連絡事項

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2022年10月31日月曜日

第292回研究会

 *新型コロナウイルス感染症への対応について新型コロナウイルスの感染状況に落ち着きがみられるため、11月の292回研究会も対面+Web会議システムZoomも使用した「ハイブリッド形式」で開催します。


日時:2022年11月5日(土)13時~18時 *2名の報告があります。開始・終了時間にご注意下さい。
会場:日本大学法学部(神田三崎町キャンパス)10号館1041講堂

*対面参加のための事前申込み等は不要です。会場にそのままお越しください。

*キャンパスマップはこちら:https://www.law.nihon-u.ac.jp/campusmap.html

*会場ではレジュメのみを配布しますので、判決文の全訳については、各自、下記アドレスよりダウンロード・印刷をしていただくようお願いいたします。

  • Web参加:Web会議システム「Zoom」を併用して開催します:アクセス先等は月報参照

*報告に使用する資料は、報告の前日18時までに月報記載のアドレスにアップロードします:

*今回、研究会終了後のリモート懇親会は開催しません。

 

*月例会を、科研費(基盤B)「憲法秩序の領域分化をめぐる法的論証作法の日独比較」(研究代表:鈴木秀美)による研究会との共催とします。13時~15時30分(予定)


【報告①】13:00-15:30(予定)

報告者:倉田原志(立命館大学)
報告判例:2020年7月9日の第1法廷第3部会決定(1BvR719/19,1BvR720/19–StreikaufBetriebsgeländevonAmazon)

https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2020/07/rk20200709_1bvr071919.html

判決要旨(juris掲載のもの):

  • 1.スタジアムへの入場禁止措置(Stadionverbote)についての連邦憲法裁判所の決定(11.04.2018,1BvR3080/09,BVerfGE148,267)は、使用者が、基本権の間接的第三者効力にもとづいて、基本権として保護された自由への労働争議措置に結びついた介入を甘受することを義務づけられうるという推定を妨げるものではない。というのは、労働法上、少なくとも、使用者は労働協約締結能力のある労働組合に対して、上述の連邦憲法裁判所の決定が前提しているように、構造的に優越な地位にあることから出発することができるからである。
  • 2a.基本法9条3項の団結の自由は、少なくとも必要であるかぎりであるが、協約自治が機能することを確保するために、ストライキを含む労働争議措置も保護する(参照、BVerfGE146,71<115Rn.131>)。
  • 2b.場所的な条件が、就労希望者を労働争議の隊列に到達させる現実的な可能性を開かないのであれば、つまり、基本法9条3項にもとづく労働組合の活動権を行使するために公の土地が使えないのであれば、この権利は、まったく後退しなければならないというわけではない。実践的調和(praktischeKonkordanz)という基準は、まさに、ある権利が、他の権利を完全に排除してはならないことを要求する。逆に、労働争議措置にかかわる事業所の駐車場を利用する可能性から、家宅不可侵権(Hausrecht)が、労働争議措置を拒否する手段としてもはや使えないであろうということも生じない(詳細については、フラッシュモブ事件についてのBAG,20.09.2009,1AZR972/08,BAGE132,140;それについてのBVerfG,26.03.2014,1BvR3185/09参照)。


【報告②】15時30分~18時(予定)

報告者:村山美樹(青森中央学院大学)
報告判例:2019年3月26日の第1法廷決定(BVerfGE151,101)


判決要旨:

  • 1.非婚の家族にのみ、連れ子養子縁組を除外することは、一般的な平等取扱いの要請に反する。
  • 2.連れ子養子縁組に抱かれる一般的な疑念は、非婚家族にのみ連れ子養子縁組を除外することを正当化しない。
  • 3.実親と継親との関係が、長く存続することが約束されている場合にのみ、連れ子養子縁組が許されることは、正当な法律上の目的である(以下も参照せよ。子の養子縁組についての2008年11月27日のEU条約(改正)7条2項2文,ドイツ連邦官報第2部2015S.2[6])。
  • 4.養子法において、親の関係が婚姻締結状態にあることを肯定的な安定の指標として用いることを立法者は許されている。これに対して、非婚の家族にのみ連れ子養子縁組を除外することは、正当化され得ない。不都合な養子縁組からの連れ子の保護は、他の方法によって十分に有効に確保され得る。
  • 5.例えば、個別事案の詳細な考察によってさえも、確実性をもって規定され得ないような不確実な事情または不確実な出来事についての規律が関係する場合には、大規模な件数からなる行政上の諸事項を規律すること以外でも、立法上の類型化が考慮される。しかし、この類型化に結び付けられる不平等取扱いは、一定の条件のもとにある場合にのみ、憲法上正当化され得る。