日時:2018年7月7日(土) 14時~17時
会場:日本大学法学部・水道橋キャンパス2号館4階 241講堂(下記の地図参照)
報告者:玉蟲 由樹(日本大学)
報告判例:2018年4月11日第一法廷決定 (1
BvR 3080/09)[一般平等原則の私法への照射効]
決定要旨:
1. 基本法3条1項からは,間接的第三者効力の諸原則にもとづいたとしても,私人間での法律関係が同条により原理的に平等に即して形成されるべきとの客観的な憲法原理は引き出されない。誰と,いかなる条件の下で契約を締結しようとするかを自己の選好にもとづいて決定することは,原則として個々人の自由である。法律上の静穏の保護とは相いれない行事が、他方で信仰および世界観の自由(基本法4条1項および2項)ないしは集会の自由(基本法8条1項)の保護範囲に含まれる諸事例に関しては、しかし、立法者は静穏を保護する不作為義務の例外の可能性を定めなければならない。
2. しかし,特別な状況では私人間関係にとっての平等権からの要請が基本法3条1項を根拠に生じうる。たとえば,個々人が私人が自己の判断から個人の人柄などをとくに問題としないで大衆に開放しているイベントから私法上の管理権(Hausrecht)によって排除される場合や,この排除が当該個人にとってかなりの範囲で社会生活への参加を左右するような場合には,基本法3条1項は間接的第三者効力を展開する。主催者はこの場合,その決定権限を特定の個人を事実に即した理由もなしにこうしたイベントから排除するために行使してはならない。
3. スタジアムへの入場禁止措置(Stadionverbot)は,犯罪の証明がなくとも,当該個人が将来的に騒乱を引き起こすという事実に裏打ちされた憂慮によって支持されることがある。当該個人は原則としてあらかじめ聴聞を受け,要求に応じて事前に理由を示される必要がある。