●日時:2019年6月1日(土)14時~17時
●会場:慶應義塾大学三田キャンパス西校舎(1階)516番教室
地図:https://www.keio.ac.jp/ja/maps/mita.html(こちらの地図の⑤番の建物です)
*6月の月例会は、科研費による研究会との共催とします。
●報告者:柴田尭史(徳島大学)
●報告判例:2016年10月13日の第2法廷決定(BVerfGE 143, 101)
●決定要旨:
1.調査委員会法18条3項は、調査委員会のあらゆる少数派に機関訴訟手続における申立権を認めているわけではない。むしろ、申立権者は、基本法44条1項1文の意味におけるドイツ連邦議会の具体的、あるいは潜在的な設置少数派によって支えられる委員会少数派だけである。
2.議会調査委員会の取調べ権は、法律で規律されている範囲であっても、憲法に根拠がなければならない限界に服する (BVerfGE 124, 78 [118]参照)。このことに応じて、国際法上の義務は、議会の取調べ権の直接の制約を根拠づけることはできない。なぜなら、これらの義務それじたいは、憲法の地位を有していないからである。
3.NSAのセレクター・リスト文書を求める権利は、調査委員会の取調べ権から原則として生じるが、専門協力者の任命とその鑑定意見によって行使されない。
4.調査委員会の取調べ権は、作用に適し、機関に適合する課題の遂行という連邦政府の利益と対立する。この課題には、有効な国家と憲法の保護を担保している情報機関の協働も含まれる。
5.本件では、連邦政府の機密保持の利益が、議会の情報〔獲得〕の利益を優越する。というのは、取調べ決議によって含まれたNSAのセレクター・リストは、国際法上の取極めに基づいて、連邦政府の処分権能に服さず、これらのリストを同意なく引き渡すことはドイツの情報機関の機能・協働能力を相当侵害する、という連邦政府の評価は、後付けでき、連邦政府は、調査委員会と調整の上で、〔リストの〕提示要求を他の手続によって考慮した。