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2020年7月3日金曜日

第269回研究会


● 日時:202074日(土)14時~17
● 会場:Web会議システム「Zoom」を使用して開催します(詳細は月報をご覧ください)
● 報告者: 石塚壮太郎(北九州市立大学)
● 報告判例: 2019115日の第1法廷決定(1 BvL 7/16、ハルツⅣに関する決定)

➣ 決定要旨
1. 国家による基礎保障給付の内容形成に対する憲法上の中心的な諸要請は、人間に値する生存最低限の基本権による保障(基本法201項と結びついた11項)から生じる。身体的および社会文化的な生存が、一体的に確保されなければならない。請求を基礎づける人間の尊厳はすべての者に当然に与えられ、「尊厳に値しない」と思われる行為によってすら失われることはない。しかし基本法は、生存保障給付の利用を後置原則(Nachranggrundsatz)と結びつけること、すなわち、人が自らの生存をあらかじめ自ら確保することができず、現実の困窮が存在する場合にのみ給付を受けることができるということを、立法者に禁じていない。
2. 立法者は、稼得可能ではあるが、自らの生存を確保することができず、したがって国家給付を求める人に対して、自らの困窮を回避するかまたは克服するのに、受入可能な形で(zumutbar)積極的に協力するよう求めることができる。立法者は、その点で、比例的な義務を比例的な制裁によって貫徹するように決めることもできる。
3. 自らの困窮の克服のための協力義務が重要な理由なしに満たされず、立法者が生存保障給付の一時的な剥奪(Entzug)によりそれを制裁する場合には、立法者は並外れた(außerordentlich)負担を課すことになる。これは厳格な比例性要請に服する。社会国家の内容形成に関する規律の適合性、必要性および相当性(Zumutbarkeit)について通常は広い評価余地は、ここでは制限されている。そのような規律の効果についての予測は、十分に信頼できるものでなければならない。その規律が有効である期間が長ければ長いほど、それにより立法者が確かな評価を手に入れられていればそれだけ、説得的想定に基づいているとは言えなくなる。さらに該当者には、生存保障給付の減額を自らの行動によって防ぐことが実際上可能でなければならない。つまり、減額後にも給付を再び得るための諸要件を受入可能な方法で(in zumutbarer Weise)満たすことが、自己の固有の責任に委ねられなければならない。