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2020年6月6日土曜日

第268回研究会


● 日時:             202066日(土)14時~17
● 会場:             Web会議システム「Zoom」を使用して開催します
● 報告者:        片桐直人(大阪大学)
● 報告判例:    2018718日の第1法廷判決(BVerfGE 149, 222、放送負担金判決)

➣ 決定要旨
1.      公の施設につき、その(潜在的な)便益を享受する者に対し、その費用を負担金の形式で特別の負担として徴収することは、基本法に反しない。
放送負担金の徴収に相対する利益は、公共放送を利用しうる可能性に存する。
. 不特定多数またはほぼすべての国民に対しても、それぞれが個別的具体的利益を享受し、その利用が現実的に可能だと思われる限りにおいて、負担金を課すことができる。
3.州の立法者は、私的な領域においては公共放送の提供する番組サービスは住居で利用されるのが典型的であるとの前提の下で、住居の占有者に放送負担金の負担義務を課すことが許される。受信設備の有無や利用の意思は問題にならない。
私的な領域における放送負担金負担義務に加えて、事業目的での利用可能性は、事業所と自家用に用途が限定されていない自動車の占有者について、特別の利用があることを示している。
4.負担金の負担義務者は、同一の利益を重ねて吸収されない。
複数の住居の所有者は、私的な放送利用の可能性に対して、合計でひとつ以上の完全な放送負担金を課されない。

クリップボード@月報278号


法律時報925号(20205月)
■特集=憲法学の課題——グローバル化とナショナリズムの間で
➣オリヴァー・レプシウス(前硲大志訳)「正統化・解釈・妥協——現代憲法学の三つの課題」
高橋雅人「日本国憲法におけるグローバル化と国家の主体性」
●論説
➣ウヴェ・フォルクマン(村山美樹訳)「憲法改正と憲法変遷——ドイツ連邦共和国の憲法における安定性と動態性の関係についての考察」

柴田尭史「[最新裁判例研究]憲法・選挙供託金違憲訴訟[東京地判令元・5・24 LEX/DB文献番号25563149]」法学セミナー784号(20205月)

小西葉子「暗号化通信の傍受に関する憲法上の課題―ドイツ刑事訴訟法上の端末通信傍受を題材として――」Nextcom Vol.4220206月)3645

自治研究965号(20205月)
中西優美子EU構成国における司法権の独立と先決裁定手続<(7)>EU法における先決裁定手続に関する研究<38>
西土彰一郎「ドイツ憲法判例研究<228> 公権力担当者の発言と政治的中立性義務」

第267回研究会


● 日時:             202059日(土)14時~17
● 会場:             Web会議システム「Zoom」を使用して開催します
● 報告者:        菅沼博子(名古屋商科大学)
● 報告判例:    2017711日の第1法廷判決(BVerfGE 146, 71Tarifeinheitsgesetz
➣ 決定要旨
1.         基本法93項の自由権は、団結体固有のあらゆる活動を保障する。とりわけ、労働協約の締結、締結された労働協約の存続と適用、さらに争議行為を保障する。しかし、この基本権は、自己の利益のために、労働協約の交渉において重要な社会的地位や排除効を無制約に利用する権利を与えるものではない。
2.         基本法93項は、団結体の存続を保障するが、個々の団結体の存続を保障するものではない。ただし、特定の労働組合を協約締結から排除し、特定の種類の労働組合の存立の基盤を奪うことを目標とした国家の措置は、特定の性質の基準と同様に基本法93項に違反する。
3.         基本法93項の保護領域に含まれ、協約の自律性のシステムを作り出し、保障しようとする当該規制(労働協約法4a条)は、正当な目的を追求している。この目的を達成するために、立法者は、対立する協約当事者の間の対等性を生み出すことができる。それだけでなく、労働協約の交渉は、公正な調整を可能にするかぎりで、労働協約に内在する適正さの推定(Richtigkeitsvermutung)によって相応しい経済条件および労働条件をもたらす構造的な前提条件を作り出すために、労働協約の当事者間の関係を規律することもできる。
4.         労働協約の自律性の構造的な前提条件を規律する場合、立法者は評価特権と広範な行為の余地を有している。多数派協約の当事者を一方の側とすることのみから生じる問題は、原則的に、団結の自由の制約を正当化するものではない。

クリップボード@月報277号


Toru Mori, Die Bedeutung der Generationengerechtigkeit für das Verfassungsrecht, 法学論叢18656号(20203月)1226

工藤達朗「憲法に国家は必要か?――グローバル化の中の憲法概念」日本比較法研究所設立70周年記念『グローバリゼーションを超えて』(中央大学出版部、2020年)75頁以下

渡辺康行「コメント」伊藤滋夫編『憲法と要件事実 <法科大学院要件事実教育研究所報18>』(日本評論社、20203月)6872頁、140145

藤井康博「環境問題はどこまで憲法問題か──環境憲法の理論と解釈」論究ジュリスト33号(20204月)

丸山敦裕「Ⅰ 憲法の視点――「SNS問題」を考える <特集 『法学の視点』からニュースを考える>」法学教室475号(20204月)

石塚壮太郎「ドイツ―音楽サンプリングは著作権侵害にあたるのか <海外法律情報>」ジュリスト1543号(20204月)

林知更「歴史哲学の後で――憲法学における外国法の参照 <特集= 外国法の参照>」法律時報924号(20204月)

Tomonobu Hayashi, Staat als Garant der individuellen Freiheit: die Rezeption Böckenfördes in Japan, in: Mirjam Künkler /Tine Stein (Hrsg.), Die Rezeption der Werke Ernst-Wolfgang Böckenfördes in international vergleichender Perspektive, Beihefte zu »Der Staat«, Band 24 (2020), 125 ff.

鈴木秀美「『忘れられる権利』と表現の自由・再論』――ドイツ連邦憲法裁判所の2つの決定を手がかりに」
メディア・コミュニケーション70号(20204月)1~18

「ドイツのSNS対策法―法規制と表現の自由」ヒューマンライツ385号(20204月)1~8頁

池上彰=鈴木秀美=吉永みち子=荻上チキ「開かれた新聞 委員会から コロナ不安に応えたか」毎日新聞2020410日(東京朝刊)17 

宮村教平「ドイツ憲法判例研究<227> 大学入学希望者に対する定員配分手続きの憲法適合性」自治研究964号(20204月)150161

第266回研究会


● 日時:             201944日(土)14時~17
● 会場:             Web会議システム「Zoom」を使用して開催します
● 報告者:        栗島智明(埼玉大学)
● 報告判例:    2018424日の第2法廷決定(BVerfGE 149, 1
➣ 決定要旨
1.      職業官吏制度の伝統的原則としての終身任用原理は、終身任用の官吏が有する基本的身分を保護するだけでなく、終身任用の官吏にそれぞれ委ねられた身分法上の職務(Amt)をも保護する。終身任用関係によって保障される、身分法上の職務の不可奪性には根本的な意義が認められる。というのも、まさにその不可奪性こそが、委託された職務を官吏が遂行するにあたって、法律および法への拘束という利益のために必要不可欠な独立性を保障するためである。
2.      a) 伝統的に、いくつかの特定の官吏関係は基本法335項で保護された核心領域から除外されており、終身任用原則からの逸脱として認められている。
         b) 期限付き官吏関係の制度形成は、基本法335項により保障された終身任用原則に対する介入として、該当する事項領域の特殊性およびそれと結びついた任務遂行の特殊性を考慮する場合にのみ、正当化されうる。
c) 該当する地位および任務の範囲から生じる特別な事項法則性により終身任用の原則およびあらゆる身分法上の職務の終身委託の原則からの例外が必要とされるか否かにつき、一般化した答えを出すことはできない。その問いに答えるためには、個別事案におけるそれぞれの規律構造に関してあらゆる重要な観点を考慮した、具体的な評価をすることが必要である。
3.      a) ブランデンブルク州の大学法における大学事務局長(Hochschulkanzler)の地位およびその任務の範囲からは、終身任用の原則および身分法上の職務についての終身委託の原則からの例外を必要とさせるような特別な事項法則性は導き出されない。
b) ブランデンブルク州の大学法立法者は、大学総長に強力な独任制の統率の地位を与えるという規範的な組織決定・構造決定を行った。この決定それ自体に疑義はないが、終身任用原則からの逸脱を正当化しうるものではない。大学総長(Hochschulpräsident)の責任領域のなかに大学事務局長を位置づけ、ないしそれに従属させることは、事務局長を期限付き官吏関係として任用するための十分な事項理由とはならない。
c) ブランデンブルク州の大学法における具体的な制度形成における大学事務局長は、自治体の選挙官吏(Wahlbeamte)や政治官吏(politische Beamte)と比較しうるものではない。

クリップボード@月報276号


神橋一彦『行政判例と法理論』(信山社、20203月)

神橋一彦「地方議会議員に対する懲罰と「法律上の争訟」-出席停止処分に対する司法審査を中心に―」立教法学102号・渋谷秀樹教授退職記念号(20203月)

初宿正典=高橋正俊=米沢広一=棟居快行『いちばんやさしい憲法入門〔第6版〕』(有斐閣、20203月)

大橋洋一=仲野武志編『法執行システムと行政訴訟――髙木光先生退職記念論文集』(弘文堂、20203月)
毛利透「ロールズとハーバーマスにおける宗教と政治」
斎藤誠「行政過程における行政争訟の要請と除外―その法理に関する覚書」

松本和彦21 辺野古環境影響評価手続やり直し義務確認等請求事件 福岡高那覇支判平成25年(行コ)第11号 平成26527日民事部判決(判例集未登載)」環境法研究10号(20203月)

中西優美子「〈巻頭言〉フォンデアライエン欧州委員会発足」EU法研究7号(20203月)

岡田俊幸「私有地における集会の自由」日本法学852号(20199月)175

玉蟲由樹「平等取扱原則と比例性」日本法学852号(20199月)482

櫻井智章「【判例セレクトMonthly】〔憲法〕面会交流権の憲法上の権利性(東京地判令和元・1122)」法学教室474号(20203月)123

村山美樹「ドイツ憲法判例研究(226)カトリック病院の忠誠義務と教会の自己決定権-医長事件」自治研究963号(20203月)153-160

中西優美子EU構成国における司法権の独立と条約違反手続<(5)> EU法における先決裁定手続に関する研究<37>」自治研究963号(20203月)111-122