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2017年6月23日金曜日

7月1日(土):第249回研究会

日時:2017年7月1日(土) 14時

会場:専修大学(法科大学院棟3 階の837 教室) *いつもの教室とは異なります。
報告者:カール=フリードリッヒ・レンツ(青山学院大学)

報告判例:2016年12月6日の第1法廷判決[原発廃止法違憲判決](1 BvR 2821/11, 1 BvR 1456/12, 1 BvR 321/12)
 ※判例の翻訳はレンツ会員のDropboxに公開されています。以下のリンクを辿って確認できます(リンクをクリックするとPDFファイルが開きますのでご注意ください)。
http://k-lenz.de/atom

判例要旨
  1. 原発廃止の加速を目的とした原子力法の第13改正法は、概ねに、合憲である。
  2. 欧州連合の加盟国が完全に所有する国内の営利活動している法人は、憲法の欧州連合法に対する礼譲を故に、例外の場合には所有権を主張して憲法異議を提起することができる。
  3. a) 2002年および2010年の法律により、個別原発に指定された発電枠は、それ自体が所有権保護を受ける個別対象でないが、重大な使用枠として原発の所有権保障の一部である。
    b) 公法上の許可は、原則として所有権保障の対象でない。
  4. 憲法14条3項における収用は、所有権の主体変更による所有権の剥奪の上に、常に国家による所有権取得を必要とする。そのため、2011年7月31日の第13原子力法改正法による原発廃止加速に関する規定は、収用に該当しない。
  5. 憲法14条1項2文の内容および限界を定めるための、所有権に関する使用および処分の自由の制限が具体的な所有権地位を剥奪して国家の権利取得がない場合、これらの制限の比例性について厳格に審査しなければならない。その場合、常に補償について検討しなければならない。
  6. 本件憲法異議の対象である第13原子力法改正法により、2010年末の立法で原発の運転期間が平均12年間に延長されたことが撤回されたが、その撤回は、追加発電枠に関する信頼が複数の原因により限定されたため、合憲である。立法者には、危険についての新たな認識がない前提でも、福島原発を理由に、国民の健康の保護および環境保護を目的に、原発廃止を加速することが許された。
  7. 発電所の残存運転機関が法律で定められたこと、本件で特に約束された信頼保護のため、第13原子力改正法は、以下の点で、許されない所有権の内容および限界を含む。憲法異議の原告の2社について、2002年の残存発電枠を社内で利用できない結果になる点である。
  8. 一定の条件の元、憲法14条1項は、現行法の維持に関する正当な信頼が所有権およびその利用可能性に関する投資の根拠となる限り、その信頼を保護する。

クリップボード@月報第249号

阪口正二郎・毛利透・愛敬 浩二編
『なぜ表現の自由か:理論的視座と現況への問い』(法律文化社、2017年)

門田孝・井上典之編『憲法理論とその展開——浦部法穂先生古稀記念』(信山社、2017年)
  • 赤坂正浩「機構としての国家――R・ヘルツォークとP・ペルンターラの国家観」
  • 井上典之「事後法禁止の原則をめぐる憲法上の一考察――遡及的効果を持つ法内容の変更と法治国家原理・基本権」
  • 西土彰一郎「トランスナショナル憲法の可能性」
  • 棟居快行「人権制約法理としての『浦部三原則』」
  • 門田孝「裁判所による憲法解釈の「視点」に関する一考察――2013年婚外子法定相続分規定違憲決定を契機として」
  • 宮地基「ドイツにおける精神病患者の強制治療と基本権保障」
  • 春名麻季「人権の基底的原理としての「個人の尊重」についての一考察――夫婦別姓事件合憲判決を素材に」
  • 浮田徹「子の育成及び教育にかかる費用と憲法原理」
 
法律時報編集部編『法律時報増刊・戦後日本憲法学70年の軌跡』(日本評論社、2017年)
  • 森英樹「『二つの法体系』論――原点を問い、現点を診る」
  • 戸波江二「憲法訴訟論」

樋口陽一・中島徹・長谷部恭男編『憲法の尊厳――奥平憲法学の継承と展開』(日本評論社、2017年)
  • 渡辺洋「憲法文化の規範性――いま、奥平康弘『法ってなんだ』を読み直す」
  • 押久保倫夫「人権/権利/人間像――『一人前の人間』論を契機として」
  • 毛利透「インターネット上の匿名表現の要保護性について――表現者特定を認める要件についてのアメリカの裁判例の分析」
  • 渡辺康行「最高裁判所判事としての団藤重光――『リベラルなタカ』の挫折と価値」

片桐直人
[ドイツ憲法判例研究193]「OMT合憲判決」自治研究93巻6号(2017.6)147-155頁

鈴木秀美
「ドイツのSNS対策法案の概要と問題点」Law&Technology76号(2017)35-43頁