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2023年12月31日日曜日

第303回研究会(2024/01/02 22:45修正)

日時:2024年1月6日(土)15時~18時

※報告者のご都合で開始時刻・終了時刻ともに1時間遅らせることになりました。(2024/01/02 22:45修正) 

会場:慶應義塾大学三田キャンパス南校舎436教室(正門正面の建物3階)

キャンパスマップはこちら:https://www.keio.ac.jp/ja/maps/mita.html(4番の建物)

報告者:岡田俊幸(日本大学)

報告判例:2022年1月18日の第1法廷第1部会決定(NJW 2022, 844; 1 BvR 1565/21, 1 BvR 2058 /21, 1 BvR 2057/21, 1 BvR 2056/21, 1 BvR 2055/21, 1 BvR 2054/21, 1 BvR 2575/21, 1 BvR 2574/21, 1 BvR 1936/21, 1 BvR 1669/21, 1 BvR 1566/21 - Reduktionspfades für Treibhausgase)

https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2022/01/rk20220118_1bvr156521.html


決定要旨:

近い将来の一定の期間まで排出することが許されるCO₂総量を定める規制が後続の時期に対して制約類似の事前作用を発生させる場合、異議申立人は、憲法異議の訴えによって、この規制を攻撃することができる。制約類似の事前作用は、各々の立法者が、全体としてなお許容可能なCO₂排出に関する大まかに認識できるバジェットに拘束されていることを要件としている。加えて、異議申立人は、原則として、現在において許容されているCO₂排出の全体に向けられなければならないのであり、たんに国の個別的な作為又は不作為に向けるものであってはならない。各州については、CO₂残余バジェットを少なくとも大まかに認識できるような削減基準は、現在のところ、存在しない。


クリップボード@月報第314号

赤坂幸一・大河内美紀・宍戸常寿・西村裕一・林知更・山本龍彦『日本国憲法のアイデンティティ』(有斐閣、2023年11月)

石村修「文化国家と自治体」専修ロージャナル19号(2023年12月)

岡田健一郎「『ビジネスと人権に関する指導原則』は日本の憲法論にどのような影響を与えるか」一橋法学22巻3号(2023.11)

小林宇宙「1926年のライヒ議会選挙制度改革」一橋法学22巻2号(2023年7月)

柴田憲司「憲法事例分析の技法〔第22回〕同性婚と憲法上の権利・平等・制度」法学教室520号(2023年12月)

毛利透「ロールズとハーバーマスにおける宗教と政治」苅部直・瀧井一博・梅田百合香編著『宗教・抗争・政治—主権国家の始原と現在』(千倉書房、2023年12月)

自治研究100巻1号(2023年1月)

  • 阿部泰隆「行政権と司法権の癒着、裁判の公正を害する三権分立違反の腐敗(一)」
  • ヨハネス・ブーフハイム/栗島智明・巽智彦訳「行政法におけるアクチオ的思考(上)」
  • 初宿正典宮村教平訳「ドイツのラント憲法:ザールラント憲法(三・完)」
  • 中西優美子「【EU法における先決裁定手続に関する研究(55)】オーフス条約九条三項及びEU基本権憲章四七条によるEU構成国における司法アクセスの保障(V(8))」
  • 門田美貴「ドイツ憲法判例研究〔272〕新たに出訴期間を開始させる「介入」としての情報機関から警察への情報提供」


2023年11月25日土曜日

第302回研究会

日時:2023年12月2日(土)14時~17時 

会場:日本大学法学部本館141講堂

報告者:岡田健一郎(高知大学)

報告判例:2021年6月8日の第1法廷決定(BVerfGE 158, 170: 1 BvR 2771/18 - (IT-Sicherheitslücken ITセキュリティ脆弱性

https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2021/06/rs20210608_1bvr277118.html


判決要旨:

  1. 基本法10条1項は防御権を根拠づけることと並んで、通信の秘密に該当するコミュニケーションに対する第三者による侵害からの保護の国家への委託を根拠づけている。
  2. a)ITシステムの機密性と完全性に関する基本権上の保障は、国家に対し、システムに対する第三者による攻撃からの保護に寄与することを義務づける。
    b)国家の基本権保護義務はまた、一方で未知の脆弱性を用いた第三者による攻撃からITシステムを保護すること、他方で危険防除に役立つ端末通信傍受を可能にするそのような脆弱性を開いておくこと、という諸目的の衝突を基本権適合的に解消するための調整も国家に要求する。
  3. 立法上の保護義務の違反を主張するためには、特別な主張責任が存在する。そのような憲法異議は、法律上の調整関係を全体的に把握しなければならない。そこには、異議を申し立てられている規範の集合体の調整について説明し、それらが総じて〔ITシステムを〕憲法上不十分にしか保護していない理由を根拠づけることが含まれている。
  4. 憲法異議が法律に直接向けられている場合は、補完性の原則に従い、行政裁判上の確認の訴えもしくは差止めの訴えの提起も今回の法的手段〔憲法異議〕の前に必要である。このことは以下の場合には必要ない、すなわち、ある規範の評価のみが特定的に憲法上の問題を惹起しており、そして、先行する専門裁判所の審査によってより良い判決の基礎が提供されることが期待されない場合には。このことはまた、立法上の保儀義務違反に対する異議申立の場合でも同様である。


クリップボード@月報第313号

玉蟲由樹「判例クローズアップ・市庁舎前『広場』での集会規制」法学教室518号(2023年10月)

Mitsuhiro MATSUBARA, Staat und Verfassung - Ein Vergleich Japan-Deutschland, JöR 2023, S. 187-207

法学セミナー827号(2023年11月)

  • 神橋一彦「憲法と行政法の交差点【第21回】防衛作用の特殊性と行政法」
  • 實原隆志「マイナンバー制度とは?」

自治研究99巻11号(2023年11月)

  • 初宿正典・宮村教平「ドイツのラント憲法:ザールラント憲法(1)」
  • 波多江悟史「ドイツ憲法判例研究(270)州による放送財源州際協定締結拒否の合憲性」


2023年11月1日水曜日

第301回研究会

  • 日時:2023年11月4日(土)14時~17時
  • 会場:慶應義塾大学三田キャンパス411教室
*日大が学園祭のため11月の会場は慶大です。
キャンパスマップはこちら:https://www.keio.ac.jp/ja/maps/mita.html (キャンパスマップ4番の建物)
  • 報告者:石塚壮太郎(日本大学)
  • 報告判例:2022年10月19日の第1法廷決定(BVerfGE 163, 254; 1 BvL 3/21 – Sonderbedarfsstufe 庇護申請者給付法における特別需要等級)
    https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2022/10/ls20221019_1bvl000321.html
  • 判決要旨:
    1. 基本法1条1項から生じる人間に値する生存最低限の保障のための客観的義務は、困窮状況で物質的な支援を得る給付請求権に対応する。その請求権は、人間に値する生存の確保のために絶対的に必要な手段に及ぶ。この社会的給付は、継続的に現実適合的に算定されなければならず、それにより確保されるのは、人間に値する生存への配慮が実際になされることである。それらの給付は、需要がすでに他の方法で充足され、それゆえ給付が生存確保のために不要であるという推測に基づくことのみによって、またこのことが具体的な状況において十分に主張可能であることなしには、一律に減額されえない。
    2. 基本法は、人間に値する生存の確保のための社会的給付の投入を、後置原則と結びつけることを妨げない。したがって、要扶助性の克服に自ら積極的に協力することや、困窮性にそもそも陥らないようにすることを求める立法者の決定と、基本法は矛盾しない。立法者は原則として、生存確保のための給付の受給を、困窮性を直接に回避または緩和するのに適合的で必要で相当な――実際に使える――手段を用いる責務の充足と結びつけることができる。しかし、生存確保のための給付の一律の減額がそのような責務に基づきうるのは、それらの責務が実際に満たされることができ、それによりこの範囲での需要が証明可能な形で充足される場合のみである。

クリップボード@月報第312号

笹田栄司『裁判制度のパラダイムシフトⅠ』(判例時報社、2023.10)

片桐直人「FOCUS憲法Ⅳ【第6回】将来にわたる環境保全を目的とする職業制約と損失補償[問題解説編]――経済的自由をめぐる憲法思考」法学セミナー826号(2023.10)

柴田憲司「憲法事例分析の技法〔第19回〕水資源の保持のための採石の禁止と財産権」法学教室517号(2023.9)

自治研究99巻10号(2023.9)
  • 阿部泰隆「司法制度改革失敗の原因と司法の蘇生策(三・完)」
  • 中西優美子「【EU法における先決裁定手続に関する研究】EUにおける気候訴訟と原告適格(I(10))」
  • 山本真敬「【ドイツ憲法判例研究269】バイエルン憲法擁護法判決」

2023年9月26日火曜日

第300回研究会

※第300回研究会では、事前に研究会・懇親会の出席確認を致しております(〆切=10月2日(月)18:00まで)。出席をされる方で、まだ提出されていない方は急ぎ月報記載のフォームからご回答ください。

研究会情報

  • 日時:2023年10月6日(金)18時~20時
  • 会場:大阪公立大学文化交流センター
    • 〒530-0001 大阪市北区梅田1-2-2-600大阪駅前第2ビル6階
    • JR「大阪駅」や地下鉄御堂筋線「梅田駅」から徒歩10分。
    • 大阪公立大学梅田サテライトと同じ建物の同じ階です。
    • アクセスマップ:https://www.omu.ac.jp/about/campus/umeda/
  • 報告者:原島啓之(関西大学)
  • 報告判例:2022年2月9日の第2法廷決定(BVerfGE 160, 284, 2 BvL 1/20 -Verbotene Kraftfahrzeugrennen)https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2022/02/ls20220209_2bvl000120.html

判決要旨:

  • 1a. 刑事裁判所に対して、「法律なければ刑罰なし」という命題は、基本法20条2項2文から生じる権力分立原則を具体化している。刑事裁判所は、可罰性についての立法者の決定に修正する形で介入してはならない。もっとも刑事裁判所は、文言の限界の枠内において、〔構成要件を〕厳密化する解釈によって、広義に表現された構成要件に輪郭を付与しなければならない。その際、刑事裁判所は、立法者が可罰性を限界付けるために設けた構成要件要素に、当該限界付けを破棄する仕方で平準化する解釈を加えてはならない。
  • 1b. それゆえ、個々の構成要件要素は、――たとえ規範名宛人の保護のためであっても――それらの可能な語義の枠内において、他の構成要件要素に完全に埋没するほど広く、つまり、必然的に他の構成要件要素によって一緒に実現されざるを得なくなる程に広く解釈されてはならない(構成要件要素の平準化禁止(Verbot der Verschleifung von Tatbestandsmerkmalen))。

  • 2a. 立法者に対して、基本法103条2項は、その明確性要請としての機能において、〔ある行為に〕刑罰が科されるべきか否かという本質的な問いを民主的な議会における意思形成過程のなかで解明し、可罰性の要件を、刑罰構成要件の射程および適用範囲を認識でき、解釈によって突き止めることができるほど具体的に記述する義務付けを含んでいる。
  • 2b. これに対し、基本法103条2項は、一切の構成要件要素を他の構成要件要素に埋没させないよう定式化する刑事立法者の義務をも含むものではない。立法者の評価余地・裁量余地に鑑みれば、〔可罰性を〕明確化するために立法者にとって重要な構成要件要素を明示的に法律テキストに取り入れることは、たとえそれらが相互に埋没し、それゆえ結果として「平準化させる」ものであるとしても、立法者に禁じることができない。
  • 2c. したがって、立法者がこの種の構成要件要素に構成要件を限定する機能を付与していなかった場合、裁判所によるそれらを平準化させる解釈は基本法103条2項に違反しない。
  • 2d. それゆえ、基本法103条2項から導出される平準化禁止は、専ら法適用のレベルにのみ関係する。法定立のレベルにおいて、平準化禁止は、立法者が構成要件のなかで使用した諸概念によって生み出される可罰性の限界付けが裁判所による広い解釈によって抹消されるのを防止するという目標を、達成することができない。明確性要請の諸要求を満たすためには、立法者が刑罰規範を、規範名宛人が一般的な基準に従うことによって当該刑罰構成要件の射程および適用範囲を突き止めることができるように表現していれば十分である。
  • 2e. ここまで述べられた諸基準は、基本権の内容および射程を定めるための解釈の補助として援用されるべき欧州人権条約7条の明快性・明確性の要請の顧慮の下でも妥当する。これらの要請は、基本法103条2項の保障内容を越えるものではない。

  • 3. 刑法315d条1項3号は合憲である。この規範はとりわけ、基本法103条2項の明確性要請に適合している。
  • 3a. 刑法315d条1項3号は、〔同規定によって〕把握された道路交通、生命、身体の不可侵性および財産の安全という法益を、立法者がこれらの法益をそこから保護しようとするところの特別の危険と同様に明らかにしている。
  •  とりわけ、立法者が新たに導入した「最大限度の速度(höchstmögliche Geschwindigkeit)」という概念は、その語義の枠内において、方法論上正当な形で解釈されうる。
  • 3b. 〔最大限度の速度に到達するためという〕意図の要素が、未だ刑罰は科されないものの、規範に完全には適合せず、あるいは配慮が十分とはいえない恐れのある道路交通上の行為との境界付けに着目した場合に、依然として周縁部分に不鮮明さを含んでいる点について、この要素は、語義の枠内での裁判権による厳密化を受け入れるものである。〔この構成要件要素を満たすためには〕行為者の目標設定が、行為者自身の観念によれば交通の安全という観点の下で全く些細であるとはいえない区間と結び付いていなければならず、空間的に狭く限定された範囲での交通事象の処理だけに尽きるものであってはならないという、連邦通常裁判所による刑法315d条1項3号の解釈は、可能であり、かつ、方法論上正当な解釈である。この解釈は、刑法315d条1項3号の文言と両立するものであり、認識可能な立法目的と矛盾しない合理的な意義を同規定に残している。
  • 3c. かかる刑法315d条1項3号の刑罰構成要件の解釈は、立法者が〔可罰性の〕限界付けとして理解した構成要件要素の平準化を帰結しない。この解釈はとりわけ、意図の必要性が他の構成要件要素の定義のなかに埋没してはならないことを顧慮している。このことは、「不適切な速度(nicht angepasste Geschwindigkeit)」および「著しい交通法規違反(grobe Verkerhswidrigkeit)」という2つの客観的な構成要件要素について、すでに次の理由からして当てはまる。すなわち、意図の必要性は、これら2つの客観的な構成要件要素のために要求される未必の故意という故意の形式を超えるものだからである。

  • 4. 権力分立原則(基本法20条3項)および一般的行為自由(基本法2条1項)も、刑法315d条1項3号が合憲であることと矛盾しない。

クリップボード@月報第311号

青井未帆/新井誠/尾形健/村山健太郎編著『現代憲法学の理論と課題―野坂泰司先生古稀記念』(信山社、2023年9月)
  • 渡辺康行「5 違憲審査の正当性と〈社会通念〉ないし〈コンセンサス〉・再考」
  • 棟居快行「9 プライバシー権・応用編―二つの「意見書」」
  • 小山剛「10 憲法上の個人情報保護についての基本的な考え方」
  • 工藤達朗「15 基本権の通用範囲と在外外国人」
  • 赤坂正浩「18 議会統治制の観念」
  • 毛利透「19 公職選挙法が定める事前運動禁止の違憲性」

石村修・稲正樹・植野妙実子・永山茂樹編『世界と日本のCOVIDー19対応』(敬文堂、2023年7月)
  • 石村修「ドイツにおけるCOVIDー19」
  • 根森健「日本のコロナ対策立法と立憲主義」

出入国管理法令研究会編(多賀谷一照・髙宅茂・福山宏)『外国人の入国・在留資格案内 実務のポイントと立証資料』(日本加除出版社、2023年10月刊行予定)

水島朝穂『憲法の動態的探究—「規範」の実証』(日本評論社、2023年8月)

福山宏・橋本由紀「外国人研修・技能実習制度の政策史―成立から定着まで 」経済産業研究所ポリシー・ディスカッション・ペーパー2023年9月(連載予定)(https://www.rieti.go.jp/jp/publications/pdp/23p019.pdf 一般公開)

林知更「法をめぐるミスコミュニケーション・5-1 『政治』という他者(上)——憲法学から見た「法のミスコミュニケーション」法律時報95巻10号(2023年8月)


自治研究99巻9号(2023年8月)
  • 阿部泰隆「司法改革失敗の原因と司法の蘇生策(2)」自治研究99巻9号(2023年8月)
  • 中西優美子「「【ドイツ憲法判例研究 268】EU及びEU構成国とカナダ間の包括的経済貿易協定(CETA)に関する憲法異議及び機関訴訟」

2023年8月26日土曜日

第299回研究会

日時:2023年9月2日(土)13時~18時 *2名の報告があります。開始・終了時間にご注意下さい

会場:日本大学法学部本館171講堂

報告者①:棟久敬(秋田大学) 13時~15時30分(予定)

報告判例:連邦憲法裁判所2021年11月19日第一法廷決定(1 BvR 971/21, 1 BVR 1069/21)https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2021/11/rs20211119_1bvr097121.html

判決要旨

1. 基本法7条1項と結びついた2条1項から、共同体においても自らの責任を自覚した人格への発展を学校教育により支援及び促進する子ども及び青少年の国家に対する権利(学校教育への権利)が導き出される。

2. 学校教育への権利は異なった保障の側面を含む。

a) この権利は、自らの責任を自覚した人格を等しい機会のもとで発展させるために不可欠な最低限度の教育を提供するよう順守を求める権利を子ども及び青少年に与えるものではあるが、国家の学校の特定の形態に対する元来の給付請求権を含むものではない。

b) さらに、学校教育への権利からは、現存の学校制度の枠内で国家による教育の提供への平等なアクセスへの権利が導き出される。

c) 学校教育への権利は、現在開放され維持されている学校が提供する教育を、基本法7条1項の形成において作り出された学校制度そのものを変更することなく制限する措置に対する防御権をも含む。

3. 学校での対面授業が主に感染症を撲滅するという理由で長期間行われない場合、ラントは基本法7条1項により、子ども及び青少年の人格の発展のために不可欠な最低限度の学校教育を可能な限り保持するよう義務づけられる。ラントは、対面授業が禁止されている際には可能な限り遠隔授業を行うよう配慮しなければならない。

4. コロナパンデミックのように長期間にわたり危険な状況が継続している際には、立法者は、危機を撲滅するためにとられる負担をかける措置が長期にわたって持続するほど、その決定をより支える評価を基礎としなければならない。しかし、国家は結局のところ、身体や生命にとっての大きな危険を甘受することはない。というのも、国家は、こうした危険を防止するための自由にとって寛大な選択肢が探究されてきたことに十分には寄与してこなかったからである。

5. 基本法104a条4項所定の連邦参議会の同意権を発動させる、第三者に対する金銭給付、金銭価値のある現物給付またはそれに匹敵する役務給付をなすべきラントの連邦法律上の義務が存在するのは、法律が客観的な規制内容により、第三者に国家給付により個別の利益を得させることを目指す場合のみである。


報告者②:平良小百合(一橋大学) 15時30分~18時(予定)

報告判例:2022年12月14日第2法廷決定2 BvL7/13, 2 BvL 18/14 - Vororganschaftliche Mehrabführungen (機関関係制度以前の超過供出)https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2022/12/ls20221214_2bvl000713.html

判決要旨
2004年12月9日の国税法におけるEU指令の実施及びその他の諸規定の改正のための法律(BGBl.ⅠSeite 3310)の形式における法人税法34条1項及び9項4号は、それらの規定が、2004年12月9日の国税法におけるEU指令の実施及びその他の諸規定の改正のための法律(BGBl.ⅠSeite 3310)の形式における法人税法14条3項を機関会社に以下に関して適用する限りで、基本法2条1項と結びついた20条3項の信頼保護原則に違反しており無効である。

1. 2003年3月5日から2004年8月13日の間に締結された利益供出契約に基づいて2007年1月1日以前になされた機関会社から機関主体への超過供出、

2. 2003年3月5日以前に締結された利益供出契約に基づいて、

a) 2003年3月4日以降の利益供与契約が遅くとも2003年12月31日までに解約告知を認められていた場合に2004年に終了する会計年度末になされた機関会社から機関主体への超過供出、

b) 2003年3月4日以降の利益供出契約が遅くとも2004年12月31日までに解約告知を認められていた場合に2005年にはじめて終了する会計年度末になされた機関会社から機関主体への超過供出、

c) 2004年12月16日以前に終了する会計年度末になされた機関会社から機関主体への超過供出。

その時々の超過供出や関連する賦課期間におけるそれぞれの超過供出の合計によって2004年12月9日の国税法におけるEU指令の実施及びその他の諸規定の改正のための法律(BGBl.ⅠSeite 3310)の形式における法人税法37条2項1文に従って引き起こされる法人税の引き下げを上回って、その時々の超過供出や関連する賦課期間におけるそれぞれの超過供出の合計によって、2003年5月16日の税優遇措置及び例外規定の縮小に関する法律の形式における法人税法38条2項に基づく法人税の引き上げが、引き起こされる限りで。


クリップボード@月報第310号

石村修・稲正樹・植野妙実子・永山茂樹編『世界と日本のCOVIDー19対応』(敬文堂、2023年7月)

  • 石村修「ドイツにおけるCOVIDー19」
  • 根森健「日本のコロナ対策立法と立憲主義」

※月報に記載漏れがございましたことお詫び申し上げます。次号で改めてお知らせ申し上げます。

工藤達朗・小山剛・武市周作編『憲法裁判の制度と実践』(尚学社、20023年7月)

  • 工藤達朗「憲法と憲法裁判」
  • 川又伸彦「憲法異議の起源について」
  • 永田秀樹「憲法適合的解釈・合憲限定解釈」
  • 三宅雄彦「憲法裁判の制度-欧州司法裁判所・欧州人権裁判所との関係」
  • 高橋雅人「司法による執政の統制の限界-ドイツにおける近年の動向から」
  • 太田航平「裁判所による憲法改正審査-ドイツ基本法146条解釈を手がかりに」
  • 嶋崎健太郎「基本権の裁判的実現-基本法1条1項(人間の尊厳)」
  • 武市周作「第1次・第2次堕胎判決と基本権保護義務-2つの堕胎判決前・後の学説・判例の展開と刑法典における妊娠中絶関連規制の流れ」
  • 毛利透「意見表明の自由判例の原点と現状」
  • 徳本広孝「ベルリン科学アカデミー解散法の公法学的検討」
  • 岡田俊幸「集会の自由-ブロックドルフ決定とその後の判例の展開」
  • 石村修「ドイツの安全論と憲法裁判所の判断-基本法10条・13条と関連して」
  • 小山剛「連邦憲法裁判所における萎縮効果論」

 

大西楠テア「出入国管理体制から考えるコロナ後の法学」法律時報95巻9号(2023年7月)

神橋一彦「行政法ポイント判例研究/金沢市庁舎前広場事件(第2次訴訟)判決― 最(三小)判令和5年2月21日裁判所ウェッブサイト掲載判例」行政法研究50号(2023年6月)259-287頁

神橋一彦「憲法と行政法の交差点【第18回】行政法における比例原則」法学セミナー824号(2023年8月)

斎藤誠「海上保安庁と自衛隊の海上警備行動における連携―国内法的側面」奥脇直也・坂元茂樹編『海上保安法制の現状と展開 多様化する海上保安任務』(有斐閣、2023年7月)244-268頁

渡辺康行「個別意見から見る最高裁判所裁判官—第一次夫婦同氏制違憲訴訟判決における寺田を素材として」現代思想2023年8月号(2023年7月)

自治研究99巻7号(2023年6月)

  • 初宿正典・櫻井智章訳「ドイツのラント憲法:バイエルン共和国憲法(1)」
  • 中西優美子「EUにおける一事不再理(ne bis in idem)原則と相互信頼(V(7))【EU法における先決裁定手続に関する研究】」
  • 松原光宏「【ドイツ憲法判例研究266】連邦非常ブレーキ決定I(Bundesnotbremse I)」

自治研究99巻8号(2023年7月)

  • 阿部泰隆「司法改革失敗の原因と司法の蘇生策(1)」
  • 初宿正典・櫻井智章訳「ドイツのラント憲法:バイエルン共和国憲法(2・完)」
  • 日野田浩行「【ドイツ憲法判例研究267】『ベルリン住居賃料制限法』決定」

2023年7月30日日曜日

第300回研究会(10月研究会)開催場所について

 10月のドイツ憲法判例研究会は、日本公法学会前夜の10月6日に大阪駅そばの大阪公立大学の施設で開催します。

  • 日時:2023年10月6日(金) 18:00-20:30 (予定)
  • 会場:大阪公立大学文化交流センター
    • 〒530-0001
    • 大阪市北区梅田1-2-2-600大阪駅前第2ビル6階
    • JR「大阪駅」や地下鉄御堂筋線「梅田駅」から徒歩10分
    • *大阪公立大学上田サテライトと同じ建物の同じ階です。
    • アクセスマップ:https://www.omu.ac.jp/about/campus/umeda/

 ご予定置きのほどよろしくお願い申し上げます。なお、研究会が近づいて参りましたら、研究会と懇親会の出欠について確認をさせていただく予定でおります。


※9月2日(土)13:00より開催予定の第299回研究会は、通常通り、東京での開催を予定しております。


2023年6月24日土曜日

第298回研究会(会場変更)

 6月28日(水)15:00頃にメールでご案内した通り、会場の変更がありましたのでご注意ください。
  • 日時:2023年7月1日(土)14時~17時
  • 会場:慶應義塾大学三田キャンパス南校舎(4階)443教室
  • 報告者:嶋崎健太郎(青山学院大学法学部)
  • 報告判例:2021年12月16日第2法廷決定(BVerfGE 160, 79, 1 BvR 1541/20 – Triagebeschluss)トリアージにおける障害者の不利益取扱いのリスクについて
https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2021/12/rs20211216_1bvr154120.html

判決要旨:
  1. 基本法3条3項2文から、国には障害を理由とする直接的および間接的な差別の禁止ならびに第三者にもよる人の障害を理由とする不利益取扱いから人を有効に保護すべき委託が生ずる。
  2. 基本法3条3項2文の保護委託は、保護の必要性が顕著な一定の問題状況において、具体的な保護義務へと凝結しうる。この問題状況には、意図的な、人間の尊厳に対する攻撃と評価されるべき障害を理由とする人の締め出し、障害を理由とする不利益取扱いを伴う、生命のごとく基本権に保護される上位の法益に対する危険、または構造的不平等の状況が含まれる。/生存に不可欠な希少な集中医療資源の配分において、障害による不利益のリスクが存在するため、ここに保護委託が〔保護義務へと〕凝結する。
  3. 基本法3条3項2文に基づく具体的な保護義務を履行する場合であっても、立法者には査定、評価および形成の裁量が認められている。重要なのは、立法者が障害を理由とする不利益取扱いに対して十分に効果的な保護を提供することである。

クリップボード@月報第309号

 近藤敦『国際人権法と憲法—多文化共生時代の人権論』(明石書店、2023年4月)


『ミクロ憲法学の可能性』(日本評論社、2023年5月)

  • 片桐直人「1-1 新しい葬法の登場と『弔う秩序」」
  • 篠原永明「4-1 マンション建替え決議制度と財産権保障」
  • 柴田憲司「5-1 生活保護・制裁・費用徴収」
  • 石塚壮太郎「6-1 外国人の子どもの学習権と就学義務―学校教育法17条をどう読むか」
  • 片桐直人「7-1 ミクロ財政と憲法学――あるいは財政と金融の一側面」
  • 篠原永明「9-1 消費者法におけるデュアルエンフォースメントとダブルトラック」
  • 柴田憲司「11-1 地方議会議員の出席停止の懲罰と「法律上の争訟」―岩沼市議会事件判決を契機に」
  • 神橋一彦「11-2 「法律上の争訟」概念の具体的展開――柴田論文へのコメント」
  • 石塚壮太郎「12-1  水害に関する国の法的責任と防災義務―ハザードマップの整備と水害リスク説明を中心に」


『講座立憲主義と憲法学第4巻 統治機構Ⅰ』(信山社、2023年5月)

  • 赤坂幸一「第6章 法案事前評価の改革―立法事実の把握と議会審議の実質化」
  • 高橋雅人「第9章 執政と行政―機能的考察による憲法的位置づけ」
  • 片桐直人「第10章 戦後日本憲法学における『財政立憲民主主義』」
  • 林知更「第11章 憲法原理としての地方自治」


法律時報95巻6号(2023年5月)特集=議会の支出統制権・再考

  • 片桐直人・藤谷武史・上田健介「企画趣旨・総論」
  • 片桐直人「ドイツにおける議会予算権と支出統制」
  • 片桐直人・藤谷武史・上田健介「コメントへのリプライ」


石村修「書評・河上曉弘『戦後日本の平和・民主主義・自治の論点』憲法研究12号(2023年5月)


辛島了憲「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律3条1項3号の憲法適合性についての一検討:令和3年11月30日・最高裁判所第三小法廷決定を素材にして」広島法学46巻4号(2003年3月)


中西優美子「女性に対する暴力及びDVの防止に関するイスタンブール条約をめぐるEUの締結権限と締結手続(Ⅲ⑹)【EU法における先決裁定手続に関する研究】」自治研究99巻5号(2023年4月)


福山宏「第211回国会衆議院法務委員会第12号(2023年4月21日)会議録」

https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=121105206X01220230421&current=1


村山美樹「【ドイツ憲法判例研究265】非婚カップルによる連れ子養子縁組の可否」自治研究99巻6号(2023年5月)

2023年6月1日木曜日

第298回研究会中止のお知らせ

  6月3日(土)に予定しておりました研究会は、報告者が体調不良のため、中止致します。

 直前のご連絡となりますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

2023年5月25日木曜日

【中止】第298回研究会

日時2023年6月3日(土)14時~17時

会場慶應義塾大学(三田キャンパス)313教室(大学院棟1階)

キャンパスマップはこちら:https://www.keio.ac.jp/ja/maps/mita.html (→「3番」の建物です)

報告者:土屋武(中央大学法学部)

報告判例:2022年6月15日第2法廷判決(2 BvE 4/20, 2 BvE 5/20 - Äußerung der Bundeskanzlerin)

https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2022/06/es20220615_2bve000420.html

判決要旨

  1. 連邦首相について、職務上の行為と職務に関わらない政治競争への関与を区別する基準は、その他の内閣構成員と同一である。
  2. 連邦政府内の権限秩序から、たしかに――その他の内閣構成員と比較して――連邦首相の発言権の対象はより広いが、そこから中立性および客観性の要請に関して別の要求が生じるものではない。
  3. 不平等取扱いを正当化し、連邦政府に政党の機会均等への介入権限を与える根拠は、憲法によって正当化され、政党の機会均等原則と釣り合いをとることのできる重要性を持つものでなければならない。
  4. 政党の機会均等と等価な憲法上の法益として、連邦政府の安定性および行為能力の保護ならびに国際コミュニティにおけるドイツ連邦共和国の信用性に対する信頼が考慮される。
  5. 連邦首相には、連邦政府の安定性と活動能力の維持のためにどのような措置が必要かという問題につき、外交領域の場合と同じく広い評価余地が認められる。政党の機会均等の原則に介入する場合、そのような介入を正当化する憲法上の法益が事実として不利益的影響を受け、基本法21条1項1文の政党の機会均等の権利への介入を必要としたことが説得的に説明されるか、その他のかたちで明らかにされなければならない。

クリップボード@月報第308号

斎藤一久『憲法パトリオティズムと現代の教育』(日本評論社、2023年3月)


藤井康博『環境憲法学の基礎—個人の尊厳に基づく国家・環境法原則・権利』(日本評論社、2023年4月)


玉蟲由樹「憲法上の権利にもとづく気候保護の可能性」法学館憲法研究所Law Journal 第28号(2023年4月)


松本和彦「FOCUS憲法Ⅳ 【第1回】外国籍の志望取得を巡る事例分析[判例解説編]—国籍法11条1項違憲訴訟」法学セミナー821号(2023年5月)


毛利透「『広場』で政治的集会を開催する自由はなぜ大事なのか-金沢市市庁舎前広場集会不許可事件最高裁判決を受けて」世界970号(2023年6月)118-128頁



法律時報95巻5号(2023年4月)

  • 初宿正典「ドイツのBundesratは二院制の《第二院》か?」


「特集・国会実務と憲法—『憲法改革』の核心」

  • 赤坂幸一「憲法問題としてのオンライン国会—研究者側の応答」
  • 山田哲史「条約締結承認手続の実態と評価、そして拡大可能性」
  • 山本真敬「憲法判断を含む判決とその事後処理」



法学教室512号(2023年4月)

  • 鈴木秀美「放送と憲法」
  • 毛利透「【憲法セレクトMonthly】〔憲法〕2021年10月の衆議院議員総選挙における投票価値較差の合憲性(最大判令和5・1・25)」


自治研究99巻5号(2023年4月)

  • 松原光宏「感染症パンデミックにおける公法上の重要問題(3・完)—『ロックダウン』規制について」
  • 倉田原志「【ドイツ憲法判例研究264】事業所の駐車場でのストライキ行動—アマゾン駐車場決定」


2023年4月26日水曜日

第297回研究会

  • 日時:2023年5月6日(土)14時~17時
  • 会場:慶應義塾大学(三田キャンパス)大学院棟1階313教室
    • キャンパスマップはこちら:https://www.keio.ac.jp/ja/maps/mita.html(→「③」の建物です)
    • 対面参加のための事前申込み等は不要です。会場にそのままお越しください。
    • 会場ではレジュメのみを配布しますので、判決文の全訳については各自、下記アドレスよりダウンロード・印刷をしていただくようお願いいたします。
    • なお、会場ではeduroamアカウントでWi-Fiを利用することができます。
  • Web参加: Web会議システム「Zoom」を併用して開催します:接続先は月報をご確認ください。
  • 報告に使用する資料は、報告の前日18時までに下記アドレスにアップロードします:接続先は月報をご確認ください。

  • 報告者:門田美貴(京都大学・特定助教)
  • 報告判例:2022年9月28日第1法廷決定(1 BvR 2354/13-連邦憲法擁護法違憲決定)

https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2022/09/rs20220928_1bvr235413.html


  • 判決要旨:

  1. 基本法73条1項10号から導かれる連邦の立法権限は、連邦およびラント間の協働のみに及ぶのではなく、ラント同士の間の協働にも及ぶ。これに対して、連邦の立法権限は、同一ラントの当局間での協働の規律を含むものではない。
  2. 規範の明確性は法律の参照の連鎖の使用を限界づけるが、これを根本的に妨げるものではない。治安法上のデータ処理を規格化する場合――秘密裡に行われる措置とは異なり――専門法を参照することが有用となり得、この専門法の文脈で解釈の問題が法適用の実践と司法審査の相互作用の中で拘束力をもって明らかにされうる。法律の参照が明確性の要請に適合的かどうかは、考え得る代替的規律を考慮した総合的な評価によって決まる。規範の内実の理解は、とりわけ参照される条項全てを列挙した参照の連鎖により容易となる。
  3. 危険防御という目的のために憲法擁護庁によって諜報機関的な手段によって収集した個人データや情報を提供することは、情報提供の閾値として原則、次のような犯罪行為を行うことの危険と結びつけることができる。すなわちこれらの犯罪行為においては、準備行為や単なる法益の危殆化を刑罰化することで、処罰性の閾値が危険の前域へと前倒しされる。しかし、立法者はさらに、個々の事案において、犯罪構成要件によって保護される法益に具体的または具体化された危険が存在していることを保証しなければならない。こうした危険は必ずしも犯罪の実現そのものがもたらす危険から生じるものではない。


クリップボード@月報第307号

  • 神橋一彦『行政救済法〔第3版〕』(信山社、2023年3月)
  • 渡辺康行・宍戸常寿・松本和彦・工藤達朗『憲法Ⅰ〔第2版〕』(日本評論社、2023年3月)
  • 山元一編『トピックから考える日本国憲法』(北大路書房、2023年3月)(小西葉子:6講、14講義、今枝昌浩:25講、27講)
  • 石塚壮太郎「ドイツにおける公益通報者の保護」ジュリスト1582号(2023年3月)
  • 岡田健一郎「いわゆる「問題行動」を理由とした公立図書館の利用制限に関する公法上の問題――土岐市図書館事件を素材として」高知論叢(社会科学)124号(2023年)71~115頁
  • 神橋一彦=櫻井智章=鵜澤剛栗島智明「憲法と行政法の交差点【第14回】[座談会]連載1年を振り返って(下)――憲法と行政法の関係」法学セミナー820号(2023年4月)
  • 小林宇宙「1924年のライヒ議会選挙制度改革」一橋法学22巻1号(2023年3月)
  • 斎藤誠「地方自治における標準と標準化-法的・政策的位置付けの史的計測(上)(下)」地方自治903号(2023年2月)2-16頁、904号(2023年3月)2-26頁
  • 斎藤誠「外国大規模施設に対する国内裁判所への出訴と条約の関係−ザルツブルク空港事件をめぐって」日本エネルギー法研究所報告書No.154『エネルギーに関する国際取決めの法的問題の諸相』(2023年3月)同研究所HPに所収
  • 柴田憲司「憲法事例分析の技法第13回 自書できない者の選挙権と投票の秘密」法学教室511号(2023年3月)
  • 水島朝穂「緊迫の時代における憲法9条のリアリティ——「ウクライナ戦争」の逆説」法律時報95巻4号(2023年4月)
  • 鈴木秀美「放送法と政治的公平――総務大臣の権限行使はどうあるべきか」世界969号(2023年4月)

自治研究99巻4号(2023年4月)

  • 松原光宏「感染症パンデミックにおける公法上の重要問題(二)—「ロックダウン」規制について」
  • 上代庸平「ドイツ憲法判例研究〔263〕自治体憲法異議の補完性の射程と地方自治行政の憲法的保障—ザクセン・アンハルト州児童福祉法判決」


2023年4月1日土曜日

【重要】メールアドレス変更連絡のお願い

  今年度からご所属先が変わるなどして、本研究会に届け出ているメールアドレスの変更が必要な会員の方は、速やかに代表又は事務局(月報送信元アドレス)までお知らせください。

2023年3月28日火曜日

第296回研究会

  • 日時:2023年4月1日(土)14時~17時
  • 会場:慶應義塾大学(三田キャンパス)大学院棟1階313教室
    • *キャンパスマップはこちら:https://www.keio.ac.jp/ja/maps/mita.html(→「③」の建物です)
    • *対面参加のための事前申込み等は不要です。会場にそのままお越しください。
    • *会場ではレジュメのみを配布しますので、判決文の全訳については各自、下記アドレスよりダウンロード・印刷をしていただくようお願いいたします。
    • なお、会場ではeduroamアカウントでWi-Fiを利用することができます。
  • Web参加:Web会議システム「Zoom」を併用して開催します:アクセス先は月報をご確認ください。
    • *報告に使用する資料は、報告の前日18時までに下記アドレスにアップロードします:アクセス先は月報をご確認ください。

  • 報告者:山本真敬(新潟大学)
  • 報告判例:2022年4月26日の第1法廷決定(1 BvR 1619/17 – バイエルン憲法擁護法部分違憲判決)
  • https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2022/04/rs20220426_1bvr161917.html

  • 判決要旨:
  1. 現行法によれば、憲法擁護官庁は、監視および危険の前段階での解明という特殊な任務を遂行し、その際、警察当局のように強制力のある措置に接続する権能(operative Anschlussbefugnisse)を持たないということは、原則として、憲法擁護官庁の監視権能を修正された侵害の閾値に拘束することを正当化する。しかし、この場合、それによって取得した個人関連データおよび情報の提供は、厳格な前提条件に服さなければならない。
  2. 憲法擁護官庁の具体的な秘密の監視措置がどの程度厳格に比例性の要請に服するかは、その都度の侵害の重大さによって決せられる。
    • a)人格の最も広範囲の把握に至り得る措置は、警察による監視措置と同様の比例性の要請に服する。
    • b)そのような措置でない場合には、憲法擁護官庁の監視権能は、警察的な意味での危険の存在に結び付けられる必要はない。しかし、その場合、憲法擁護に特有な解明の必要性が充分に存することが、その前提条件となる。この前提条件が存在するのは、個別事例において、特定の、情報機関の監視を必要とする試みの解明をするための監視措置が要請され、かつ、監視の必要性に関する事実に基づく手がかり(tätsachliche Anhaltspunkt)が充分に存在している場合に限られる。このことは、監視措置の侵害の重大性が大きければ大きくなるほど、ヨリ切迫したものでなければならない。立法者は、その都度必要となる監視の必要性についての基準を充分に確定し、明確に規律しなければならない。監視活動に含まれる者が、自身がその試みにおいて活動していないか、その試みのために活動していない場合には、特別の諸要件が存在する。当該措置の侵害の強度によっては、その措置を実施する前に、当該措置を独立した機関による統制に服せしめることが必要な場合があり得る。
  3. 個人関連データと個人関連情報を憲法擁護官庁が他の機関に提供することは、新たな基本権侵害を根拠付ける。その正当化は、少なくとも、当該データが諜報機関的手段(Nachrichtendienstliche Mittel:nd-Mittel)によって取得されたものである場合、仮想的な新規取得の基準に従って判断されなければならない。その基準によれば重要となるのは、その都度の提供目的ついて、提供される側の官庁に、当該憲法擁護官庁による過去の監視に匹敵する深刻さの手段で自らデータ取得および情報獲得が許されていたであろうかどうかである。憲法擁護官庁による提供は、当局が特に重要な法益の保護に資することを常に前提としている。これに対して、提供の閾値に関する要件は、いかなる機関に提供されたかによって異なる。
    • a)治安維持官庁への提供は、その提供が、特に重要な法益の保護に奉仕し、そしてその法益に対して少なくとも充分に具体化された危険が存在することが、前提条件となる。
    • b)刑事訴追官庁への提供は、特に重大な犯罪の訴追のためにのみ考慮し得るものであり、特定の事実によって根拠付けられた嫌疑が存在し、その嫌疑について、具体的かつ濃密な事情が事実の根拠(Tatsachenbasis)として存在することが条件となる。
    • c)その他の機関への提供は、特に重要な法益を保護するためにのみ許される。提供の閾値に対する憲法上の諸要件は侵害の重大性によって異なり、その重大性はまた、提供される側の官庁がどのような実施することと接続する権限を有しているかによっても変わることになる。憲法擁護官庁への提供は、それが特定の、情報機関による監視の必要な行動またはグループの解明のために当該情報を必要とするということの充分な事実に基づく手がかりが存在する場合に、考慮し得る。
    • d)海外への提供についても、国内での提供と同様の諸要件が妥当する。加えて、提供は、提供された国家において、データ保護法上適切であって、基本的人権の保障が両立し得るような形で提供された情報が取り扱われること、そしてそれが確認されていることが、その前提条件となる。
  4. 規範の明確性の要請は、法律において参照の連鎖(Verweisungsketten)を用いることに対して、限界を画する。見通すことができないような参照の連続は、基本権上の諸要請と両立し得ない。


クリップボード@月報第306号

  • 齋藤暁「憲法学の方法としてのドグマーティク――ドイツにおける実務志向的な法学の様相」民商法雑誌158巻6号(2023年2月)

  • 玉蟲由樹「気候保護決定の基本権ドグマーティク」日本法学88巻3号(2023年1月)

  • 司法研修所論集132号(2023年3月)
    • アンドレアス・フォスクーレ(栗島智明訳)「憲法の変遷とその限界」
    • 鈴木秀美「コメント」

  • 法学セミナー818号(2023年3月)
    • 玉蟲由樹「性風俗営業に対する差別的取扱い」
    • 宮村教平「[憲法へようこそPartⅡ【Unit2】More Freely!]生存権とその可能性」
    • 栗島智明「[憲法と行政法の交差点【第12回】]「コップの中の嵐」と裁判所――部分社会論のゆくえ」

  • 自治研究99巻3号(2023年3月)
    • 松原光宏「感染症パンデミックにおける公法上の重要問題(一)――「ロックダウン」規制について」
    • 宮村教平「立法過程の構造と解釈(二)──その序論的考察」
    • カール=フリードリッヒ・レンツ「[ドイツ憲法判例研究(262)]租税手続法の利率規定に関する違憲決定」

2023年3月1日水曜日

第295回研究会

日時:2023年3月4日(土)13時~18時 

*2名の報告があります。開始・終了時間にご注意下さい

会場:慶應義塾大学(三田キャンパス)研究室棟1階会議室A・B

  • キャンパスマップはこちら:https://www.keio.ac.jp/ja/maps/mita.html(→「⑨」の建物です)
  • 対面参加のための事前申込み等は不要です。会場にそのままお越しください。
  • 会場ではレジュメのみを配布しますので、判決文の全訳については各自ダウンロード・印刷をしていただくようお願いいたします。
  • なお、会場ではeduroamアカウントに加えてゲストとしても慶大のWiFiに接続できます(接続先は月報第305号をご確認ください)。

Web参加:Web会議システム「Zoom」を併用して開催します

  • アクセス先は月報第305号をご確認ください。


  • 報告に使用する資料は、報告の前日18時までにアップロードします:アクセス先は月報第305号をご確認ください。
  • 今回、研究会終了後のリモート懇親会は開催しません。
  • 月例会を、科研費(基盤B)「憲法秩序の領域分化をめぐる法的論証作法の日独比較」(研究代表:鈴木秀美)による研究会との共催とします。


【報告①】13時~15時30分(予定)

報告者:波多江悟史(愛知学院大学)*オンライン報告

  • 報告判例:2021年7月20日第1法廷決定(BVerfGE158,389 – Staatsvertrag Rundfunkfinanzierung)
https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2021/07/rs20210720_1bvr275620.html

  • 判決要旨:

  1. 放送の自由(基本法5条1項2文)に基づき、国家には、公共放送局の機能適合的財源を保障する作為義務が課せられるが、当該義務には、公共放送局の基本権上の財源請求権が対応する。国家が当該義務を履行しないことについて、公共放送局は憲法異議手続の中で攻撃を行うことができる。
  2. 国家の財源保障義務(基本法5条1項2文)は、連邦上の責任共同体において連帯責任を負う各州に課せられる。連帯責任は、各州は放送財源に関する立法権限を有しているが、現在では、州横断的に放送の機能適合的財源を規律することだけが、基本権保護を実現することができるということに基づいている。
  3. 現在の放送財源システムにおいて、個々の州が単独で放送負担金の値上げを拒否することは――まして支持可能な理由に基づかない場合には――許されない。

【報告②】15時30分~18時(予定)

報告者:中西優美子(一橋大学)

  • 報告判例:2022年2月9日の第2法廷決定(CETAの暫定適用を認めた決定)

https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2022/02/rs20220209_2bvr136816.htm

  • 判決要旨(DÖV掲載のもの):

  1. 2016年10月28日のCTEAの暫定適用に関するEU理事会決定は、Ultra-vires行為として認定されず、また、それによって基本法20条1項及び2項の意味における民主主義原則はかかわってこない。個々の分野に対するEUの条約締結権限に議論の余地がある限り、暫定適用は制限される。
  2. 確かに、CETAの裁判所及び評議会制度に高権がさらに移譲がされる限り、これが基本法23条1項からの統合授権によりカバーされるか否かは疑わしい。そのような危険性は、暫定適用の制限およびCETA混合評議会にかかわる理事会付属書の宣言により排除される。
  3. 基本法20条1項及び2項に鑑みたCETA混合評議会の決定の民主主義的正統性及びコントロールが疑わしくみえる限りで判断すると、CETAの暫定適用にあたっては憲法アイデンティティ(基本法79条3項)の何等かのかかわりは懸念されえない。


講演会のお知らせ

1.ヨハネス・マージング教授 

マージング教授の講演会等についてヨハネス・マージング教授(フライブルク大学)が日本学術振興会の「外国人招へい研究者」として2023年3月7日に来日され4月5日まで30日間、日本に滞在されます現時点で、ドイツ憲法判例研究会との関係では以下のような講演会や研究会の開催が予定されています。講演会や研究会はドイツ語で行われますが、いずれも通訳付きです。春休み中ですが、ご参加いただければ幸いです。
 

・3月9日(木)15時、慶應義塾大学講演会(ハイブリッド開催)

  • *近日中に別途、ご案内します。
  • テーマ:インターネット時代における民主的コミュニケーションDemokratische Kommunikation im Zeitalter des Internets
  • 会場:三田キャンパス東館4階オープンラボ
  • コメンテーター:石塚壮太郎(日本大学准教授)、通訳:栗島智明(埼玉大学准教授)

3月11日(土)15時、中央大学講演会(ハイブリッド開催)

  • テーマ:ドイツの憲法判例における表現の自由(仮題)
  • 会場:市ヶ谷キャンパス市ヶ谷キャンパス2511号室
  • 通訳:松原光宏(中央大学教授)
  • *要事前申込(3月2日まで)申込フォームは月報第305号をご確認ください。

3月20日(月)午後、日本大学講演会(ハイブリッド開催)

  • テーマ:情報の処理と拡散からの保護-ドイツ憲法における人格の自由な発展の権利Schutz vor Verarbeitung und Verbreitung von Informationen – das Recht auf die freie Entfaltung der Persönlichkeit nach deutschem Verfassungsrecht
  • 会場:日本大学法学部(神田三崎町キャンパス)10号館1041講堂
  • *キャンパスマップはこちら:https://www.law.nihon-u.ac.jp/campusmap.html
  • 通訳:栗島智明(埼玉大学准教授)

3月27日(月)15時、京都大学にて毛利透会員・高田篤会員との研究会

  • 会場:京都大学法経第11教室(法経本館1階西ウイング)
  • 報告①:磯村晃(大阪大学招へい研究員) Die Aktualität der Lehre Masings - Dogmatik des Untersuchungsrechts in Art.44GG(マージング学説の今日的重要性―基本法44条における調査権のドグマーティク)
  • 報告②:門田美貴(慶應義塾大学大学院生) Aktuelle Entwicklungen der Versammlungsfreiheit - Das Fraport Urteil und das Recht der freien Ortswahl(集会の自由論の展開:フラポート判決と集会の場の選択権)(仮題)
  • *本研究会の会員の若手研究者2名がマージング教授のご業績について報告したうえで、同教授をまじえて討論するというセミナー形式の研究会です。

4月4日(月)午後、ドイツ憲法判例研究会のための講演会(ハイブリッド開催)

  • テーマ:連邦憲法裁判所における裁判官としての経験(仮)
  • 会場:慶應義塾大学(教室は未定)通訳:小山剛(慶應義塾大学教授)

クリップボード@月報第305号

藤川直樹『王統と国家――近代ドイツ公法学における〈君侯法〉の展開』(弘文堂、2023年2月)

阪大法学72巻3=4号(谷口勢津夫教授退職記念号)(2022年11月)
  • 高田篤「ケルゼン「理論」とイエッシュ「理論」の方法論的位置関係と布置:法律による行政原理をめぐって」
  • 松本和彦「法源としての憲法判例の意義と射程」

松本和彦「気候変動訴訟の世界的展開」環境と公害52巻3号(2023年1月)

法律時報95巻1号(2023年1月)
  • 毛利透「新型コロナへの対応をめぐる憲法上の議論——ドイツの場合」
  • 松本奈津希「[憲法訴訟の醸成——実務と学説が導く可能性・19]生存権訴訟の類型化と審査のあり方—自由権的側面を起点として」

法学教室 508 号(2023 年 1 月) 
  • 柴田憲司「憲法事例分析の技法〔第10回〕医薬品のネット販売規制と職業の自由(後)」 
  • 鵜澤剛「【演習】行政法」
  • 毛利透「【判例セレクト Monthly】本国で日本国民と同性婚を行った外国人の在留資格(東京地判令和4・9・30)」

法学教室 509 号(2023年2月)
  • 斎藤誠「【巻頭言】大著の効能――立法審査をめぐって」
  • 山中倫太郎「日本の防衛法制」
  • 鵜澤剛「【演習】行政法」

法学セミナー815 号(2023 年 1 月)
  • 木下智史=松本和彦村西良太片桐直人=伊藤建「[FOCUS憲法3【第10回・最終回】][座談会]アク チュアルな問題と憲法学・憲法訴訟の役割(その 2)」

法学セミナー817 号(2023 年 2 月)
  • 片桐直人「[憲法へようこそ PartⅡ【Unit1】]鶏肉は食べられない!――思想・信条に基づく行為とその制約」
  • 鵜澤剛「[憲法と行政法の交差点【第11回】]法令の違憲・違法を争う訴訟と司法権」
  • 高田倫子「[最新裁判例研究]芸術祭に対する市の負担金の減額変更が争われた事例[名古屋地判令和4・5・25裁判所ウェブサイト]」

自治研究99巻1号(2023年1月)
  • 柴田尭史「[ドイツ憲法判例研究(260)]アムリ調査委員会事件」

自治研究99巻2号(2023 年2月)
  • 中西優美子「[EU 法における先決裁定手続に関する研究(51)]EU 法の優位原則と国内裁判所の先決裁定 を求める権利の保障(Ⅱ(12))」
  • 宮村教平「立法過程の構造と解釈(一)――その序論的考察」
  • 太田航平「[ドイツ憲法判例研究(261)]裁判官留保と待機業務」