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2023年5月25日木曜日

第298回研究会

日時:2023年6月3日(土)14時~17時

会場:慶應義塾大学(三田キャンパス)313教室(大学院棟1階)

キャンパスマップはこちら:https://www.keio.ac.jp/ja/maps/mita.html (→「3番」の建物です)

報告者:土屋武(中央大学法学部)

報告判例:2022年6月15日第2法廷判決(2 BvE 4/20, 2 BvE 5/20 - Äußerung der Bundeskanzlerin)

https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2022/06/es20220615_2bve000420.html

判決要旨

  1. 連邦首相について、職務上の行為と職務に関わらない政治競争への関与を区別する基準は、その他の内閣構成員と同一である。
  2. 連邦政府内の権限秩序から、たしかに――その他の内閣構成員と比較して――連邦首相の発言権の対象はより広いが、そこから中立性および客観性の要請に関して別の要求が生じるものではない。
  3. 不平等取扱いを正当化し、連邦政府に政党の機会均等への介入権限を与える根拠は、憲法によって正当化され、政党の機会均等原則と釣り合いをとることのできる重要性を持つものでなければならない。
  4. 政党の機会均等と等価な憲法上の法益として、連邦政府の安定性および行為能力の保護ならびに国際コミュニティにおけるドイツ連邦共和国の信用性に対する信頼が考慮される。
  5. 連邦首相には、連邦政府の安定性と活動能力の維持のためにどのような措置が必要かという問題につき、外交領域の場合と同じく広い評価余地が認められる。政党の機会均等の原則に介入する場合、そのような介入を正当化する憲法上の法益が事実として不利益的影響を受け、基本法21条1項1文の政党の機会均等の権利への介入を必要としたことが説得的に説明されるか、その他のかたちで明らかにされなければならない。

クリップボード@月報第308号

斎藤一久『憲法パトリオティズムと現代の教育』(日本評論社、2023年3月)


藤井康博『環境憲法学の基礎—個人の尊厳に基づく国家・環境法原則・権利』(日本評論社、2023年4月)


玉蟲由樹「憲法上の権利にもとづく気候保護の可能性」法学館憲法研究所Law Journal 第28号(2023年4月)


松本和彦「FOCUS憲法Ⅳ 【第1回】外国籍の志望取得を巡る事例分析[判例解説編]—国籍法11条1項違憲訴訟」法学セミナー821号(2023年5月)


毛利透「『広場』で政治的集会を開催する自由はなぜ大事なのか-金沢市市庁舎前広場集会不許可事件最高裁判決を受けて」世界970号(2023年6月)118-128頁



法律時報95巻5号(2023年4月)

  • 初宿正典「ドイツのBundesratは二院制の《第二院》か?」


「特集・国会実務と憲法—『憲法改革』の核心」

  • 赤坂幸一「憲法問題としてのオンライン国会—研究者側の応答」
  • 山田哲史「条約締結承認手続の実態と評価、そして拡大可能性」
  • 山本真敬「憲法判断を含む判決とその事後処理」



法学教室512号(2023年4月)

  • 鈴木秀美「放送と憲法」
  • 毛利透「【憲法セレクトMonthly】〔憲法〕2021年10月の衆議院議員総選挙における投票価値較差の合憲性(最大判令和5・1・25)」


自治研究99巻5号(2023年4月)

  • 松原光宏「感染症パンデミックにおける公法上の重要問題(3・完)—『ロックダウン』規制について」
  • 倉田原志「【ドイツ憲法判例研究264】事業所の駐車場でのストライキ行動—アマゾン駐車場決定」


2023年4月26日水曜日

第297回研究会

  • 日時:2023年5月6日(土)14時~17時
  • 会場:慶應義塾大学(三田キャンパス)大学院棟1階313教室
    • キャンパスマップはこちら:https://www.keio.ac.jp/ja/maps/mita.html(→「③」の建物です)
    • 対面参加のための事前申込み等は不要です。会場にそのままお越しください。
    • 会場ではレジュメのみを配布しますので、判決文の全訳については各自、下記アドレスよりダウンロード・印刷をしていただくようお願いいたします。
    • なお、会場ではeduroamアカウントでWi-Fiを利用することができます。
  • Web参加: Web会議システム「Zoom」を併用して開催します:接続先は月報をご確認ください。
  • 報告に使用する資料は、報告の前日18時までに下記アドレスにアップロードします:接続先は月報をご確認ください。

  • 報告者:門田美貴(京都大学・特定助教)
  • 報告判例:2022年9月28日第1法廷決定(1 BvR 2354/13-連邦憲法擁護法違憲決定)

https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2022/09/rs20220928_1bvr235413.html


  • 判決要旨:

  1. 基本法73条1項10号から導かれる連邦の立法権限は、連邦およびラント間の協働のみに及ぶのではなく、ラント同士の間の協働にも及ぶ。これに対して、連邦の立法権限は、同一ラントの当局間での協働の規律を含むものではない。
  2. 規範の明確性は法律の参照の連鎖の使用を限界づけるが、これを根本的に妨げるものではない。治安法上のデータ処理を規格化する場合――秘密裡に行われる措置とは異なり――専門法を参照することが有用となり得、この専門法の文脈で解釈の問題が法適用の実践と司法審査の相互作用の中で拘束力をもって明らかにされうる。法律の参照が明確性の要請に適合的かどうかは、考え得る代替的規律を考慮した総合的な評価によって決まる。規範の内実の理解は、とりわけ参照される条項全てを列挙した参照の連鎖により容易となる。
  3. 危険防御という目的のために憲法擁護庁によって諜報機関的な手段によって収集した個人データや情報を提供することは、情報提供の閾値として原則、次のような犯罪行為を行うことの危険と結びつけることができる。すなわちこれらの犯罪行為においては、準備行為や単なる法益の危殆化を刑罰化することで、処罰性の閾値が危険の前域へと前倒しされる。しかし、立法者はさらに、個々の事案において、犯罪構成要件によって保護される法益に具体的または具体化された危険が存在していることを保証しなければならない。こうした危険は必ずしも犯罪の実現そのものがもたらす危険から生じるものではない。


クリップボード@月報第307号

  • 神橋一彦『行政救済法〔第3版〕』(信山社、2023年3月)
  • 渡辺康行・宍戸常寿・松本和彦・工藤達朗『憲法Ⅰ〔第2版〕』(日本評論社、2023年3月)
  • 山元一編『トピックから考える日本国憲法』(北大路書房、2023年3月)(小西葉子:6講、14講義、今枝昌浩:25講、27講)
  • 石塚壮太郎「ドイツにおける公益通報者の保護」ジュリスト1582号(2023年3月)
  • 岡田健一郎「いわゆる「問題行動」を理由とした公立図書館の利用制限に関する公法上の問題――土岐市図書館事件を素材として」高知論叢(社会科学)124号(2023年)71~115頁
  • 神橋一彦=櫻井智章=鵜澤剛栗島智明「憲法と行政法の交差点【第14回】[座談会]連載1年を振り返って(下)――憲法と行政法の関係」法学セミナー820号(2023年4月)
  • 小林宇宙「1924年のライヒ議会選挙制度改革」一橋法学22巻1号(2023年3月)
  • 斎藤誠「地方自治における標準と標準化-法的・政策的位置付けの史的計測(上)(下)」地方自治903号(2023年2月)2-16頁、904号(2023年3月)2-26頁
  • 斎藤誠「外国大規模施設に対する国内裁判所への出訴と条約の関係−ザルツブルク空港事件をめぐって」日本エネルギー法研究所報告書No.154『エネルギーに関する国際取決めの法的問題の諸相』(2023年3月)同研究所HPに所収
  • 柴田憲司「憲法事例分析の技法第13回 自書できない者の選挙権と投票の秘密」法学教室511号(2023年3月)
  • 水島朝穂「緊迫の時代における憲法9条のリアリティ——「ウクライナ戦争」の逆説」法律時報95巻4号(2023年4月)
  • 鈴木秀美「放送法と政治的公平――総務大臣の権限行使はどうあるべきか」世界969号(2023年4月)

自治研究99巻4号(2023年4月)

  • 松原光宏「感染症パンデミックにおける公法上の重要問題(二)—「ロックダウン」規制について」
  • 上代庸平「ドイツ憲法判例研究〔263〕自治体憲法異議の補完性の射程と地方自治行政の憲法的保障—ザクセン・アンハルト州児童福祉法判決」


2023年4月1日土曜日

【重要】メールアドレス変更連絡のお願い

  今年度からご所属先が変わるなどして、本研究会に届け出ているメールアドレスの変更が必要な会員の方は、速やかに代表又は事務局(月報送信元アドレス)までお知らせください。

2023年3月28日火曜日

第296回研究会

  • 日時:2023年4月1日(土)14時~17時
  • 会場:慶應義塾大学(三田キャンパス)大学院棟1階313教室
    • *キャンパスマップはこちら:https://www.keio.ac.jp/ja/maps/mita.html(→「③」の建物です)
    • *対面参加のための事前申込み等は不要です。会場にそのままお越しください。
    • *会場ではレジュメのみを配布しますので、判決文の全訳については各自、下記アドレスよりダウンロード・印刷をしていただくようお願いいたします。
    • なお、会場ではeduroamアカウントでWi-Fiを利用することができます。
  • Web参加:Web会議システム「Zoom」を併用して開催します:アクセス先は月報をご確認ください。
    • *報告に使用する資料は、報告の前日18時までに下記アドレスにアップロードします:アクセス先は月報をご確認ください。

  • 報告者:山本真敬(新潟大学)
  • 報告判例:2022年4月26日の第1法廷決定(1 BvR 1619/17 – バイエルン憲法擁護法部分違憲判決)
  • https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2022/04/rs20220426_1bvr161917.html

  • 判決要旨:
  1. 現行法によれば、憲法擁護官庁は、監視および危険の前段階での解明という特殊な任務を遂行し、その際、警察当局のように強制力のある措置に接続する権能(operative Anschlussbefugnisse)を持たないということは、原則として、憲法擁護官庁の監視権能を修正された侵害の閾値に拘束することを正当化する。しかし、この場合、それによって取得した個人関連データおよび情報の提供は、厳格な前提条件に服さなければならない。
  2. 憲法擁護官庁の具体的な秘密の監視措置がどの程度厳格に比例性の要請に服するかは、その都度の侵害の重大さによって決せられる。
    • a)人格の最も広範囲の把握に至り得る措置は、警察による監視措置と同様の比例性の要請に服する。
    • b)そのような措置でない場合には、憲法擁護官庁の監視権能は、警察的な意味での危険の存在に結び付けられる必要はない。しかし、その場合、憲法擁護に特有な解明の必要性が充分に存することが、その前提条件となる。この前提条件が存在するのは、個別事例において、特定の、情報機関の監視を必要とする試みの解明をするための監視措置が要請され、かつ、監視の必要性に関する事実に基づく手がかり(tätsachliche Anhaltspunkt)が充分に存在している場合に限られる。このことは、監視措置の侵害の重大性が大きければ大きくなるほど、ヨリ切迫したものでなければならない。立法者は、その都度必要となる監視の必要性についての基準を充分に確定し、明確に規律しなければならない。監視活動に含まれる者が、自身がその試みにおいて活動していないか、その試みのために活動していない場合には、特別の諸要件が存在する。当該措置の侵害の強度によっては、その措置を実施する前に、当該措置を独立した機関による統制に服せしめることが必要な場合があり得る。
  3. 個人関連データと個人関連情報を憲法擁護官庁が他の機関に提供することは、新たな基本権侵害を根拠付ける。その正当化は、少なくとも、当該データが諜報機関的手段(Nachrichtendienstliche Mittel:nd-Mittel)によって取得されたものである場合、仮想的な新規取得の基準に従って判断されなければならない。その基準によれば重要となるのは、その都度の提供目的ついて、提供される側の官庁に、当該憲法擁護官庁による過去の監視に匹敵する深刻さの手段で自らデータ取得および情報獲得が許されていたであろうかどうかである。憲法擁護官庁による提供は、当局が特に重要な法益の保護に資することを常に前提としている。これに対して、提供の閾値に関する要件は、いかなる機関に提供されたかによって異なる。
    • a)治安維持官庁への提供は、その提供が、特に重要な法益の保護に奉仕し、そしてその法益に対して少なくとも充分に具体化された危険が存在することが、前提条件となる。
    • b)刑事訴追官庁への提供は、特に重大な犯罪の訴追のためにのみ考慮し得るものであり、特定の事実によって根拠付けられた嫌疑が存在し、その嫌疑について、具体的かつ濃密な事情が事実の根拠(Tatsachenbasis)として存在することが条件となる。
    • c)その他の機関への提供は、特に重要な法益を保護するためにのみ許される。提供の閾値に対する憲法上の諸要件は侵害の重大性によって異なり、その重大性はまた、提供される側の官庁がどのような実施することと接続する権限を有しているかによっても変わることになる。憲法擁護官庁への提供は、それが特定の、情報機関による監視の必要な行動またはグループの解明のために当該情報を必要とするということの充分な事実に基づく手がかりが存在する場合に、考慮し得る。
    • d)海外への提供についても、国内での提供と同様の諸要件が妥当する。加えて、提供は、提供された国家において、データ保護法上適切であって、基本的人権の保障が両立し得るような形で提供された情報が取り扱われること、そしてそれが確認されていることが、その前提条件となる。
  4. 規範の明確性の要請は、法律において参照の連鎖(Verweisungsketten)を用いることに対して、限界を画する。見通すことができないような参照の連続は、基本権上の諸要請と両立し得ない。


クリップボード@月報第306号

  • 齋藤暁「憲法学の方法としてのドグマーティク――ドイツにおける実務志向的な法学の様相」民商法雑誌158巻6号(2023年2月)

  • 玉蟲由樹「気候保護決定の基本権ドグマーティク」日本法学88巻3号(2023年1月)

  • 司法研修所論集132号(2023年3月)
    • アンドレアス・フォスクーレ(栗島智明訳)「憲法の変遷とその限界」
    • 鈴木秀美「コメント」

  • 法学セミナー818号(2023年3月)
    • 玉蟲由樹「性風俗営業に対する差別的取扱い」
    • 宮村教平「[憲法へようこそPartⅡ【Unit2】More Freely!]生存権とその可能性」
    • 栗島智明「[憲法と行政法の交差点【第12回】]「コップの中の嵐」と裁判所――部分社会論のゆくえ」

  • 自治研究99巻3号(2023年3月)
    • 松原光宏「感染症パンデミックにおける公法上の重要問題(一)――「ロックダウン」規制について」
    • 宮村教平「立法過程の構造と解釈(二)──その序論的考察」
    • カール=フリードリッヒ・レンツ「[ドイツ憲法判例研究(262)]租税手続法の利率規定に関する違憲決定」