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2020年2月29日土曜日

第265回研究会

●日時:  201937日(土)13時~1815(予定) *2人の会員に報告して頂くため、通常より早めの開始となります
会場:  慶應義塾大学三田キャンパス 南館地下2階2B23教室
キャンパスマップ https://www.keio.ac.jp/ja/maps/mita.html(2番の建物です)

【第1報告】 13時~15
報告者:       小山剛(慶應義塾大学)
報告判例:   2015718日の第1法廷第3部会決定(1 BvQ 25/15Bierdosen-Flashmob事件)
決定要旨NJW編集部によるもの)
1.     集会の自由および意見表明の自由の基本権と、公共の往来を開通させ、それによって一般的なコミュニケーションの場を作出した私人の基本権との衝突がいかなる具体的諸原則に従って解決されるべきかについて、連邦憲法裁判所はいまだ判断しておらず(vgl. BVerfGE 128, 226 [250] = NJW 2011, 1201)、これは本案手続で明らかにされねばならない。
2.     私人の権利を根拠とする立ち入り禁止から集会挙行の事実上の禁止が生じることがないよう、連邦憲法裁判所法32条の仮の権利保護手続きの枠内で行われる帰結の衡量について。
3.     個別事件における帰結の衡量の結果、企図された集会の事実上の禁止が土地所有者の所有権によって根拠づけされない場合、原則として催事の宣伝の禁止も認められない。

【第2報告】 1515分~1815分(予定)
報告者:       高橋和広(東邦大学)
報告判例:   20181218日の第1法廷決定(BVerfGE 150, 244、ドイツ版NシステムⅡ)
決定要旨
1.        自動的な車両番号の検査は、たとえ結果が“不適合”でデータが即座に消去される場合であっても、その番号が検査の対象になる者すべての情報自己決定権への介入を根拠づける(BVerfGE 120, 378と相違)。
2.        基本法7411号により、立法について連邦に割り当てられている刑事訴追の問題と、原則として州に委ねられている危険防禦の問題との間に境界を設定するためには主に、規定の内容形成を客観的に見たときに明らかになるところの規制の目的を顧慮しなければならない。 州の立法者は、規制の事実上の作用が、刑事訴追をも促進するものであったとしても、それによって危険防禦に資する規制を妨げられることは無い。それでも、その規制は、州の権限が存在する目的設定から厳格に特定されるものでなければならない。
3.        目標とされる人または物を捜索するための、警察の取締りは、基本権介入として比例原則に従い、客観的に特定され、かつ限定されたきっかけを前提とする。それによって、それらの取締りは、危険を伴う行為又は特別な危険源の制御と関連しており、それ故にきっかけが無くとも正当化され得る取締りとは区別される。
4.        自動的な車両番号の検査は、その介入の重大性を考慮し、相当に重要な法益の保護又は比較的重要な公共の利益に資するものでなければならない。データの照合のために引き合いに出される手持ちの捜査情報は、事案と関係するものに限定されなければならない。
5.        番号検査が、重大な犯罪又は集会の自由に関する犯罪を抑止するための警察の検問所を支援するものとして憲法と合致するのは、そのような検査場所を設置すること自体が、十分に重要なきっかけと結びついている場合である。具体的な危険が前提とされている場合は、これに該当する。
6.        隠蔽捜査(Schleierfahndung)の手段としての番号検査は、特別な正当化を必要とする。この正当化は、ヨーロッパ内の国境管理の廃止と、それによって容易になった犯罪の遂行に立ち向かうという目的から生じる。検査が実質的かつ地域的に、首尾一貫した形で国境との関連性を示していることが前提条件である。

クリップボード@月報275号


Toru Mori, Wirkt in der Abwägung wirklich das formelle Prinzip? – Eine Kritik an der Deutung verfassungsgerichtlicher Entscheidungen durch Robert Alexy, Der Staat 58 (2019), S.555–573

棟居快行『憲法の原理と解釈』(信山社、20201月)

曽我部真裕=赤坂幸一=新井誠=尾形健編『憲法論点教室〔第2版〕』(日本評論社、20202月)
赤坂幸一4  判例の捉え方」「9  合憲限定解釈」「22 法律と条例の関係」
毛利透23 法律の概念、個別的法律」「24 客観訴訟と司法権」
赤坂幸一片桐直人「憲法論点教室実践編」

杉原周治「【時の問題】国家による芸術助成と表現の自由――『あいちトリエンナーレ2019』問題を素材として」法学教室472号(20201月)49

西土彰一郎「取材・報道の自由を語る作法 <特別企画 憲法改正問題と報道の自由>」法律時報922号(20202月)86

林知更「日本国憲法のアイデンティティ」論究ジュリスト32号(20202月)

片桐直人「企画趣旨<特集=カジノがやって来る――IR誘致をめぐる法的課題>」法学セミナー782号(20203月)

石村修「政府の憲法解釈」専修ロージャーナルNo.15201912)

辛嶋了憲「連邦憲法裁判所における一般的平等原則審査の変遷」一橋法学183号(201911月)

工藤達朗「立憲主義の概念と歴史」中央ロー・ジャーナル163号(201912月)

ニールス・ペーターゼン=フェリックス・フシャール(柴田憲司=徳本広孝=鈴木博人=小野寺邦広訳)『ニールス・ペーターセン教授講演集・公法における比例原則と家族法におけるヨーロッパ人条約の機能』(中央大学出版部、201912月)

Karl-Friedrich Lenz「特異点とEUAI倫理方針」青山法務研究論集18号(2019.10

マティアス・イェシュテット(畑尻剛吉岡万季訳)「憲法裁判所の同質性と異質性――フランス憲法院とドイツの連邦憲法裁判所の比較観察」比較法雑誌533号(201912月)

中西優美子EU運営条約二六七条三項の先決付託に関するフランス国務院(Conseil d'État)の義務違反――EU法における先決裁定手続に関する研究<36>」自治研究961号(20201月)95

小山剛「ドイツ憲法判例研究<224> 第二次スカーフ決定」自治研究961号(20201月)145

武市周作「ドイツ憲法判例研究<225> ゲームセンター不許可事件」自治研究962号(20202月)140

池上彰=鈴木秀美=吉永みち子=荻上チキ「開かれた新聞委員会・座談会 混沌の世界 どう報道、政権の緩み「桜」が象徴」毎日新聞202014日(東京朝刊)1819