• 日時:2025年1月11日(土)13時~18時
※2名の報告があります。開始時間と終了時間にご注意ください。
• 会場:日本大学法学部本館141講堂
• 報告者①:村西良太(大阪大学)13時~
• 報告判例:2023年1月24日の第2法廷判決(BVerfGE 165, 206; 2 BvF 2/18 -Parteienfinanzierung - Absolute Obergrenze)
https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2023/01/fs20230124_2bvf000218.html
• 判決要旨:
1. 政党国庫助成の絶対的上限と相対的上限は相補的である。相対的上限は、各々の政党が社会の中に十分に根ざすこと、そして国家による財政援助に過度に依存する事態を防ぐことを目指すのに対して、絶対的上限は、政党システム全体と関わり、とりわけ市民においてこのシステムに対する継続的な受容喪失(Akzeptanzverlust)が生じるのを防ごうとするものである。
2. 諸事情の切実な(einschneidend)変化が認められれば、絶対的上限の引上げは正当化されうるところ、かかる変化は次のような場合にはじめて存在する。すなわちそれは、政党システム全体と関わり、政党の外部から政党に影響を及ぼし、かつ基本法21条1項1文により政党に託された任務の遂行に係る人的・物的リソースの不足を明白に(deutlich spürbar)、そして諸政党自身の力では克服できないほどに高める事情が生じた場合である。
3. 諸事情の切実な変化が存在するとき、絶対的上限の引上げは、政党システムの機能性(Funktionsfähigkeit)を維持するうえで不可欠な限度でのみ許される。
4. 立法者は、すでに法律制定手続の段階において、絶対的上限を引き上げるべき理由を説明しなければならない。諸事情の切実な変化が存在すること、そしてその結果として助成額の適切な変更(Anpassung)の必要があることを示すべく、顧慮された諸々のファクター(Bestimmungsfaktoren)をどのように算定し、衡量したのか、ということが根拠とともに(nachvollziebar)説明されなければならない。
5. デジタル化の進展に伴うコミュニケーションの手段や可能性の拡大、さらに政党内部におけるさまざまな参加方式のいっそうの活用は、基本法21条1項1文によって政党に委ねられた憲法上の任務の遂行に関する、諸事情の切実な変化とみることができる。
• 報告者②:新井貴大(新潟県立大学)15時45分~
• 報告判例:2023 年 2 月 16 日の第 1 法廷判決(BVerfGE 165, 363; 1 BvR 1547/19 - Automatisierte Datenanalyse) https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2023/02/rs20230216_1bvr154719.html
• 判決要旨:
1. 保存されたデータストックが、データの分析または評価のために自動化されたアプリケーションを用いて処理される場合、こうした処理は、データがこの過程で個人に関連して使用されるすべての者の情報的自己決定(基本法1条1項と結びついた2条1項)に対する介入となる。
2. 第一に、自動化されたデータの分析または評価についての介入の重大性と、その憲法上の正当化に対する要求が、先行するデータ取得による介入の重大性から生じる。この限りでは、目的拘束と目的変更の諸原則が適用される。第二に、自動化されたデータの分析または評価は、独自の重大性を有する。なぜなら、自動化されたデータの分析または評価を通じた追加の処理は、〔データの〕元々の取得による介入の重大性を超えた固有の負担効果をもちうるからである。この限りでは、狭義の比例性の原則から、特段の正当化の要求が生じる。
3. 自動化されたデータの分析または評価の正当化に対するこうした特段の要求は、さまざまに異なる。これは、そうした手段に固有の介入強度が、法律上の形態に応じてまったく異なる可能性があるためである。介入の重大性は、とりわけ、処理可能なデータの種類と範囲およびデータの分析または評価に許容される方法によって規定される。立法者は、データの種類と範囲および評価方法の限定に関する規律を通じて、介入強度を制御することができる。
4. 自動化されたデータの分析または評価によって情報的自己決定への重大な介入が可能となる場合、介入の度合いが強度となる秘密の監視措置に対して一般的に適用されるような厳密な要件を満たしたときに限り、こうした介入が正当化されうる。つまり、目的が特に重大な法益の保護にほかならず、こうした法益に対する少なくとも十分に具体化された危険が存在する場合に、上記のような介入を正当化することができる。特に重大な法益に対する少なくとも十分に具体化された危険を要求する条件は、次の場合に限り、憲法上不可欠ではない。すなわち、とりわけデータの種類と範囲を限定するための規律や、データ処理の方法を制限するための規律を通じて、許容される分析および評価の可能性が、規範として明確で、かつ十分に特定されていて、実際に、措置に伴う介入の重大性が相当程度に低下するほど厳密に限定されている場合である。
5. 原則として、立法者は、処理可能なデータの種類と範囲および許容されるデータ処理の方法に関して必要となる規律の制定を、自身と行政とのあいだで分配することができる。しかし立法者は、法律留保を守りつつ、全体として十分な規律がなされることを確保しなければならない。
a. 立法者は、データの種類と範囲および処理方法を限定するための本質的な根拠を、自ら、法律であらかじめ定めておかなければならない。
b. 立法者が、組織上や技術上の細部について、より詳細な規律を行政に授権する場合、立法者は、次のことを保障しなければならない。つまり、個別事案における自動化されたデータの分析または評価の実施にとって指針となる規準と基準(Vorgaben und Kriterien)を、行政が抽象的・一般的な形式で定め、確実に文書化し、そして立法者によってより詳細に規定されるべき方法で公開することを、立法者は確保しなければならないのである。これにより、憲法上で要求される統制も確保される。この統制は、とりわけデータ保護監察官によって行われうる。