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2016年12月31日土曜日

12月3日(土):第233回研究会

日時:2016年12月3 日(土) 13時  *報告2つのため13時から研究会を開催します。

【メイン報告 13:00~15:50】
報告者:片桐直人(大阪大学)
報告判例:2016年6月21日の第2法廷判決(OMT合憲判決)
(2 BvR 2728/13, 2 BvR 2729/13, 2 BvR 2730/13, 2 BvR 2731/13, 2 BvE 13/13)
https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2016/06/rs20160621_2bvr272813.html
判例要旨
  1. 国民は、欧州統合プロセスにおいて民主的な影響力を行使する可能性を確保することに関して、基本的に、高権的諸権限の委譲が基本法23条1項2文並びに3文及び79条2項において基本法の定める範囲でのみ行われることを求める権利を有する。 
  2. EUの諸機関の行為が、自らに与えられた権限を踰越する場合には、基本法23条1項2文に基づいて同意法律によって定められた統合プログラムに違反するとともに、基本法20条2項1文が定める国民主権の原則に違反する。 
  3. 憲法機関は、自らに課せられた統合責任に基づき、EUの諸機関の行為が基本法の同一性を損ない、あるいは、与えられた権限を踰越する場合に、それに対抗する義務を負う。 
  4. 欧州中央銀行のOMT決定及びその将来の実効は、EU司法裁判所のEU法解釈によれば、権限踰越の行為ではなく、条約上禁じられた中央銀行による直接の財政援助に明らかに該当するとも言えない。ただし、OMTプログラムが権限踰越の行為ではないのは、EU司法裁判所が示した枠組みにとどまる限りにおいてであり、連邦銀行は、OMTプログラムがかかる枠内で行われている限りにおいて、OMTプログラムの実行に参加することができる。5.また、連邦政府と連邦議会は、その財政政策上の全体責任に基づき一定の義務を負っているが、OMTプログラムに反対する義務があるとはいえない。ただし、連邦政府と連邦議会は、将来のOMTプログラムの実行に対して継続的な監視をする義務を負う。 

【サブ報告 16:00~18:00】
報告者:松原有里(明治大学)
報告判例:2015年12月15日の第2法廷決定(2 BvL 1/12)
2015年12月15日の第2法廷決定(2 BvL 1/12)
https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2015/12/ls20151215_2bvl000112.html

判例要旨
  1. ドイツ連邦憲法裁判所法80条2項1文は、提示裁判所に想定しうるいかなる法解釈を推測することも義務づけてはいない。提示問題について判断をするためには、それが、明らかに根拠がない訳ではない限りにおいて、基本的に同裁判所の法解釈が基準となる。 
  2. ボン基本法59条2条1文は、条約が、別の特別なセービング・クローズ(=特典条項)の適用範囲、とりわけボン基本法の23条~25条の規定に該当しない限りにおいて、(ドイツ)国内法上、個別連邦法の順位に来る。 
  3. ボン基本法59条2項1文は、条約の解釈原理(後法は前法に優先するという原則)の効力を妨げない。後法の起草者は、-国民の総意という表現を選択することによって適した-基本法上に示されている前法の起草者の立法行為の範囲内で、これを修正することができる。 
  4. 国際法違反の条文の違憲性は、遡及的に、基本法の条文上書かれていない国際法に沿った(国内法の解釈・運用:筆者注)原則には根拠づけられない。同原則は、憲法の順位(Verfassungsrang)にあるものの、すべての国際公法上の規範の無制限の(=無条件の)遵守という憲法上の義務をも内包しているものではない。 
  5. 法治国家原則からは、国際公法上(限定的な)法律に対する優位もしくは後法は前法に優先する原則の制限は導き出されない。