会場:専修大学法科大学院835教室
報告①(サブ報告) 13:00~14:50
報告者: 古野豊秋(日本比較法研究所嘱託研究所員)
報告判例:2016年10月31日第1法廷第1部会決定[別宅課税事件](1 BvR 871/13, 1 BvR 1833/13
判例要旨(本件の概要):
i. 本件の異議申立人は、自分の事務所としての別宅が、フライジンク市の「別宅税」に関する条例の例外規定に該当するとして、当局の課税処分に対して不服を申し立てたが、当局および専門裁判所ではその主張が認められなかった。
ii. 専門裁判所(バイエルン上級行政裁判所)は、当該例外規定の合憲性を合憲解釈で肯定した。
iii. その合憲解釈では、本宅以外の職業(営業)上の別宅が「別宅税」の例外とされる条件として、その「別宅」が主に利用されていることを新たに追加した。そして本件の「別宅」は、この新たな条件を満たしていないとして、異議申立人の主張を退けたのである。
iv. 憲法裁判所は、そのような解釈に基づく専門裁判所の決定が「合憲解釈」の限界を超えたものとして、異議申立人の基本権を侵害するとした。
v. 憲法裁判所の本件における決定は、専門裁判所による憲法の規定の解釈そのものを問題としたのではなくて、当該条例の解釈の仕方を問題とした。
報告②(メイン報告) 15:00~18:00
報告者:柴田憲司(中央大学)
報告判例:2016年7月27日第1法廷決定(BVerfGE 142, 353)(Beschluss des Ersten Senats vom 27. Juli 2016 -1 BvR 371/11-)
〔最低限度の〕生存を確保する給付の保障(基本法20条1項と結びついた同1条1
項)のための需要を〔立法者が〕探求する際、原則として、扶養請求権の存否に関わ
らず、家族共同体において、互いのために保障し合い「共同の財産で」(“aus
einem Topf”)やりくりすることが合理的に期待されうる者の収入および財産を考慮
に入れることができる。
項)のための需要を〔立法者が〕探求する際、原則として、扶養請求権の存否に関わ
らず、家族共同体において、互いのために保障し合い「共同の財産で」(“aus
einem Topf”)やりくりすることが合理的に期待されうる者の収入および財産を考慮
に入れることができる。