• 日時:2024 年 6 月 1 日(土)14 時~17 時
• 会場:日本大学法学部 141 講堂(本館4階)
• 報告者:武市周作(中央大学)
• 報告判例:2022 年 3 月 22 日の第1法廷決定(BVerfGE 161,1: 1 BvR 2868/15 - Übernachtungsteuer)
https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2022/03/rs20220322_1bvr28681
5.html;jsessionid=78E71BDC9D4444914448AC86EE0B4C28.internet001
• 決定要旨:
1. 支出税(Aufwandsteuer)(基本法 105 条 2 項 1 文)の対象は、個人の生活需要のための所得の消費である。支出(Aufwand)は、外部から認識可能な消費であり、そのために資金が用いられ、一般的に経済的担税力(Leistungsfähigkeit)の表れであり指標であるとみなされるが、この消費がどのような手段でなされ、どのような目的で使われるかは、詳細なところまでは問題とならない(BVerfGE 65, 325<347>; 114, 316 <334>の確認)。支出税を課すことを控えるという憲法上の義務は、基本法 105 条 2 項1 文の権限規範(Zuständigkeitsnorm)から生じるのではなく、せいぜい基本権から導かれるものである。したがって、ビジネス目的の宿泊も支出税の対象となりうる。
2.a) 基本法 105 条2a 項 1 文にある同種性の禁止(Gleichartigkeitsverbot)は、州が地域的な消費税(Verbrauchsteuer)及び支出税に対する課税権(Steuererfindungsrecht)を制限する。同種性の判断は、一方では支出税、他方では同種の連邦税の具体的な構造を総合的に考慮することによる。このことは、州や地方公共団体(Kommune)の課税権に広範な遮断効(Sperrwirkung)をもたらすものではない。
b) 宿泊施設(Beherbergungsbetrieben)での有料の宿泊に対する税は、売上税(Umsatzsteuer)のようにすべての費用に均等に課税されるものではないし、連邦政府が既に特別な課税の対象としている税源から徴収されるものでもないので、連邦法で規律する租税とは同種のものではない。
3. 立法者は、ビジネス目的の宿泊を支出税の課税から除外することはできるが、その必要はない。