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2026年6月5日金曜日

第326回研究会

 日時:2026 年6 月6 日(土)14 時~17 時

• 会場: 日本大学法学部2 号館4 階243 講堂

※いつもの会場とは異なる建物、教室ですのでご注意ください。

• 報告者:笛木淳(広島大学)

• 報告判例:2025 年5 月7 日の第1 法廷決定(BVerfGE 171, 366 - 1 BvR 1507/23, 1 BvR 2197/23 - GKVFinanzstabilisierungsG)

https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2025/05/rs20250507_1bvr150723.html

• 決定要旨:

1.法定医療保険の領域においては、法定医療保険制度の財政的安定を確保することを目的とする費用抑制措置について妥当するのは、当該制度の複雑性ゆえに通常、明白性ないし一応の合理性審査による控えめな統制が妥当する。

2.法定医療保険の財政的安定を確保することを目的として、職業選択の自由に対して財政上の効果を有する介入が行われた場合、相当性審査において以下の点が特に顧慮されるべきである。すなわち、法定医療保険制度はその多くの部分において市場の力によって制御されておらず、法定医療保険のコスト安定性について立法者に特別の責任が課されている、という点である。給付提供者は、特別な程度において社会国家的立法の影響に服する。法定医療保険制度の安定に資する介入に対しては、信頼保護は限定的なものにとどまる。このことがとりわけ妥当するのは、立法者が、費用増加について特に責任があると判断した者に負担を課す場合である。

クリップボード@月報338号

 岩間昭道「『投票価値の平等』について」法政法科大学院紀要21巻1号


法学セミナー850号

・片桐直人・伊藤 建「FOCUS憲法Ⅶ[第21回]宗教的行為の制約の合憲性」


自治研究102巻6号

・神橋一彦「ドイツ憲法判例研究〔300〕欧州逮捕状に基づく身柄引渡しに関する上級地裁決定に対する憲法異議」

2026年5月2日土曜日

第325回研究会

 •日時:2026年5月9日(土)14時~17時

•会場: 日本大学法学部本館141講堂(4階)

•報告者:大森貴弘(常葉大学)

•報告判例:2025年6月10日の第1法廷決定( 1 BvR 1931/23)

https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2025/06/rk20250610_1bvr193123.html

•決定要旨:

1. たとえ子どもが家庭外収容されていない場合でも、子どもの成年まで命じられた面会交流排除はヨリ厳格な違憲審査基準に服する(Abgrenzung zu BVerfG, FamRZ 2023, 438, und FamRZ 2023, 283, m. Anm. Cirullies)。

2. 民法1666条による配慮権剥奪または長期にわたる面会交流排除のような重大な介入の場合には、その決定の度に要求される子の福祉の危殆化が、性質、重大さおよび発生の蓋然性について詳細かつ具体的に述べられるべきである。

3. 父が母および子どもたちに対して振るった暴力とそれによって引き起こされた子どもたちの恐怖心の認定のみでは、差し迫った(再)トラウマ化という想定を支持するには端的に不十分である。

4. 子の福祉の危殆化が子の拒否する意思に裏付けられるかぎり、裁判所が立証しなければならないのは次のことである。すなわち、裁判所が、対応する事実認定を支持するできるだけ確実な根拠を形成するのに適合的かつ相当な手続き形成に基づいて子の意思を突き止めたこと、これである。

5. 父の無反省やカウンセリングの提供が相当以前に失敗したことを示唆するだけでは、面会交流排除よりも緩やかな手段として監視付き面会交流を排除することはできない。

6. 無期限の面会交流排除は例外的にのみ比例的である (Abgrenzung zu BVerfG, FamRZ 2016, 1917, m. Anm. Splitt)。

クリップボード@月報337号

 福山宏著『実践入管行政法(法律学の森・実践法律学体系)』(信山社、2026)

赤坂幸一『憲政秩序の創設と運用』(弘文堂、2026)

赤坂正浩『立憲国家の基礎概念 』(信山社、2026)

高田倫子『行政裁量の法理論的・憲法学的考察』(有斐閣、2026)


法学教室548号

・西土彰一郎「Ⅴ 表現の内容規制と内容中立規制」


法律時報98巻5号

・高橋雅人「信頼なき政治と承認されるフェイク—日本型ポピュリズムの認識論的条件」

・辛嶋了憲「憲法と家族法の交錯・16 GID特例法3条1項5号の憲法適合性を考える」


自治研究102巻5号

・高橋和広「ドイツ憲法判例研究〔299〕連邦刑事庁法Ⅱ」


栗島智明「ドイツ連邦憲法裁判所75周年に寄せて」(法学館憲法研究所サイト、2026年4月22日)https://www.jicl.jp/articles/opinion_20260420.html


鈴木秀美「京都南丹市の事件から考える~事件報道のあり方とメディアの責任(特集)」

(TBSラジオ「荻上チキ・Session」出演、2026年4月20日)

https://www.youtube.com/watch?v=F0FAbj65Ky4&t=10790s(音声配信)

2026年3月31日火曜日

第324回研究会

 •日時:2026年4月4日(土)14時~17時

•会場:慶應義塾大学三田キャンパス南校舎2階421教室(正門を入ってすぐの建物)

•報告者:柴田憲司(中央大学)

•報告判例:2024年11月26日の第1法廷判決(BVerfGE 170, 293; 170, 373– 1 BvL 1/24 – Krankenhausvorbehalt)

※月報335号掲載の今後の報告予定に記載されているものから修正あり

https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2024/11/ls20241126_1bvl000124.html?nn=68020

•判決要旨:

1.基本法2条2項1文〔生命権・身体の不可侵性〕に基づく国家の保護義務の充足として行われる、承諾〔同意〕能力のない被世話人に対する医療上の強制処置〔強制治療〕は、厳格な要件に服し、かつ、最終手段としてのみ許容される。

2.専門裁判所による医療上の強制処置の命令によってもたらされる、承諾〔同意〕能力のない被世話人の基本法2条2項1文後半の基本権〔身体の不可侵性〕に対する介入は、厳格な比例原則の審査に服する。

3.医療上の強制処置を、詳細に専門化された処置〔ケア〕水準を備えた病院における入院での滞在と結びつけることは、原則として許容される。

4.病院〔入院〕の留保によって追求された強制処置の諸目的、すなわち、私的な居住環境における強制処置からの保護、医療上の強制処置の実施要件についての多職種からなる専門家のチームによる審査、不当な誘因に基づく不必要な医療上の強制処置の阻止、適切な専門水準を備えた医療処置の確保という諸目的は、いずれも正当であり、憲法上も根拠づけられる。

5.しかし、医療上の強制処置を、例外なく、入院中の病院での滞在と結びつけることは不相当である。一定の例外が次のような場合に要請される。すなわち、医療上の強制処置を、病院における入院での滞在の枠内で実施すべきことを例外なく求める基準により、個別の事案において、事前の観察〔事前評価〕に基づき、被世話人に対し、その身体の不可侵性への重大な侵害を切迫させるおそれがあることに少なくとも一定の蓋然性があり、かつ、被世話人が入居している施設であって、事後の処置〔ケア〕も含めた具体的に必要となる医学上の処置〔ケア〕に関し、病院における場合とほぼ同程度の水準が達成されうると想定される施設において強制処置を行うことで、前記の身体の不可侵性への侵害が回避されるか、少なくとも大幅に減少されうる場合であって、その際、身体の不可侵性やこれと同等に重要な他の基本権上保護された地位への別途の侵害の危険を生じさせない場合である。

クリップボード@月報336号

 井上典之・鈴木秀美・小山剛・山元一・山崎栄一・西土彰一郎編『もうひとつの憲法学 棟居快行先生古稀記念』(信山社、2026)

※全執筆者89名のうち本研究会会員が多数を占めるため、以下に信山社HPのアドレスを掲載します。おそれいりますが、ご自身で各巻に収められた論文の執筆者とタイトルをご確認ください。

第Ⅰ巻 https://www.shinzansha.co.jp/book/b10161002.html

第Ⅱ巻 https://www.shinzansha.co.jp/book/b10161014.html

第Ⅲ巻 https://www.shinzansha.co.jp/book/b10161015.html


ジュリスト1621号(2026)

・石原佳代子「議員定数不均衡問題を考える――司法府と国民の「対話」は成り立つのか」


法学教室547号(2026)

・小西葉子「憲法による現代的捜査の統制」


自治研究102巻3号(2026)

・初宿正典・山中倫太郎訳「ドイツのラント憲法:ニーダーザクセン憲法(三・完)」

・栗島智明「大学における学術助手の義務的な無期転換ルールを定めた州法の合憲性―ベルリン州大学法事件」自治研究102巻4号

・中西優美子「EU統合的汚染防止管理(IPPC)指令のイタリアにおける実施の確保(Ⅲ(11)) 【EU法における先決裁定手続に関する研究(67)】」

・渡辺洋「ノルトライン=ヴェストファーレン州官吏法における政治的官吏規定の合憲性」

2026年3月30日月曜日

第323回研究会

 • 日時:2026 年 3 月 7 日(土)14 時~17 時

• 会場: 日本大学法学部本館 142 講堂(4 階)

※いつも使用している 141 講堂の隣の教室になります。

• 報告者:植松健一(立命館大学)

• 報告判例:2023 年 7 月 5 日の第 2 法廷決定(BVerfGE 166, 304; 2 BvE 4/23 –Gebäudeenergiegesetz)

https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2023/07/es20230705_2bve000423.html

• 決定要旨:

被申立人には、「建造物エネルギー法改正、暖房費規則改正及び煙道清掃・検査規則改正」(BTDrucks20/6875)のための連邦政府提出法案に関する連邦議会第二読会および第三読会を、週内は実施してはならない。

1.仮命令は単に現状を一時的に保全・形成するものであるから、仮命令が本案手続の結論の先取りとなることは原則として認められないが、本案判決が過度に遅れることが予見でき、かつ他の方法によっては申立人に十分な権利保護を与えることが不可能な場合には、例外的に仮の命令は認められる。

2.機関争訟に付随する仮命令である申立ては、申立人が有する議会の意思意思形成への同権的参与の権能(GG38 条 1 項 2 文)という点で、不適法とはいえない。議員は採決の権能のみならず、審議する権能も有する。審議には対象に関する十分な情報が前提であるから、議員は情報を獲得できるのみならず、当該情報を消化(verarbeiten)できなければならない。

3.法案審議時間の相当性の判断に際しては、事案の全体状況を、具体的な法律案の観点から、さらには議会の活動を規定するその他の諸要素の観点から、考慮する必要がある。本件審議では、議会多数派の立法手続自律権の行使に憲法上の疑義がないとは簡単には認定できない。法案審議の進行の決定には議会内多数派に広い裁量が認められるとしても、また、本件審議がドイツ連邦議会議事規則が定める立法手続の間隔を遵守しているとしても、申立人の参与権が「十分に合理的な理由なしに実質的な程度において」毀損されていないか、また、議会多数派が選択した審議の進め方が立法手続の権利濫用的な加速となっていないかという点について、仮の権利保護手続の中で簡素ではない、詳細な審査を必要とする。

4.仮命令が主文のとおり発出されても、政府の予定する建造物エネルギー法改正法の施行日(2024 年1 月 1 日)に影響せずに、なお採決が容易である。他方、仮命令が発出されず、かつ本案手続で申立人の請求が認容された場合には、申立人の侵害された憲法上の権能は回復不能になる。それゆえ、仮命令発出の利益が優位する。