会場:専修大学法科大学院棟845号室
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報告者:松原有里(明治大学)
報告判例:2010年7月7日の第2法廷の決定(BVerfGE 127, 1; 2 BvL 14/02, 2/04, 13/05)
遡及的課税の合憲性
http://www.bverfg.de/entscheidungen/ls2100707_2bv1001402.html
*『ドイツの憲法判例 Ⅳ』編集委員会は、2010年7月7日の2つの決定を選び、そのうちどちらかを中心に報告してくださるよう松原会員に依頼しました。ただし、同日、第二小法廷から3つの決定が出ています。松原会員は、上記の決定を中心に、同日に下された以下の2つの決定(BVerfGE 127, 31; 2 BvL 1/03, 57, 58/06、BVerfG,E 127, 61, 2 BvR 748/05)とともに、3つの決定についてまとめて検討してくださいます。なお、松原会員が3つの決定のうち上記の決定を中心に報告されるのは、これら3つの決定が出された当時、連邦憲法裁判所裁判官(第二小法廷所属)で、現在は連邦財政裁判所に在職されるメリングホフ長官からのアドバイスによるそうです。
http://www.bverfg.de/entscheidungen/ls20100707_2bv1000103.html
http://www.bverfg.de/entscheidungen/rs20100707_2bvr074805.html
判決要旨
- 遡及的な要件事実により将来的に課される法律効果と関連する立法(=いわゆる不真正の遡及効)は、原則として認められない訳ではない。不真正の遡及効は、基本法上及び法治国家における信頼保護原則を尊重した上で、しかし、それが立法目的に即しており、そうすることが必要な場合、及び、法改正によって失われるであろう信頼の重さと法改正の緊急性との全体のバランスを利益衡量した上で、後者が勝る場合にのみ認められる。
- ドイツ所得税(StEntlG1999/2000/2002)上の§23Abs.1S.1Nr.1及び§52Abs.39S.1に関連するいわゆる不動産譲渡益の非課税期間の延長は、不真正の遡及効のもたらす効果と関連し、それは、一部、憲法上の信頼保護原則と反することになる。