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2018年8月31日金曜日

第250回研究会


日時:201891日(土) 14時~17
会場:日本大学法学部 4号館(地下)第4会議室A
  *当日、4号館入館には会議室にインターホンで連絡を取り、内部からの開錠を求めることが必要です。1345分から14時までは、誰かが入口で待機するようにいたしますのでその必要はありません。14時以降に到着された場合には、4号館入口からインターホンで会議室へご連絡くださるようお願い申し上げます。
報告者:中西優美子(一橋大学)
報告判例:2017718日第2法廷決定(2 BvR 859/15, 2 BvR 1651/15, 2 BvR 2006/15, 2 BvR 980/16) [EZBPSPP決定に関するEU司法裁判所への先決付託決定]BVerfGE 146, 216
https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2017/07/rs20170718_2bvr085915.html
決定要旨:
ドイツ連邦憲法裁判所は、以下のような、5つの先決付託問題を提出することを決定した。
1.        流通市場(Sekundärmärkte)における公共部門の資産購入プログラムに関する2015年3月4日の欧州中央銀行の決定2015/774(ECB/2015/10)、または、その実施の方法は、EU運営条約123条1項に違反するか。
すなわち、公共部門の資産購入プログラム(Programms zum Ankauf von Wertpapieren des öffentlichen Sektors an den Sekundärmärkten, public sector purchase programme、以下PSPP)の枠組みにおいて、とりわけ次のような場合に、EU運営条約123条1項に違反するか。
 a) ユーロ制度が構成国により発行される債券(Anleihen)の一部を購入するという、市場での事実上の確実性を創り出すような方法で購入の詳細が通知される場合
 b) 発行市場(Primärmarkt)における債務名義(Schuldtitel)の発行及び流通市場における購入の間の最小期間の遵守に関する詳細が事後的にも通知されず、この点に関し裁判所の審査ができない場合。
 c) 購入されたすべての債券が再販売されず、満期日まで維持され、結果として市場から撤収される場合。
d) ユーロ制度が満期の逆鞘をもつ、名目の市場性のある債務名義を購入する場合。
2.        1で言及した決定は、金融市場に関する条件における変更につき、特に購入できる債券の不足により、その継続的な実施が、元々合意された購入ルールの連続緩和を要請し、また、PSPPに代表されるような債券購入プログラムに関するEU司法裁判所の判例法に定められる制限がその効果を失う場合は、EU運営条約123条にいずれにせよ違反するか。
3.        1で言及した現行版の2015年3月4日の欧州中央銀行の決定2015/774は、欧州中央銀行の委任を超え、そのため構成国の管轄権を侵害しているという理由で、EU運営条約119条及び127条1項及び2項並びに欧州中央銀行制度規程に関する付属議定書17条から24条に違反するか。
欧州中央銀行の委任を超えていることは、特に以下の事実から生じるか。
a) 2017年5月12日に1兆5348億に達したPSPPの(購入)量に基づいて、1に言及された決定が構成国の再融資条件に相当に影響を与えること
 b) a)で挙げられた構成国の再融資条件の改善及び商業銀行への影響に鑑み、1に言及した決定が間接的な経済政策上の影響を有するだけではなく、その客観的な確定可能な効果が当該プログラムの経済政策的な目的が金融政策的な目的と少なくとも同等な優先事項となることを示していること
 c) その強い経済政策上の効果を考慮すると、1で言及した決定は比例性原則に違反すること
 d) 2年以上の実施期間特別の理由づけがなく、1に言及した決定が必要であり、比例的であるか否かの審査が可能でないこと。
4.        1で言及した決定が、その(購入)量及び2年以上の実施期間並びにそこから生じる効果がPSPPの必要性及び比例性に関する評価を変更することになり、その結果、いつかある時点より欧州中央銀行の金融政策上の委任を超えることとなり、いずれにせよEU運営条約119条及び127条1項及び2項並びに欧州中央銀行制度規程に関する付属議定書17条から24条に違反するか。
5.        中央政府及びそれに相当する発行者の債券の不支払いの場合、1で言及される決定の下で定められうる、ユーロ制度の国内中央銀行間のリスクの無制限な共有が、もし結果として、国内中央銀行が予算財源を用いた資本構成の変更を必要としうる場合、EU運営条約123条及び125条に並びにEU条約4条2項に違反するか。

ペーターゼン教授の講演会のお知らせ


ミュンスター大学のペーターゼン(Niels Petersen)教授が中央大学の客員教授として、2018年9月23日から10月6日まで滞在され、下記の講演会が予定されています。
 学期始めでご多用のこととは存じますが、「憲法における比例原則」という興味深いテーマですので、会員の皆様にはふるってご参加くださいますようお願い申し上げます。
ご不明の点は畑尻(hansnaomi@nifty.com)までご照会ください。

日時:2018年9月29日(土曜日)午後2時-5時
場所:中央大学法科大学院市ヶ谷キャンパス2号館9階模擬法廷
   (http://www.chuo-u.ac.jp/campusmap/ichigaya/)
講演テーマ:「憲法における比例原則」Verhältnismäßigkeitprinzip im Verfassungsrecht
参加申込:以下のウェブサイトの「申込:」 の、「こちらのページ」リンクから、申し込みをお願いいたします。http://www.chuo-u.ac.jp/research/institutes/comparative_law/event/2018/08/73268/

 また、滞在中、ペーターゼン教授は以下の講義も予定されています。いずれも多摩キャンパスでの開催となりますが、ご参加いただければ幸いです。会場等詳細は日本比較法研究所のウェブサイトでご確認ください(事前申し込みは不要です)。
http://www.chuo-u.ac.jp/research/institutes/comparative_law/event/

日時:2018年10月1日(月曜日)午前11時―12時30分
場所:中央大学多摩キャンパスhttp://www.chuo-u.ac.jp/campusmap/tama/
講義テーマ:「ヨーロッパ人権条約第8条の家事事件に対する機能」Themenbereich: Die Funktion für Familiensachen von der Europäischen Konvention für Menschenrechte Art.8

日時:2018年10月2日(火曜日)午後1時20分―2時50分
場所:中央大学多摩キャンパス
講義テーマ:「行政争訟における比例原則の機能」Die Funktion des Verhältnismäßigkeitprinzips in Verwaltungsstreitigkeiten

クリップボード@月報第260号


赤坂幸一「統治機構論探訪 16――議会先例の形成」法セミ763号(2018年8月号)
「統治機構論探訪 17――公共空間と秘密」法セミ764号(2018年9月号)

上代庸平「「文書への『意識』と情報という『力』」法セミ763号(2018年8月号)

棟居快行「優生保護法と憲法学者の自問」法律時報909号(2018.7

特別企画「ディシプリンとしての憲法学・再考——林知更『現代憲法学の位相』をめぐって」法律時報90巻9号(2018.7)

高橋和之・高見勝利/宍戸常寿・林知更・小島慎司・西村裕一
「戦後憲法学の70年を語る——高橋・高見憲法学との対話・4-3 最終回 日本社会と憲法学」法律時報90巻8号(2018.6)

高橋雅人「憲法裁判所」阪口正二郎・愛敬浩二・青井未帆編『憲法改正をよく考える Taking Constitution Seriously』(日本評論社、2018年5月)

國分典子「朴槿恵大統領弾劾と韓国の民主主義」辻村みよ子編・憲法研究2号(信山社、2018年5月)

岡田俊幸「ドイツにおける強制加入制の憲法問題――強制加入制の憲法適合性に関する連邦憲法裁判所の判例について」法学紀要(日本大学)59号(2017年3月)9頁

吉岡万季「家族法の国際化とその憲法上の限界――ドイツにおける家族法の欧州化を手がかりに」法学新報(中央大学)124巻11=12号129頁

アンドレアス・フォスクーレ/トーマス・ヴィッシュマイヤー(畑尻剛土屋武訳)「ペーター・ヘーベルレ傘寿を祝して――コンテクスト主義の法理論(三・完)」自治研究 94巻8号(2018.8)64-77頁

栗島智明「ドイツ憲法判例研究(207) 高等教育における質保証と学問の自由――アクレディテーション決定[連邦憲法裁判所第一法廷2016.2.17決定]」自治研究94巻8号(2018.8)154-162頁