● 日時: 2020年5月9日(土)14時~17時
● 会場: Web会議システム「Zoom」を使用して開催します
● 報告者: 菅沼博子(名古屋商科大学)
● 報告判例: 2017年7月11日の第1法廷判決(BVerfGE 146, 71、Tarifeinheitsgesetz)
➣ 決定要旨:
1.
基本法9条3項の自由権は、団結体固有のあらゆる活動を保障する。とりわけ、労働協約の締結、締結された労働協約の存続と適用、さらに争議行為を保障する。しかし、この基本権は、自己の利益のために、労働協約の交渉において重要な社会的地位や排除効を無制約に利用する権利を与えるものではない。
2.
基本法9条3項は、団結体の存続を保障するが、個々の団結体の存続を保障するものではない。ただし、特定の労働組合を協約締結から排除し、特定の種類の労働組合の存立の基盤を奪うことを目標とした国家の措置は、特定の性質の基準と同様に基本法9条3項に違反する。
3.
基本法9条3項の保護領域に含まれ、協約の自律性のシステムを作り出し、保障しようとする当該規制(労働協約法4a条)は、正当な目的を追求している。この目的を達成するために、立法者は、対立する協約当事者の間の対等性を生み出すことができる。それだけでなく、労働協約の交渉は、公正な調整を可能にするかぎりで、労働協約に内在する適正さの推定(Richtigkeitsvermutung)によって相応しい経済条件および労働条件をもたらす構造的な前提条件を作り出すために、労働協約の当事者間の関係を規律することもできる。
4.
労働協約の自律性の構造的な前提条件を規律する場合、立法者は評価特権と広範な行為の余地を有している。多数派協約の当事者を一方の側とすることのみから生じる問題は、原則的に、団結の自由の制約を正当化するものではない。