会場:専修大学(法科大学院棟3 階の837 教室) *いつもの教室とは異なります。
報告者:カール=フリードリッヒ・レンツ(青山学院大学)
報告判例:2016年12月6日の第1法廷判決[原発廃止法違憲判決](1 BvR 2821/11, 1 BvR 1456/12, 1 BvR 321/12)
※判例の翻訳はレンツ会員のDropboxに公開されています。以下のリンクを辿って確認できます(リンクをクリックするとPDFファイルが開きますのでご注意ください)。
http://k-lenz.de/atom
判例要旨:
- 原発廃止の加速を目的とした原子力法の第13改正法は、概ねに、合憲である。
- 欧州連合の加盟国が完全に所有する国内の営利活動している法人は、憲法の欧州連合法に対する礼譲を故に、例外の場合には所有権を主張して憲法異議を提起することができる。
- a) 2002年および2010年の法律により、個別原発に指定された発電枠は、それ自体が所有権保護を受ける個別対象でないが、重大な使用枠として原発の所有権保障の一部である。
b) 公法上の許可は、原則として所有権保障の対象でない。 - 憲法14条3項における収用は、所有権の主体変更による所有権の剥奪の上に、常に国家による所有権取得を必要とする。そのため、2011年7月31日の第13原子力法改正法による原発廃止加速に関する規定は、収用に該当しない。
- 憲法14条1項2文の内容および限界を定めるための、所有権に関する使用および処分の自由の制限が具体的な所有権地位を剥奪して国家の権利取得がない場合、これらの制限の比例性について厳格に審査しなければならない。その場合、常に補償について検討しなければならない。
- 本件憲法異議の対象である第13原子力法改正法により、2010年末の立法で原発の運転期間が平均12年間に延長されたことが撤回されたが、その撤回は、追加発電枠に関する信頼が複数の原因により限定されたため、合憲である。立法者には、危険についての新たな認識がない前提でも、福島原発を理由に、国民の健康の保護および環境保護を目的に、原発廃止を加速することが許された。
- 発電所の残存運転機関が法律で定められたこと、本件で特に約束された信頼保護のため、第13原子力改正法は、以下の点で、許されない所有権の内容および限界を含む。憲法異議の原告の2社について、2002年の残存発電枠を社内で利用できない結果になる点である。
- 一定の条件の元、憲法14条1項は、現行法の維持に関する正当な信頼が所有権およびその利用可能性に関する投資の根拠となる限り、その信頼を保護する。