眺望」


鈴木秀美・⾼田篤・土井真一・松本和彦編『民主主義社会の憲法学 松井茂記先生古稀記念論文集』(日本評論社、2026)

・⾼田篤「『憲法裁判と民主制』をめぐる諸層—憲法裁判官としてのケルゼンの活動とその検討を中心に」

・松本和彦「気候保護と民主主義」

・片桐直人「皇室財政制度と財政民主主義」

・合原理映「議員定数不均衡訴訟における合憲性審査の変遷—2023(令和5)年10月18日最⾼裁判所大法廷判決を素材として」

・村西良太「会派と政党—ドイツにおける峻別論の成否をめぐって」

・井上典之「未成年者の選挙運動の禁止をめぐる憲法問題」

・鈴木秀美「ドイツにおける疑惑報道の原則—ワイヤーカード事件報道についての憲法判例を手がかりに」

・丸山敦裕「営利的表現に関する予備的考察」

・毛利透「ドイツの「公の施設」における集会の自由」


・毛利透「人権の私人間効力論について――論争の融和的理解と判例分析」法曹時報78巻10号1⾴


・渡辺康行「同性婚問題に対する憲法論の関わり方――判例分析の観点から」民商法雑誌162巻3号(2026)


・Tomoaki Kurishima, Die japanische „Friedensverfassung" als umkämpftes nationales Narrativ, in: Jahrbuch des öffentlichen Rechts der Gegenwart (JöR), Bd. 74, S. 403


法律時報98巻11号(2026)

・丸山敦裕「憲法と家族法の交錯・22憲法学からみた夫婦同氏制」


自治研究102巻11号(2026)

・大森貴弘「ドイツ憲法判例研究〔305〕親子交流を全面排除したチューリンゲン上級地方裁判所決定の 違憲性」

2026年10月8日木曜日

連邦憲法裁判所75 周年記念式典

 1951 年9 月28 日、カールスルーエ劇場で式典が行われ、連邦憲法裁判所が正式に発足しました。それからちょうど75 年後の2026 年9 月28 日、連邦憲法裁判所の75 周年を記念して、カールスルーエのシュタットハレで、約1,000 名の招待客を招いて式典が開催されました。その模様は、当日10 時45 分(ドイツ時間)からZDF で生中継されました。

Vgl.https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Pressemitteilungen/DE/2026/bvg26-058.html

第6 回日独憲法対話(終了)

 2026 年9 月14 日~16 日にミュンヘン近郊Evangelische Akademie Tuting において第6回日独憲法対話が開催されました。総合テーマ「憲法の発展 VI :憲法の発展の構造、内容、様式としての歴史」について、7 つの個別テーマが設定され、報告・コメント・討論を通じて活発な対話がなされました。

 なお、次回は2028 年9 月4 日から東北大学での開催を予定しています。

第329回研究会

 •日時:2026年10月9日(金)18時~20時

※10月は公法学会の前日の夜開催ですので、いつもと時間・曜日が異なります。

•会場:名城大学天白キャンパス共通講義棟北N102教室

※教室は、正門から坂道を登って突き当たりの建物「共通講義棟北」1階をまっすぐ進んだ先です。

https://www.meijo-u.ac.jp/about/campus/tempaku.html


•報告者:今枝昌浩(宮崎産業経営大学)

•報告判例:2025年9月23日の第1法廷判決(1 BvR 1796/23 - Altersgrenze Anwaltsnotare)

https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2025/09/rs20250923_1bvr179623.html

•判旨

1. 基本法第12条1項に基づく職業の自由には、経済的な次元および人格の発展に関する次元がある。職業の自由は、個人の働き並びに生計の形成および維持の領域における人格の自由な発展のための基本権を具体化するものであって、可能な限り規制の無い職業活動を目指している。

2. 連邦公証人法第47条2号第1類型および第48a条に基づく70歳定年は、これによって追求される正統な諸目的――予防司法(vorsorgende Rechtspflege)が有効に機能すること及び世代間の職業機会の(公正な)配分の保障ならびに公証人の能力が加齢に因って減退する危険から司法を保護すること――を、弁護士公証人制度における応募者が継続的に不足していること及び職業の有能性について年齢がもつ意義に関する今日の知見の結果として、わずかな程度でしか達成しておらず、定年が弁護士公証人制度に関わる限りで、職業の自由を過度に制限している。