連絡事項

月報クリップボードに掲載すべき情報をご存じの方は、運営委員・月報担当までご連絡ください。

所属先の変更等で、メールアドレスに変更がある場合には、速やかに運営委員・月報担当までご連絡下さい。

月報メールが戻ってくるアドレスがいくつかあります。研究会前にもかかわらず月報が届かないという方は急ぎご連絡ください。



2019年10月23日水曜日

第261回研究会

日時: 10月11日(金)18時~20時 *公法学会前日の開催
会場: 大阪大学 待兼山会館会議室 *会場が通常と異なりますのでご注意ください
報告者: 宮村教平(佛教大学)
報告判例: 2017年12月17日の第1法廷判決(BVerfGE 147, 253)
https://www.bundesverfassungsgericht.de/e/ls20171219_1bvl000314.html
判決要旨:
1. 基本法3条1項と結びついた同12条1項1文に照らして、学籍志願者は何人も、国家による学籍の供給に等しく配分参加する権利を有し、それゆえに自己の選択した専攻課程に等しく入学する権利を有する。
2. 僅少な学籍を配分するための規律は、原則として、適性を規準とし、それに定位しなければならない。これに加えて、立法者は公益たる利益を考慮し、社会国家原則を顧慮する。僅少な学籍を配分するために援用される規準は、適性を把握するためにありうる接点の多様性を写し取るものでなければならない。
3. 立法者は医学部における僅少な学籍を配分するにあたり本質的な問題を自ら規律しなければならない。とりわけ立法者は選抜規準を態様に応じて自ら定めなければならない。ただし、立法者は、それらの選抜規準を具体化する余地を諸大学に認めてもよい。
4. アビトゥア合格者クォータには、憲法上の疑義は存在しない。ただし、希望する場所の申出が配分決定を決定的に主導し、志願が六箇所の大学所在地に制限されることがアビトゥア合格者クォータの枠内でおこなわれるとき、それは、憲法上正当化されえない。
5. 大学による選抜手続に関する法律上の諸規定は、以下の点で憲法違反である。
- 立法者が諸大学に独自の規準策定権限を委ねていること
- 大学独自の適性審査の規格化および構造化が保障されていないこと
- 適性に関する法律上の規準に並んで、諸大学が場所の選好の順位を自由に定め、それを規準として援用してもよいこと
- アビトゥア評点を限定的にのみ州横断的に比較可能とするために調整する機構が予定されていないにもかかわらず、諸大学による選抜手続においてアビトゥア評点を考慮できること
- 学籍のなかでも十分な割当て分について、アビトゥア平均点以外にそれとは異なる別の選抜規準が相当な重要性をもって考慮されていないこと
6. 待機期間クォータの設置は憲法上許容されるが、憲法上の要請ではない。これは、現行の20%の割当て分を超えてはならない。待機の期間は限定されねばならない。
7. 諸州が基本法125b条1項第3文の枠内で連邦法とは異なる規律を実施しようとするときは、既存の現行法と直接に関連する内容についての規律、または新たな規律をおこなわなければならない。単に体裁を整えただけの適合では不十分である。連邦法と異なる規律をおこなう旨の明示的な意思表示は不要である。