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2025年12月5日金曜日

第321回研究会

 • 日時:2025 年 12 月 6 日(土)14 時~17 時

• 会場:日本大学法学部本館 141 講堂(4 階)

• 報告者:玉蟲由樹(日本大学)

• 報告判例:2025 年 7 月 15 日第 2 法廷判決(Urteil vom 15. Juli 2025 – 2 BvR 508/21 –)

https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2025/07/rs20250715_2bvr050821.html

• 判決要旨:

1. ドイツ連邦共和国には,外国との関連を有する事案においても,基本的人権および国際人道法の核心的規範の保護が確保されるようにする一般的な保護任務が課されている。

2. この保護任務は,事案に応じて,一定の条件の下で,具体的な基本権保護義務へと発展しうる。

a) 基本法 2 条 2 項 1 文にもとづくこのような保護義務は,生命の保護のために適用される国際法の遵守を目指すものであり,他国によって生じる危険もこれに含まれる。

b) この憲法上の保護義務をドイツ国籍を有する者または国内居住者に限定することを,憲法は定めていない。国外に居住する非ドイツ国籍の人々もまた,ドイツの国家権力との十分な関連性を有する危険から保護されうる。

c) 十分な関連性が存在するかどうかは,個々の事案の事情に即して,全体的かつ価値判断を伴う評価に基づき判断される。全体的な事象の一部であるとしても,単に偶発的に〔ドイツ〕領域と接点を持つにすぎないような領域的関わりでは,国外において基本権にとって重要な保護の必要性を生じさせるには不十分である。むしろ,基本権に拘束されるドイツの公権力との十分な関連性が成立するためには,一定の重要性を有する特別な関与が必要である。

d) さらに,一般的な保護任務が,第三国の行為に関して具体的な域外での保護義務へと発展するためには,生命の保護に資する国際人道法および/または国際人権のルールが体系的に侵害される現実的な危険が存在することが必要である。そのような侵害の発生が単に可能性としてではなく,現実に懸念されるに足る重大な根拠が求められる。

e) 第三国の行為によってこのような危険が存在するかどうかを判断する際には,外交および安全保障政策に関して権限を有するドイツの国家機関の法的見解を,それが合理的なものである限りで,尊重しなければならない。

クリップボード@月報333号

 Mitsuhiro Matsubara, Grundrechtliche Drittwirkung und Daseinsvorsorge, in: M.Borowski/J.-R. Sieckmann(Hrs.), Grundlagen der demokratischen Verfassung Festschrift für Robert Alexy zum 80. Geburtstag, 2025, S. 793.


甲斐素直「ドイツにおける政党助成金について―連邦憲法裁判所判例に見るその展開」(前編)会計検査資料 7 月号(684 号)66 頁


甲斐素直「ドイツにおける政党助成金について―連邦憲法裁判所判例に見るその展開」(後編)10 月号(685 号)78 頁


法学教室 542 号(2025)

・高田篤「憲法の基本原理から見る統治〔第 19 回〕議院内閣制」


法学教室 543 号(2025)

・高田篤「憲法の基本原理から見る統治〔第 20 回〕司法権」


法学セミナー847 号(2025)

・村西良太・伊藤健「FOCUS 憲法Ⅵ[第 4 回]芸術振興助成金の不交付決定と表現の自由をめぐる事例分析──「宮本から君へ」事件」


法律時報 97 巻 12 号(2025)

・松本奈津希「最低生活費非課税の原則をめぐる諸問題」

・篠原永明「同性婚と親子関係法——憲法の観点から」


法律時報 97 巻 13 号(2025)

・江島晶子・山元 一・巻 美矢紀・村西良太・栗島智明「学界回顧 憲法」


自治研究 101 巻 11 号(2025)

・高田倫子「ドイツ憲法判例研究〔293〕二〇二三年連邦選挙法の合憲性」


自治研究 101 巻 12 号(2025)

・山本響子「ドイツ憲法判例研究〔294〕第三国国民に対する所得税法上の児童手当」