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2015年1月12日月曜日

イェシュテット教授講演会のご案内

この度、フライブルク大学のマティアス・イェシュテット教授が 来日され、3月4日午後3時から、慶應義塾大学でドイツ憲法判例研究会のために講演して下さることになりました。イェシュテット教授は、ドイツ憲法判例研究会が計画している日独学術交流のドイツ
側責任者のお1人です。

詳細は以下の通りです。ふるってご参加くださいますようお願い申し上げます。

日時:
2015年3月4日(水) 午後3時から午後6時

会場:
慶應義塾大学(三田キャンパス)
南館地下4階(法科大学院の建物)ディスタンス・ラーニング室


講演テーマ:
"Selbstand der Verfassung gegenueber nationalem, Inter- und supranationalem Recht" (通訳付き)
*講演会終了後、懇親会を開催する予定です。懇親会にもどうぞご参加ください。詳細が決まりましたらあらためてお知らせいたします。

*3月4日の昼食の時間に、9月に予定されている日独共同セミナーの打ち合わせを行う予定です。日本側コアメンバーの会員の皆様は、どうごご参加ください。
 詳細が決まりましたらあらためてお知らせいたします。


問合せ先:鈴木秀美

2015年1月6日火曜日

ヴァルトホフ教授セミナーのご案内

国立国会図書館 調査及び立法考査局専門調査員・棟居快行先生からのセミナーのご案内です。

講演者:ベルリンフンボルト大学クリスチャン・ヴァルトホフ教授(憲法、租税法)
テーマ:「議会による行政統制ードイツの『議会留保』をめぐる憲法理論と実務」(同時通訳付)
日 時:2月19日(木) 14時~17時
場 所:国立国会図書館新館講堂

※このセミナーには、高田篤教授・原田大樹教授によるコメントも予定されています。詳細は、下記に掲載されております。
チラシ:http://www.ndl.go.jp/jp/event/events/leaflet150219.pdf
ページ:http://www.ndl.go.jp/jp/event/events/ipsbunken2014.html

2014年12月22日月曜日

1月10日(土):第214回研究会

日時:2015年1月10日(土) 13時
 
報告者1:土屋武(新潟大学)
報告判例:2014年2月26日の第2法廷判決(2 BvR 2/13ほか)
ヨーロッパ議会選挙3パーセント条項違憲判決

  1. 欧州選挙法における3%阻止条項と結びついた、平等選挙原則および政党の機会均等原則への深刻な介入は、所与の法的および事実的な状況の下では正当化されえない(BVerfGE 129, 300に依拠)。
  2. 状況が本質的に変化した場合には、異なる憲法的判断がなされうる。立法者は、具体的に予測可能な将来の発展を、自らに課された現在の状況の観察と評価の枠内においてすでに考慮することも、妨げられない。しかし、それに基準となるような重要性が認められるのは、さらなる発展が、十分に証明可能な事実的な手掛かりに基づいて、すでに現在において信頼できる形で予測されうる場合に限られる。


報告者2:鈴木秀美(大阪大学)
報告判例:2014年3月25日の第1法廷判決(1BvR 1/11, 1 BvF 4/11)
ZDF州際協定(内部監督機関の委員構成)違憲判決
 
  1. 1.  公共放送協会の監督機関の委員構成は、基本法5条1項2文の多様性確保の要請に従わなければならない。(監督機関には)社会共同体のあらゆる領域から、可能な限り様々な視点、経験の範囲をもった人物が含まれなければならない。
    a) 立法者は、この機関の構成員を任命する際、可能な限り様々なグループおよび規模の大きな、公共的な生活を規定する団体と並んで、交互に小規模の集団も考慮し、関連性なく組織された観点が表出されるよう配慮しなければならない。
    b) 多様性維持のために、立法者は、社会的集団から派遣される委員と並んで、様々な国家のレベルに属する者を委員に含むことができる。
  2. 公共放送の組織は、多様性の要請の表出として、国家から(放送を)遠ざけるという要請を満たさなければならない。それによれば、監督機関の国家的委員および国家に近い委員の影響は、徹底的に制限されなければならない。
    a) 国家の委員および国家に近い委員の割合は、全体として、それぞれの委員会の法律上の委員の3分の1を超えてはならない。
    b) それ以外の委員については、公共放送の監督機関の委員構成が、徹底的に国家を遠ざけるように形成されなければならない。行政の代表は、国家から遠い委員の選考に特定の影響力をもってはならない。立法者は、国家から遠い委員のために、個人的観点から当該委員を国家から遠ざけることを保障する、兼職禁止についての規律を設けなければならない。
 

クリップボード@月報第224号

石村修「外交権の立憲主義統制」専修ロージャーナル10号(2014)

中西優美子「EU環境法判例(3) EU排出枠取引制度指令の実施における欧州委員会と構成国の権限配分 Case C-504/04 P Commission v. Poland」一橋法学13巻3号(2014)1217-1230頁

松原有里
【ドイツ憲法判例研究164】「租税法規の訴求効と信頼保護原則」自治研究第90巻12号(2014)153頁

山本悦夫「違憲判決の効力―遡及効を中心に」名古屋学院大学法学部開設記念論文集(2014.9)

鈴木代表短期在外研究報告

 2014年10月31日から約1ヶ月、大阪大学法学部50周年基金の研究助成により、鈴木代表がフライブルク大学にて短期在外研究を行いました。滞在中、イェシュテット教授、ポッシャー教授との間で、2015年に開催予定の日独共同セミナーについての打ち合わせを行いました。
 フライブルク大学スタッフとの交流としては、マージング教授が定期的に公法講座のMitarbeiterと行っている勉強会に参加させていただきました。この勉強会は、公法講座のクローズドな会合で、マージング教授の前任者のヴァール教授、その前任者のベッケンフェルデ教授も参加されました。また、ポッシャー教授が国家学・法哲学講座のMitarbeiterと行っている勉強会にも参加させていただきました。ポッシャー教授は、現在、KORSE (Kompetenznetzwerk für das Recht der zivilen Sicherheit in Europa)というプロジェクト(https://www.korse.uni-freiburg.de/projekt)を進めています。これは、連邦教育研究省の支援によるもので、市民社会における安全確保のための新しい技術開発について、その実用可能性を高めるために、開発の段階から、倫理的・法的な観点からその有用性や許容性も検討することを課題としているそうです。勉強会は、プロジェクトの打ち合わせの後に行われ、報告者が上記課題に関連する最近の論文を選んでその内容を紹介し、それについて参加者が討論するというかたちで行われています。
 この他、ヴァール教授がフォスクーレ教授と行っている読書会(Literaturkolloquium)にも参加しました。この読書会は希望者はだれでも参加できるオープンな会合です。11月27日の読書会では、Jürgen Habermas, Zur Prinzipienkonkurrenz von Bürgergleichheit und Staatengleichheit im supranationalen Gemeinwesen, in: Der Staat 53 (2014), S. 167–192が取り上げられ、ヴィッシュメイヤー博士(Dr. Thomas Wischmeyer)が概要を報告、その後、ヴァール教授の司会の下、前記文献を手がかりとして討論が行われました。討論の中では、連邦憲法裁判所長官フォスクーレ教授がヨーロッパ議会3パーセント条項違憲判決についてコメントされたほか、参加者の間で欧州連合が超国家機関にとどまるべきか、連邦を目指すべきかをめぐって活発な意見交換が行われました。この読書会は、次回、2015年2月5日(木)20時から開催される予定です。取り上げられる文献は、Martha Nussbaum, Die neue religiöse Intoleranz: Ein Ausweg aus der Politik der Angst, 2014 です。詳細は、https://www.jura.uni-freiburg.de/institute/rphil/stawi/de/aktuellesをご参照ください。
 フライブルク大学法学部では、このように、正規の講義やゼミナール以外にも勉強会、読書会、講演会等が活発に行われています。

2014年11月23日日曜日

12月6日(土):第213回研究会

日時:2014年12月6日(土)13時
 
会場:専修大学法科大学院(8号館)845教室(満席の場合は842教室に変更)
*12月は、当初の予定を変更し、土曜のみ研究会を開催することになりました。
 
報告者①:中西優美子(一橋大学)
 
報告判例:2014年1月14日の第2法廷決定(2 BvR 2728/13ほか)
ESM/EZB事件
決定要旨
  1. 2011年11月ECB総裁にドラギが就任した。その後、2012年9月6日、欧州中央銀行(ECB)は、流通市場(secondary markets for sovereign bonds)におけるユーロ圏の国債を購入するプログラム(Outright Monetary Transactions、以下OMT)の導入を決定したことを公表した。
  2. OMT決定がEU法に違反しないか否か、具体的には、EU運営条約119条、127条1項及び2項並びにESCB及びECBの規則に関する議定書17条~24条と両立するか否かについて、また、ECBに付与された権限を超え、構成国の権限に介入していないか否か、EU運営条約119条及び127条の解釈、さらに、救済禁止条項を定めるEU運営条約123条が国債購入を許容していると解釈されるかなどについて先決裁定を求めることを決定した。EU運営条約119条は、EUの経済及び金融政策分野の活動を、EU運営条約127条1項及び2項は、ESCBの目的と任務を規定している。先決裁定手続とは、構成国の裁判所がEU条約及びEU運営条約の解釈並びにEU法行為の解釈及び有効性についてEU司法裁判所に付託しその判断を求める制度であるが、今回ドイツ連邦憲法裁判所がこの先決裁定制度を初めて利用することを決定した。
 
報告者②:カール・フリードリッヒ・レンツ(青山学院大学)
 
報告判例:2014年3月18日の連邦憲法裁判所第2法廷判決(BVerfG, 2 BvR 1390/12ほか)
 
分量が多い関係で、当日は、翻訳の印刷版を用意しない予定です。翻訳が必要な会員には、お手数ですが、次のページで予めダウンロードしてください。
 
判決要旨
  1. 欧州安定制度条約第8条5項および条約第2付属書の責任限定および2012年9月27日の欧州安定制度条約当事者の共通解釈宣言(BGBl II S. 1086)およびドイツ連邦共和国による一方的な宣言(BGBl II S. 1087)により、欧州安定制度条約から無制限な支払義務が成立しないことが、充分に保障されている。
  2. 立法者は欧州安定制度条約4条8項に同意したことを配慮して、ドイツ連邦共和国が欧州安定制度条約に基づく資金支払請求を期限内に完全に履行できることを、財政法上に完全に保障しなければならない。
  3. 欧州安定制度条約32条5項、34条および35条1項は、2012年9月27日の解釈宣言を前提して、ドイツ連邦議会による充分な議会監督および情報入手を妨げるものではない。
  4. ドイツ連邦議会の予算に関する総括責任は、欧州安定制度と議会の間の妥当性関連が絶対に破られないことを前提とする。欧州安定制度に新規加盟の場合、欧州安定制度条約44条・5条6項k)により、理事会の全員一致決定を必要とするから、ドイツ連邦共和国が現在に所持している拒否権が、事情が変わっても維持されることを保障できる。当該拒否権は、憲法上に必要である。

クリップボード@月報第223号

憲法理論研究会叢書22『憲法と時代』(2014年)所収
  • 西原博史「人権理論における科学的方法と本質主義の縛り」
  • 芹沢斉「企業の社会的責任と人権尊重」

クリストフ・メラース/赤坂幸一
「議会統制の二つの概念」法政研究81巻1・2号(2014年10月)1-16頁

小山剛
「ロー・クラス『憲法上の権利』各論11 集会・結社の自由(2)」法学セミナー717号(2014)66-75頁
「ロー・クラス『憲法上の権利』各論12 集会・結社の自由(3・完)、職業の自由・移動の自由(1)」法学セミナー719号(2014年)65-72頁

鈴木秀美
「番組編集準則の現代的意味」月刊民放44巻11号(2014年)13-17頁

中西優美子
「先決裁定手続制度におけるEU司法裁判所と国内裁判所との関係」【EU法における先決裁定手続に関する研究(8)】自治研究90巻11号(2014年)98-107頁

宮地基
【ドイツ憲法判例研究163】「プロバイダのメールサーバ上にある電子メールの差押えと通信の秘密」 自治研究第90巻11号(2014年)154-161頁