日時:2024年3月2日(土)13時~18時 *2つ報告があります。開始・終了時間にご注意ください。
会場:慶應義塾大学三田キャンパス南館(地下2階)2B15教室
キャンパスマップはこちら:https://www.keio.ac.jp/ja/maps/mita.html
*南館はキャンパスマップ2番の建物です。正門正面の南校舎ではありませんのでご注意ください。
報告者①:土屋武(中央大学) 13時~15時20分(予定)
報告判例①:2022年6月15日の第2法廷判決(BVerfGE 162, 207; 2 BvE 4/20, 2 BvE 5/20 - Äußerung der Bundeskanzlerin zur Ministerpräsidentenwahl in Thüringen
https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2022/06/es20220615_2bve000420.html
判決要旨:
- 連邦首相について、職務上の行為と職務に関わらない政治競争への関与を区別する基準は、その他の内閣構成員と同一である。
- 連邦政府内の権限秩序から、たしかに――その他の内閣構成員と比較して――連邦首相の発言権の対象はより広いが、そこから中立性および客観性の要請に関して別の要求が生じるものではない。
- 不平等取扱いを正当化し、連邦政府に政党の機会均等への介入権限を与える根拠は、憲法によって正当化され、政党の機会均等原則と釣り合いをとることのできる重要性を持つものでなければならない。
- 政党の機会均等と等価な憲法上の法益として、連邦政府の安定性および行為能力の保護ならびに国際コミュニティにおけるドイツ連邦共和国の信用性に対する信頼が考慮される。
- 連邦首相には、連邦政府の安定性と活動能力の維持のためにどのような措置が必要かという問題につき、外交領域の場合と同じく広い評価余地が認められる。政党の機会均等の原則に介入する場合、そのような介入を正当化する憲法上の法益が事実として不利益的影響を受け、基本法21条1項1文の政党の機会均等の権利への介入を必要としたことが説得的に説明されるか、その他のかたちで明らかにされなければならない。
報告者②:辛嶋了憲(広島大学) 15時30分~18時(予定)
報告判例②:2022年7月21日の第1法廷決定(BVerfGE 162, 378-454, BVerfG, Beschluss des Ersten Senats vom 21. Juli 2022 - 1 BvR 469/20)
https://www.bverfg.de/e/rs20220721_1bvr046920.html
決定要旨:
- 親の権利(基本法6条2項第1文)は、国家との関係における自由権である。国家は親の養育の権利(Erziehungsrecht)を正当化の根拠なく介入してはならない。他方、子との関係においては、子の福祉が親の養育(Pflege und Erziehung)の重要な基準を形成する。
- 成長段階故に未だ自己決定できない子どもの場合の予防接種実施に関する判断は、親の健康監護(Gesundheitssorge)の重要な要素の一つであり、基本法6条2項第1文の保護領域に含まれる。しかし、子の福祉に向けなければならない子への健康監護の実行の場合には、以下の場合――すなわち、親が自らの身体的不可侵性(Integrität)に関する自己決定権に基づき医学上合理性のある水準に反する場合――と比べると、医学水準に反する親の自由の程度は低い。
- 基本法6条2項第1文は基本法19条1項第2文の挙示義務(Zitergebot)に含まれない。