日時: 2019年9月7日(土)14時~17時
会場: 日本大学法学部5号館4階 542講堂 *建物が通常と異なりますのでご注意ください(※9/4追記:会場が変更されました)
報告者: 土屋武(新潟大学)
決定要旨:
1.基本法9条1項は、結社の創設と存続を保護する。多元的ではあるが防衛的な立憲国家的民主主義であることの表現として、基本法9条2項は結社の自由に制限を設けている。
2.結社の自由への介入はすべて、比例原則に拘束される。基本法9条2項の禁止要件が確認された場合、結社は禁止されなければならない。しかし基本法9条2項で挙げられた法益を同程度実効的に保護する手段が利用可能な場合には、より緩やかな手段である当該措置が行われる。
3.基本法9条2項の禁止権限は限定的に解釈されなければならない。
a. ある団体が基本法9条2項前段の禁止要件を満たすのは、当該団体が構成員または第三者による可罰的行為を助成しまたはこれと同視することが認められることによって、団体の認識することができる目的または団体の活動が、本質的に、構成員または第三者による犯罪行為の挙行を喚起しまたは強化し、可能にしまたは容易にすることにある場合である。
b. ある団体が基本法9条2項中段の禁止要件を満たすのは、当該団体それ自体が外部に向けて憲法の基本的な諸原則に対し闘争的・攻撃態度をとることによって、憲法秩序に反対する場合である。
c. ある団体が基本法9条2項後段の禁止要件を満たすのは、当該団体がテロリズムのような暴力またはそれに比肩する重大な国際法違反の行為を国際関係においてまたは住民の一部の間で積極的に宣伝し、助成した場合である。これは第三者を援助することによっても行われうるが、それは、第三者への助成が客観的に見て諸国民協調の思想を重大、深刻かつ持続的に毀損するのにかなったものであり、かつ結社がこれを知りかつ少なくとも是認していた場合に認められる。その際、間接的にテロリズムを助成する効果を持つために、結社禁止によって、危機的地域における一切の形態の人道的援助が中止されてはならない。
4.基本法9条2項に基づく結社禁止が基本権によって保護された行為に依拠する、あるいはその他の基本権を制約する限り、これらの基本権は基本法9条1項への介入の正当化の枠内で顧慮されなければならない。結社禁止は、通常は自由権が許容し、そして一方的に一定の政治的見解に反対するものではない結社を禁止することはできない。