第 314 回研究会
• 日時:2025 年 4 月 5 日(土)14 時~17 時
• 会場:日本大学法学部 10 号館 1031 講堂 ※いつもの建物、教室とは異なりますのでご注意下さい。
• 報告者:棟久敬(白鷗大学)
• 報告判例:2023 年 11 月 23 日の第1法廷判決(BVerfGE 167, 239; 1 BvR 2577/15, 1 BvR 2579/15, 1BvR 2578/15 – Zeugnisbemerkungen)
https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2023/11/rs20231122_1bvr257715.html
• 判決要旨:
1. ある人が、通常とは異なる(regelwidrig)身体的、精神的ないしは心的な状態の結果として、個人が独立して生活を送る能力に比較的長期にわたって支障がある場合に、憲法上の意味における障害がある。軽微な支障(Beeinträchtigungen)は該当せず、重大な制限のみが該当する。
2. 基本法 3 条 3 項 2 文は、特定の障害を持つ人々を、他の障害を持つ人々に比べて不利に取扱うことにも適用される。
3. 法的な平等取扱が、典型的かつ性質や範囲に応じて、障害を理由とした予見しうる事実上の不利な取扱いをもたらす場合にも、基本法 3 条 3 項 2 文の適用領域は開かれている(BVerfGE 128,138〈156〉と関連する)。
4. 自らの能力をその社会的な出自にかかわりなく発揮して、学校卒業後に自らの能力や素質に応じて教育課程や職業を自由に選択し、そして自らの責任によって生活する基礎をつくることができる。そのような人格の持ち主(人物)へと生徒が成長することもまた、学校教育の目標である。ここには、個人のもつ潜在能力を 阻害する社会的な不利益を可能な限り取り除き、多種多様な教育を提供することで存在
する才能を呼び覚まし、支援することも含まれる。その社会的な出自にかかわりなく、おしなべて教育または職業の機会をとらえることができるような人格の持ち主(人物)へと成長しうる機会を、少なくとも生徒に開いておく教育を提供することは欠くことのできないものである(BVerfGE 159,355〈383f.Rn.50 及び 386f. Rn.57〉と関連する)。
5. (大学入学資格試験の)成績証明書(Abiturzeugnis)は、一般的な大学入学資格の証明として、生徒に付与された学校での成績や人的な能力に応じて教育や職業へアクセスしうる平等な機会をすべての生徒に開くという目標に貢献する。このような目標は、基本法 12 条 1 項及び 3 条 1 項と結びついた基本法 7 条 1 項により憲法上の地位をもつ。とりわけ、すべての受験者が同一の学校で身に着けた知識や能力を同一の条件の下で証明しなければならず、異なる成績付与により提示された成績の異なる質が正確に把握され、すべての卒業証明書において説得力があり、かつ比較しうる方法で記録される場合には、立法者はこの目標に適ったやり方をしている。
6. 記載がなければわからないような、申請に基づいて行われた、そして一般的な試験基準とは異なるような、障害に起因する制約を理由とした成績評価の除外に関する学校の卒業証明書における所見は、基本法 3 条 3 項 2 文による能力に即した機会均等な教育や職業へのアクセスを確保するため、全体として証明書の十分な透明性が達成される程度に、その所見が網羅的になされるのであれば、原則として正当化される。
7. 少なくとも、一般的な大学入学資格の証明によりすべての科目についての研究許可への原則的な請求権を成立させる成績証明書においてそのような所見を記入することは、原則として必要である。