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2026年1月8日木曜日

第322回研究会

 •日時:2026年1月10日(土)13時~18時

※1月は報告者が2名ですので、開始時間と終了時間がいつもの研究会とは異なります。

•会場:慶應義塾大学三田キャンパス南校舎(正門を入ってすぐの建物)2階421教室

•報告者①:高橋和広(東邦大学)

•報告判例:2024年10月1日の第1法廷決定( 1 BvR 1160/19 –Bundeskriminal-amtgesetz II)

https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2024/10/rs20241001_1bvr116019.html


•判決要旨:

1.データ取得を目的とする高度の介入措置による接触者の秘密裡による監視の要件は少なくとも、当該手段を用いた警察法上の責任者の監視が許されることである。

2.以前に取得された個人データの目的を維持する処理の範囲内において、取得の直接の動機となった事件が終結し、それによって取得の端緒となっていた具体的な目的が果たされた後、これらのデータは消去されなければならない。直接の端緒となった事件以後も消去の見合わせを考慮し得るのは、データそれ自体からであれ、当局が持つ他の知識との結びつきからであれ、その間にデータから具体的な捜査の端緒が生じ、以て目的を変更した利用の要件が充たされた場合に限られる。

3.被疑者の身元や、刑法上の関係のある一定の行為に関する個人の基本データを、連邦刑事庁が連邦警察データ・プラットフォームに予備的に保存するためには、少なくとも、適切な保存閾値の設定と、適切な保存期間の決定が求められる。

a)予備的保存は、予備的に保存される個人データと保存目的の実現との関連を比例的な形で確保し、予備的保存に固有の危険に適切に対処する保存閾値に依拠していなければならない。犯罪の予防及び訴追に対してこれが認められるのは、当事者が発生し得る犯罪と刑法上の関係のある結びつきを示し、保存されるデータがまさに当該犯罪の予防及び訴追に適切に寄与しうるという十分な蓋然性が存在する場合に限られる。この予測は、事実に即した十分な根拠に基づくものでなければならない。

b)適切な保存期間を定める法規定が必要である。適切な保存期間は、介入の重大性、予測の時間的耐性及び比例原則から生じる他の観点により決まってくる。この予測は原則として、関係する新たな状況を追加的に考慮しない限り、時間の経過とともに説得力を失っていく。


•報告者②:入井凡乃(駒沢大学)

•報告判例:2023年6月20日の第2法廷判決(BVerfGE 166, 196; 2 BvR 166/16 – Gefangenenvergütung II)

https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2023/06/rs20230620_2bvr016616.html?nn=68080


•判決要旨:

1. 基本法1条1項と結びついた2条1項から導かれる憲法上の社会復帰要請は、立法者が、包括的、効果的、整合的で、科学的水準に則した、社会復帰構想を策定すること、ならびに、立法者自身によって定められるべき行刑についての本質的な規律を社会復帰構想に基づいて構築することを義務づけている

2. 全体的構想は、憲法によって要求される社会復帰目標の達成のためのものであることが、法律自体から認識可能でなければならない。立法者は、自らの社会復帰構想の枠組みにおいて、受刑者の労働の(全体的な)報酬、および、特に金銭的報酬部分によって到達されるべき目的を法律で明示し、矛盾のないよう相互に調整しなければならない

3.立法者は特定の規律構想に拘束されない。むしろ、立法者には広い形成余地が開かれている。行刑の構成についての法律上の基準は、慎重に導き出された仮定や予測に基づかねばならない。そして、行刑の構成及び処遇措置の有効性は、定期的に科学的に裏付けられ、また、評価されなければならない。

4. 立法者が、社会復帰構想を定め、どのような目標に受刑者の労働及びその報酬が役立つべきかを決定した場合、報酬の構成とその額は、その構想において明記された目的が実際上も達成されうるよう設定されなければならない。報酬水準の適切性は、社会復帰構想によって追求される目標に照らして判断されなければならない

5. この関連において行われるべき、様々な考慮要素の評価、衡量、および、重みづけの際に、立法者には、評価及び形成の余地が与えられている。連邦憲法裁判所は、この構想の憲法上の審査を主張可能性の統制の枠組みにおいて行う。

クリップボード@月報334号

 Toru Mori, Volkssouveränität und Parlament - aus Sicht der Souveränitätsdiskussion in Japan, 法学論叢197巻2号1頁(2025)


法学教室544号(2025)

・高田篤「憲法の基本原理から見る統治〔第21回〕違憲審査制」

2025年12月5日金曜日

第321回研究会

 • 日時:2025 年 12 月 6 日(土)14 時~17 時

• 会場:日本大学法学部本館 141 講堂(4 階)

• 報告者:玉蟲由樹(日本大学)

• 報告判例:2025 年 7 月 15 日第 2 法廷判決(Urteil vom 15. Juli 2025 – 2 BvR 508/21 –)

https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2025/07/rs20250715_2bvr050821.html

• 判決要旨:

1. ドイツ連邦共和国には,外国との関連を有する事案においても,基本的人権および国際人道法の核心的規範の保護が確保されるようにする一般的な保護任務が課されている。

2. この保護任務は,事案に応じて,一定の条件の下で,具体的な基本権保護義務へと発展しうる。

a) 基本法 2 条 2 項 1 文にもとづくこのような保護義務は,生命の保護のために適用される国際法の遵守を目指すものであり,他国によって生じる危険もこれに含まれる。

b) この憲法上の保護義務をドイツ国籍を有する者または国内居住者に限定することを,憲法は定めていない。国外に居住する非ドイツ国籍の人々もまた,ドイツの国家権力との十分な関連性を有する危険から保護されうる。

c) 十分な関連性が存在するかどうかは,個々の事案の事情に即して,全体的かつ価値判断を伴う評価に基づき判断される。全体的な事象の一部であるとしても,単に偶発的に〔ドイツ〕領域と接点を持つにすぎないような領域的関わりでは,国外において基本権にとって重要な保護の必要性を生じさせるには不十分である。むしろ,基本権に拘束されるドイツの公権力との十分な関連性が成立するためには,一定の重要性を有する特別な関与が必要である。

d) さらに,一般的な保護任務が,第三国の行為に関して具体的な域外での保護義務へと発展するためには,生命の保護に資する国際人道法および/または国際人権のルールが体系的に侵害される現実的な危険が存在することが必要である。そのような侵害の発生が単に可能性としてではなく,現実に懸念されるに足る重大な根拠が求められる。

e) 第三国の行為によってこのような危険が存在するかどうかを判断する際には,外交および安全保障政策に関して権限を有するドイツの国家機関の法的見解を,それが合理的なものである限りで,尊重しなければならない。

クリップボード@月報333号

 Mitsuhiro Matsubara, Grundrechtliche Drittwirkung und Daseinsvorsorge, in: M.Borowski/J.-R. Sieckmann(Hrs.), Grundlagen der demokratischen Verfassung Festschrift für Robert Alexy zum 80. Geburtstag, 2025, S. 793.


甲斐素直「ドイツにおける政党助成金について―連邦憲法裁判所判例に見るその展開」(前編)会計検査資料 7 月号(684 号)66 頁


甲斐素直「ドイツにおける政党助成金について―連邦憲法裁判所判例に見るその展開」(後編)10 月号(685 号)78 頁


法学教室 542 号(2025)

・高田篤「憲法の基本原理から見る統治〔第 19 回〕議院内閣制」


法学教室 543 号(2025)

・高田篤「憲法の基本原理から見る統治〔第 20 回〕司法権」


法学セミナー847 号(2025)

・村西良太・伊藤健「FOCUS 憲法Ⅵ[第 4 回]芸術振興助成金の不交付決定と表現の自由をめぐる事例分析──「宮本から君へ」事件」


法律時報 97 巻 12 号(2025)

・松本奈津希「最低生活費非課税の原則をめぐる諸問題」

・篠原永明「同性婚と親子関係法——憲法の観点から」


法律時報 97 巻 13 号(2025)

・江島晶子・山元 一・巻 美矢紀・村西良太・栗島智明「学界回顧 憲法」


自治研究 101 巻 11 号(2025)

・高田倫子「ドイツ憲法判例研究〔293〕二〇二三年連邦選挙法の合憲性」


自治研究 101 巻 12 号(2025)

・山本響子「ドイツ憲法判例研究〔294〕第三国国民に対する所得税法上の児童手当」

2025年10月24日金曜日

第320回研究会

 • 日時:2025年11月1日(土)14時~17時 

• 会場:日本大学法学部本館141講堂(4階) 

• 報告者:神橋一彦(立教大学) 

• 報告判例:2025年1月24日第2法廷決定(Beschluss vom 24. Januar 2025 - 2 BvR 1103/24 -) 

https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2025/01/rk20250124_2bvr110324.html 

• 決定要旨: 

1.欧州における司法共助関係では、「相互信頼」および「相互承認」の原則が基本とされる。このような相互信頼原則の制限は、当該人物の引き渡しがEU基本権憲章第4条の意味における非人道的または屈辱的取扱いに至るおそれがある場合に認められる。 

2.「非人道的または屈辱的取扱いの禁止」は絶対的な性格をもつため、国内裁判所による拘禁条件の審査は、表面的な不備の有無にとどまらず、拘禁の実質的条件全体を総合的に評価して行わなければならない。引き渡しに関する審理を行う裁判所は、当該人物の拘禁条件について必要な補足情報を直ちに要請しなければならない。具体的には、引き渡しを要請した加盟国に対し、どのような環境で収容されるかについての追加資料の提供を求める義務がある。 

3.裁判所は、これらの補足情報を受領して危険が存在しないことを確認するまで、引き渡しの許可決定を保留しなければならない。もし合理的な期間内にその危険を排除できない場合は、引き渡し手続を終了すべきである。 

4.ハンガリーへの刑事訴追目的での引渡し容認決定に対して、ノンバイナリーを自認する人物が提起した憲法異議申立てを認容する。 

クリップボード@月報332号

 憲法ネット 103 編『混迷する憲法政治を超えて』(有信堂、2025)

・石村修「『民意』もしくは『憲法』か」

・上脇博之「『政治とカネ』の重大問題―裏金をなくす改革の必要性」

・根森健「災害と憲法」


松井茂記編著『ジャズをかけて、スターバックスのラテを飲みながら憲法を考える-憲法学からの現代社会への論争提起』(有斐閣、2025)

・棟居快行「憲法二四条は異性婚に限定しているのか?」

・鈴木秀美「裁判のテレビ中継を認めるべきではないか?」

・赤坂正浩「デジタル社会は憲法変遷を引き起こすか?」


公法研究 86 号(2025)

・大西楠テア「人の移動と住民」

・中村安菜、宮内紀子、髙良沙哉、松本奈津希、石塚壮太郎「個別報告報告要旨」

・片桐直人、平地秀哉、三宅雄彦「学界展望 憲法」


2025年10月6日月曜日

第319回研究会

 日時:2025年10月10日(金)18時~20時 

• 会場:大阪公立大学文化交流センター 

〒530-0001 大阪市北区梅田1-2-2-600大阪駅前第2ビル6階 

*JR「大阪駅」や地下鉄御堂筋線「梅田駅」から徒歩10分 

2 年前の10月の研究会と同じ会場で、大阪公立大学梅田サテライトと同じ建物の同じ階です。 

アクセスマップ:https://www.omu.ac.jp/about/campus/umeda/ 

• 報告者:渡辺洋(神戸学院大学) 

• 報告判例:2024年4月9日の第2法廷決定(BVerfGE 169, 67; 2 BvL 2/22 – Politischer Beamte) 

https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2024/04/Ls20240409_2bvl000222.html?nn=68080 

• 決定要旨: 

1. 政治的官吏を随時一時退職へと異動することができる余地は、終身任用原理(基本法 33条 5 項)を破るものとして、憲法上原則として認められるが、狭く限定された例外的な場合になお制限されていなければならない。 

2. 政治的官吏という例外的なカテゴリーの実質的正当性は、政治的官吏が、その任務の性質に応じ特別な方法で国の指導層の政治的信頼を必要とし、政府の基本的な政治的見解や目標と不断に一致した関係になければならないという点に見出される。 

3. ある官職を上述の意味で「政治的」と位置づけることがどのような場合に認められうるかは、諸々の要素にかかっている。それらの要素は、それぞれの個別事例で、トータルな観察枠組において、受任者が政府の政治的目標と持続的に一致していることが効果的な課題処理のために不可欠であるとする手がかりを提供しなければならない。 

4. ノルトライン=ヴェストファーレン州における警察署長の政治的官吏としての位置づけは、終身任用原理に対する介入であり、当該職務の特別な、事柄の性質に即した必要性では正当化されない。同職の任務の領分や同職に与えられた判断の余地、同職の組織上の立場、同職に課された州政府への助言義務の範囲その他諸々の観点は、同職を上述の意味で「政治的」であるとは証明しない。