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2025年10月6日月曜日

第319回研究会

 日時:2025年10月10日(金)18時~20時 

• 会場:大阪公立大学文化交流センター 

〒530-0001 大阪市北区梅田1-2-2-600大阪駅前第2ビル6階 

*JR「大阪駅」や地下鉄御堂筋線「梅田駅」から徒歩10分 

2 年前の10月の研究会と同じ会場で、大阪公立大学梅田サテライトと同じ建物の同じ階です。 

アクセスマップ:https://www.omu.ac.jp/about/campus/umeda/ 

• 報告者:渡辺洋(神戸学院大学) 

• 報告判例:2024年4月9日の第2法廷決定(BVerfGE 169, 67; 2 BvL 2/22 – Politischer Beamte) 

https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2024/04/Ls20240409_2bvl000222.html?nn=68080 

• 決定要旨: 

1. 政治的官吏を随時一時退職へと異動することができる余地は、終身任用原理(基本法 33条 5 項)を破るものとして、憲法上原則として認められるが、狭く限定された例外的な場合になお制限されていなければならない。 

2. 政治的官吏という例外的なカテゴリーの実質的正当性は、政治的官吏が、その任務の性質に応じ特別な方法で国の指導層の政治的信頼を必要とし、政府の基本的な政治的見解や目標と不断に一致した関係になければならないという点に見出される。 

3. ある官職を上述の意味で「政治的」と位置づけることがどのような場合に認められうるかは、諸々の要素にかかっている。それらの要素は、それぞれの個別事例で、トータルな観察枠組において、受任者が政府の政治的目標と持続的に一致していることが効果的な課題処理のために不可欠であるとする手がかりを提供しなければならない。 

4. ノルトライン=ヴェストファーレン州における警察署長の政治的官吏としての位置づけは、終身任用原理に対する介入であり、当該職務の特別な、事柄の性質に即した必要性では正当化されない。同職の任務の領分や同職に与えられた判断の余地、同職の組織上の立場、同職に課された州政府への助言義務の範囲その他諸々の観点は、同職を上述の意味で「政治的」であるとは証明しない。

クリップボード@月報331号

 大林啓吾編『世界の憲法本―憲法理解を深める49の本』(法律文化社、2025) 

・毛利透「ハンス・ケルゼン『純粋法学〔第2版〕』」 

・石塚壮太郎「カール・シュミット『憲法理論』」 

・生田裕也「コンラート・ヘッセ『ドイツ憲法の基本的特質』」 

・片桐直人「ぺーター・ヘーベルレ『基本法19条2項にいう基本権の本質的内容の保障〔第3版〕」 

・齋藤暁「ボード・ピエロート/ベルンハルト・シュリンク『基本権—国法Ⅱ』」 

・柴田憲司「ロベルト・アレクシー『基本権の理論』」 

・山田哲史「クリストフ・メラース『論拠としての国家〔第2版〕』」 

・辛嶋了憲「マティアス・イェシュテット/オリヴァー・レプシウス/クリストフ・メラース/クリストフ・シェーンベルガー『越境する司法』」 


長谷部恭男・石川健治・宍戸常寿・小島慎司編『憲法判例百選Ⅰ・Ⅱ(第8版)』(有斐閣、2025) ※執筆者多数のため、ご芳名と通しの事件番号のみ掲載させていただきます(掲載順)。 

・近藤敦(6)、毛利透(7)、實原隆志(14)、丸山敦裕(15)、武市周作(17)、押久保倫夫(19)、渡辺康行(24)、井上典之(25)、倉田原志(33)、玉蟲由樹(36)、松原光宏(38)、福岡安都子(40)、石川健治(42)、林知更(45)、嶋崎健太郎(46)、上村都(51)、門田孝(56)、西土彰一郎(61)、鈴木秀美(68)、小山剛(74)、岡田健一郎(80)、工藤達朗(83)、石塚壮太郎(88)、松本和彦(91)、宮地基(92)、栗島智明(93)、平良小百合(95)、三宅雄彦(96)、赤坂正浩(102)、村西良太(103)、高田倫子(104)、山田哲史(107)、藤井康博(118)、松本奈津希(128)、柴田憲司(131)、渡辺洋(139)、國分典子(140)、高田篤(146)、山本真敬(149)、植松健一(150)、上脇博之(154)、篠原永明(155)、本秀紀(161)、斎藤一久(166)、石川健治(173)、日野田浩行(178)、赤坂幸一(182)、高橋雅人(189)、加藤一彦(192)、上代庸平(193)、片桐直人(194)、土屋武(197)、須賀博志(199) 


辛嶋了憲「公職選挙法施行令129条4項及びその周辺に関する若干の整理」広島法学49巻1号(2025) 

辛嶋了憲「医学部入試性別等不利益取扱事件:令和5年12月25日・東京地方裁判所判決」広島法学49巻1号(2025) 


行政法研究61号(2025) 

・柴田暁史「欧州法共同体―コンセプトと実務上の転換」 

・山田哲史「基本権を中心とした法治国的覊束(1)―法律の優位と留保」 

・辛嶋了憲「基本権を中心とした法治国的覊束(2)―平等」 


Toru Mori, Versammlungsfreiheit in öffentlichen Einrichtungen. Zur Notwendigkeit der Erneuerung der Dogmatik, Die Verwaltung 58 (2025), Heft 2, S.89-105 


ジュリスト1615号(2025) 

・林知更「地方自治の本旨」と比例原則――地方公共団体への国の指示権をめぐって」 

法学教室541巻(2025) 

・高田篤「憲法の基本原理から見る統治〔第18回〕内閣と行政機関」 

法学セミナー846号(2025) 

・松本和彦・伊藤 建「FOCUS憲法Ⅵ[第3回]同性婚の法的承認─『結婚の自由をすべての人に」事件』」 


法律時報97巻11号(2025) 

・山元 一・石川健治・小畑 郁・井上武史・三牧聖子・根岸陽太・江島晶子・横大道 聡「[2025年度憲法理論研究会研究総会]平和と法をめぐる対話─「〈戦争を知らない子どもたち〉だけのこの国」を目の前にして」 


自治研究101巻10号(2025) 

・中西優美子「西サハラ領域からの農産品の輸入にかかわる共通通商政策と消費者保護(Ⅲ(9))【EU法における先決裁定手続に関する研究(64)】」  

・初宿正典・山中倫太郎訳「ドイツのラント憲法:シュレースヴィヒ=ホルシュタイン憲法(三・完)」 

・安原陽平「ドイツ憲法判例研究〔292〕連邦奨学金法決定」

2025年9月6日土曜日

第318回研究会

 • 日時:2025 年 9 月 6 日(土)13 時~18 時

• 会場:慶應義塾大学三田キャンパス大学院棟 313 教室

※大学院棟は、中庭を挟んで図書館の向かい側(西側)にある建物です。正面玄関から入って、エレベーターの右側にある廊下に進むと、その廊下の右側に 313 教室があります。

• 報告者①:上代庸平(明治学院大学)

• 報告判例:2023 年 11 月 15 日の第2法廷判決(BVerfGE 167, 86; 2 BvF 1/22 - Zweites Nachtragshaushalts-gesetz 2021)

https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2023/11/fs20231115_2bvf000122.html

• 判決要旨:

1. a) 自然災害又は異常な緊急状態と起債上限超過との間には、基本法 109 条 3 項 2 文及び 115 条 2 項 6文の文言要件に加えて事実上の因果関係が存在することを要する。この要件の判断については、立法者に評価及び判断の余地が認められる。

b) この評価及び判断の余地は、立法手続における説明責任に対応する。

2. a) 国家債務法における年次性原則並びに年次における期間性の適用は、自然災害及び異常な緊急状態に関する基本法 109 条 3 項 2 文及び 115 条 2 項 6 文の例外規律にも及ぶものである。

b) これらの原則は、予算立法者が独立の法人格を有しない特別財産のために起債承認を供与する形式を選択することによっても、効力を失うことはない。

3. 事前議決原則は、補正予算の編成においても原則として遵守されなければならない。したがって、補正予算案は当年末までに議会において議決されなければならない。


• 報告者②:栗島智明(埼玉大学)

• 報告判例:2025 年 6 月 25 日の第 1 法廷決定(ベルリン大学法)Beschluss des Ersten Senats vom 25.Juni 2025 - 1 BvR 368/22 (Berliner Hochschulgesetz)

https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2025/06/rs20250625_1bvr036822.html?nn=68080

• 決定要旨:

1. 基本法 5 条 3 項 1 文の学問の自由の保護〔の範囲〕には、学術助手に関する人事的決定および次世代の学者の助成もまた含まれる。

2. 基本法 74 条 1 項 12 号が定める「労働法」の権限により、雇用者・被用者間の法関係であって、かつ、雇用関係の期間・終了に関わる限りで公勤務被用者の法関係にまで及ぶようなものについては、包括的な立法権限が基礎づけられる。


クリップボード@月報330号

 愛敬浩二・蟻川恒正・阪口正二郎編『憲法学の領分』中島徹先生古稀記念論文集(日本評論社、2025)

・渡辺洋「彼女ら彼らの戯れが、なぜ憲法になるのか——シャピロ・社会計画論を読む」

・渡辺康行「討議理論による人権・基本権論——R・アレクシー再読」

・押久保倫夫「最低限度の生活保障と『労働する人間』像」

・山本響子「入管収容によらない退去強制のための一試論——ドイツを参照しつつ」

・石川健治「憲法 24 条の領分」

・山本真敬「いわゆる継続的妥当命令について——ドイツにおける違憲確認判決(憲法不適合宣言)の効果論の現在」


ジュリスト 1613 号(2025)

・小西葉子「通信情報の利用とサイバー通信情報監理委員会」


ジュリスト 1614 号(2025)

・片桐直人「都市公園内における宗教的施設の収去を怠る事実と政教分離原則――第二次孔子廟訴訟上告審判決(最一小判令和 7・3・17)」


法学教室 539 号(2025)

・柴田暁史「政治参加の課題」

・植松健一「海外の選挙・市民会議・請願」

・高田篤「憲法の基本原理から見る統治〔第 16 回〕国会・議院の権能(2)」


法学教室 540 号(2025)

・高田篤「憲法の基本原理から見る統治〔第 17 回〕行政権」


自治研究 101 巻 8 号(2025)

・中西優美子「共通外交安全保障政策(CFSP)に関する措置に対するEU司法裁判所の先決裁定を下す管轄権(Ⅰ(11))」

・初宿正典・山中倫太郎「ドイツのラント憲法:シュレースヴィヒ=ホルシュタイン憲法(一)」

・吉岡万季「障害者差別解消法に基づき喀痰吸引具の取得・保管等を請求することの可否が争われた事例」

・門田美貴「ドイツ憲法判例研究(290) 高リスクサッカー試合と警察コスト」


自治研究 101 巻 9 号(2025)

・初宿正典・山中倫太郎「ドイツのラント憲法:シュレースヴィヒ=ホルシュタイン憲法(二)」

・棟久敬「ドイツ憲法判例研究(291) 大学入学資格証明書の所見(Zeugnisbemerkungen)」

国際人権交流 428 号(2025)

・近藤敦・鈴木雅子・福山宏「特集 特別座談会 『退去強制』の議論を交わらせたい」


憲法研究 16 号(2025)

・千葉勝美/(聞き手)渡辺康行「<インタビュー>私のかかわった憲法判例と裁判官人生」

・栗島智明「短歌を愛した裁判官―可部恒雄」

・山本真敬「民主主義の前提と司法審査の役割―福田 博」

・村西良太「内閣法制局長官を逐われて最高裁へ―山本庸幸」

・岡田俊幸【書評】「渡辺康行『憲法裁判の法理』(岩波書店,2022 年)」


Toru Mori, Verfassungswandel in Japan - Begriffliche Diskussionen und Analyse der neueren Gerichtsentscheidungen, Jahrbuch des öffentlichen Rechts, N.F. 73 (2025), S.181-197


鈴木秀美「選挙戦 期間中にも各社積極報道」朝日新聞 2025 年 8 月 19 日朝刊 25 頁にコメント掲載
(電子版 8 月 16 日 ttps://www.asahi.com/articles/AST8743HTT87UTIL01PM.html?iref=pc_ss_date_article)

2025年7月5日土曜日

第317回研究会

 日時:2025 年 7 月 5 日(土)14 時~17 時

• 会場:日本大学法学部 141 講堂(本館4階)

• 報告者:山本響子(千葉大学)

• 報告判例:2022 年 6 月 28 日の第 2 法廷決定(BVerfGE 162, 277; 2 BvL 9/14, 2 BvL 10/14, 2 BvL 13/14,2 BvL 14/14 - Kindergeld für Drittstaatsangehörige)https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2022/06/ls20220628_2bvl000914.html

• 決定要旨:

1. 本件各手続は併合され、共通した判断を下される。

2. 2006 年 12 月 13 日の、児童手当、育児手当および扶養立替金に関する外国人の受給資格に関する法律の条文における所得税法(連邦官報 I 2915 頁)62 条 2 項 3 号 b は、基本法 3 条 1 項と相容れず、無効である。

3. 上記以外の部分についての移送は不適法である。

クリップボード@月報329号

 ジュリスト 1612 号(2025)

・植松健一「森英樹著『民主主義法学の憲法理論』」(書評)


法学教室 538 号(2025)

・片桐直人「憲法記念日に未来を不安に思う」

・高田篤「憲法の基本原理から見る統治〔第 15 回〕国会・議院の権能(1)」


法律時報 97 巻 8 号

・片桐直人「【法律時評】EXPO2025」

・篠原永明「マンションの再生等に向けた新たな決議制度」


自治研究 101 巻 7 号

・前硲大志「ドイツ連邦議会における委員長の選挙/解任の合憲性」


独立行政法人経済産業研究所 ポリシー・ディスカッション・ペーパー 25-P-009(2025)

・福山宏・橋本由紀「専門的・技術的分野の在留資格の理念型と現実的変容」

2025年5月31日土曜日

第316回研究会

 • 日時:2025 年 6 月 7 日(土)14 時~17 時

• 会場:日本大学法学部 141 講堂(本館4階)

• 報告者:高田倫子(大阪公立大学)

• 報告判例:2024 年 7 月 30 日の第2法廷判決(BVerfGE 169, 236; 2 BvF 1/23 - Bundeswahlgesetz 2023)

https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2024/07/fs20240730_2bvf000123.html

• 判決要旨:

1.選挙法を改革する立法者の決定は、特別の条件に拘束されていない。

2.連邦選挙法 1 条 3 項ならびに 6 条 1 項および 4 項 1・2 文に規定された第 2 票による裏付け手続(Zweitstimmendeckungsverfahren)は、勝利した無所属の候補者についての正当化される例外規定の他に、異なった取扱いを基礎付けない。

3.現在の事実的および法的な諸条件の下において、5%の阻止条項が許容されることは明らかである。しかしながら、連邦選挙法 4 条 2 項 2 文 2 号における阻止条項の内容形成は、全ての範囲において必要であるとはいえない。ある政党の議員が、当該政党が考慮されるとすればもう一つの政党の議員と共同会派を形成し、両党が共同で 5%の定足数に達するような場合に、ドイツ連邦議会が活動し機能する能力を確保するために、当該政党を議席配分において考慮せずにおくことは、必要であるとはいえない。

4.立法者は、阻止条項を修正してよい。その際に、立法者は、政党の特別な政治的力を、第 2 票の結果から引き出しても、第 1 票の選挙における政党の勝利の規模から引き出してもよく、したがって阻止条項を選挙区条項によって緩和することが許される。