日時:2018年11月3日(土) 14時~17時
会場:専修大学法科大学院棟3階 835教室
報告者:吉岡万季(中央大学大学院)
報告判例:2013年12月17日の第1法廷決定 (BVerfGE 135, 48) [官庁による父子関係の否認]
http://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2013/12/ls20131217_1bvl000610.htm
決定要旨:
1. 官庁による父子関係の否認(behördlichen Vaterschaftsanfechtung)に関する規律(BGB1600条1項5号)は、絶対的に禁止された国籍の剥奪(基本法16条1項1文)とみなされる。なぜなら、当事者は、官庁による否認(Behördenanfechtung)と結びついた国籍の消滅(Wegfall)に一部は全く、一部は期待できる手段では影響を及ぼすことができないからである。
2. 当該規律は、その他の国籍の喪失(sonstigen Verlust)についての憲法上の要請(基本法16条1項2文)を満たしていない。なぜなら同規律は、子が無国籍になるか否かを顧慮する可能性を欠き、かつ法律の留保原則を満たす国籍の喪失の規律および相当な(angemessenen)期間と年齢に関する規律を欠いているためである。
3. 認知をした者が子どもの生物学上の父でもなく、また社会的-家族的関係も成立していない場合でも、認知により法律上の父子関係が成立した場合には、憲法上の親子関係(基本法6条2項1文)が存在する。もっとも、憲法上の保護の強度は、法律上の父子関係が社会的にも維持されているか否かに左右される。