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2014年12月22日月曜日

1月10日(土):第214回研究会

日時:2015年1月10日(土) 13時
 
報告者1:土屋武(新潟大学)
報告判例:2014年2月26日の第2法廷判決(2 BvR 2/13ほか)
ヨーロッパ議会選挙3パーセント条項違憲判決

  1. 欧州選挙法における3%阻止条項と結びついた、平等選挙原則および政党の機会均等原則への深刻な介入は、所与の法的および事実的な状況の下では正当化されえない(BVerfGE 129, 300に依拠)。
  2. 状況が本質的に変化した場合には、異なる憲法的判断がなされうる。立法者は、具体的に予測可能な将来の発展を、自らに課された現在の状況の観察と評価の枠内においてすでに考慮することも、妨げられない。しかし、それに基準となるような重要性が認められるのは、さらなる発展が、十分に証明可能な事実的な手掛かりに基づいて、すでに現在において信頼できる形で予測されうる場合に限られる。


報告者2:鈴木秀美(大阪大学)
報告判例:2014年3月25日の第1法廷判決(1BvR 1/11, 1 BvF 4/11)
ZDF州際協定(内部監督機関の委員構成)違憲判決
 
  1. 1.  公共放送協会の監督機関の委員構成は、基本法5条1項2文の多様性確保の要請に従わなければならない。(監督機関には)社会共同体のあらゆる領域から、可能な限り様々な視点、経験の範囲をもった人物が含まれなければならない。
    a) 立法者は、この機関の構成員を任命する際、可能な限り様々なグループおよび規模の大きな、公共的な生活を規定する団体と並んで、交互に小規模の集団も考慮し、関連性なく組織された観点が表出されるよう配慮しなければならない。
    b) 多様性維持のために、立法者は、社会的集団から派遣される委員と並んで、様々な国家のレベルに属する者を委員に含むことができる。
  2. 公共放送の組織は、多様性の要請の表出として、国家から(放送を)遠ざけるという要請を満たさなければならない。それによれば、監督機関の国家的委員および国家に近い委員の影響は、徹底的に制限されなければならない。
    a) 国家の委員および国家に近い委員の割合は、全体として、それぞれの委員会の法律上の委員の3分の1を超えてはならない。
    b) それ以外の委員については、公共放送の監督機関の委員構成が、徹底的に国家を遠ざけるように形成されなければならない。行政の代表は、国家から遠い委員の選考に特定の影響力をもってはならない。立法者は、国家から遠い委員のために、個人的観点から当該委員を国家から遠ざけることを保障する、兼職禁止についての規律を設けなければならない。
 

クリップボード@月報第224号

石村修「外交権の立憲主義統制」専修ロージャーナル10号(2014)

中西優美子「EU環境法判例(3) EU排出枠取引制度指令の実施における欧州委員会と構成国の権限配分 Case C-504/04 P Commission v. Poland」一橋法学13巻3号(2014)1217-1230頁

松原有里
【ドイツ憲法判例研究164】「租税法規の訴求効と信頼保護原則」自治研究第90巻12号(2014)153頁

山本悦夫「違憲判決の効力―遡及効を中心に」名古屋学院大学法学部開設記念論文集(2014.9)

鈴木代表短期在外研究報告

 2014年10月31日から約1ヶ月、大阪大学法学部50周年基金の研究助成により、鈴木代表がフライブルク大学にて短期在外研究を行いました。滞在中、イェシュテット教授、ポッシャー教授との間で、2015年に開催予定の日独共同セミナーについての打ち合わせを行いました。
 フライブルク大学スタッフとの交流としては、マージング教授が定期的に公法講座のMitarbeiterと行っている勉強会に参加させていただきました。この勉強会は、公法講座のクローズドな会合で、マージング教授の前任者のヴァール教授、その前任者のベッケンフェルデ教授も参加されました。また、ポッシャー教授が国家学・法哲学講座のMitarbeiterと行っている勉強会にも参加させていただきました。ポッシャー教授は、現在、KORSE (Kompetenznetzwerk für das Recht der zivilen Sicherheit in Europa)というプロジェクト(https://www.korse.uni-freiburg.de/projekt)を進めています。これは、連邦教育研究省の支援によるもので、市民社会における安全確保のための新しい技術開発について、その実用可能性を高めるために、開発の段階から、倫理的・法的な観点からその有用性や許容性も検討することを課題としているそうです。勉強会は、プロジェクトの打ち合わせの後に行われ、報告者が上記課題に関連する最近の論文を選んでその内容を紹介し、それについて参加者が討論するというかたちで行われています。
 この他、ヴァール教授がフォスクーレ教授と行っている読書会(Literaturkolloquium)にも参加しました。この読書会は希望者はだれでも参加できるオープンな会合です。11月27日の読書会では、Jürgen Habermas, Zur Prinzipienkonkurrenz von Bürgergleichheit und Staatengleichheit im supranationalen Gemeinwesen, in: Der Staat 53 (2014), S. 167–192が取り上げられ、ヴィッシュメイヤー博士(Dr. Thomas Wischmeyer)が概要を報告、その後、ヴァール教授の司会の下、前記文献を手がかりとして討論が行われました。討論の中では、連邦憲法裁判所長官フォスクーレ教授がヨーロッパ議会3パーセント条項違憲判決についてコメントされたほか、参加者の間で欧州連合が超国家機関にとどまるべきか、連邦を目指すべきかをめぐって活発な意見交換が行われました。この読書会は、次回、2015年2月5日(木)20時から開催される予定です。取り上げられる文献は、Martha Nussbaum, Die neue religiöse Intoleranz: Ein Ausweg aus der Politik der Angst, 2014 です。詳細は、https://www.jura.uni-freiburg.de/institute/rphil/stawi/de/aktuellesをご参照ください。
 フライブルク大学法学部では、このように、正規の講義やゼミナール以外にも勉強会、読書会、講演会等が活発に行われています。

2014年11月23日日曜日

12月6日(土):第213回研究会

日時:2014年12月6日(土)13時
 
会場:専修大学法科大学院(8号館)845教室(満席の場合は842教室に変更)
*12月は、当初の予定を変更し、土曜のみ研究会を開催することになりました。
 
報告者①:中西優美子(一橋大学)
 
報告判例:2014年1月14日の第2法廷決定(2 BvR 2728/13ほか)
ESM/EZB事件
決定要旨
  1. 2011年11月ECB総裁にドラギが就任した。その後、2012年9月6日、欧州中央銀行(ECB)は、流通市場(secondary markets for sovereign bonds)におけるユーロ圏の国債を購入するプログラム(Outright Monetary Transactions、以下OMT)の導入を決定したことを公表した。
  2. OMT決定がEU法に違反しないか否か、具体的には、EU運営条約119条、127条1項及び2項並びにESCB及びECBの規則に関する議定書17条~24条と両立するか否かについて、また、ECBに付与された権限を超え、構成国の権限に介入していないか否か、EU運営条約119条及び127条の解釈、さらに、救済禁止条項を定めるEU運営条約123条が国債購入を許容していると解釈されるかなどについて先決裁定を求めることを決定した。EU運営条約119条は、EUの経済及び金融政策分野の活動を、EU運営条約127条1項及び2項は、ESCBの目的と任務を規定している。先決裁定手続とは、構成国の裁判所がEU条約及びEU運営条約の解釈並びにEU法行為の解釈及び有効性についてEU司法裁判所に付託しその判断を求める制度であるが、今回ドイツ連邦憲法裁判所がこの先決裁定制度を初めて利用することを決定した。
 
報告者②:カール・フリードリッヒ・レンツ(青山学院大学)
 
報告判例:2014年3月18日の連邦憲法裁判所第2法廷判決(BVerfG, 2 BvR 1390/12ほか)
 
分量が多い関係で、当日は、翻訳の印刷版を用意しない予定です。翻訳が必要な会員には、お手数ですが、次のページで予めダウンロードしてください。
 
判決要旨
  1. 欧州安定制度条約第8条5項および条約第2付属書の責任限定および2012年9月27日の欧州安定制度条約当事者の共通解釈宣言(BGBl II S. 1086)およびドイツ連邦共和国による一方的な宣言(BGBl II S. 1087)により、欧州安定制度条約から無制限な支払義務が成立しないことが、充分に保障されている。
  2. 立法者は欧州安定制度条約4条8項に同意したことを配慮して、ドイツ連邦共和国が欧州安定制度条約に基づく資金支払請求を期限内に完全に履行できることを、財政法上に完全に保障しなければならない。
  3. 欧州安定制度条約32条5項、34条および35条1項は、2012年9月27日の解釈宣言を前提して、ドイツ連邦議会による充分な議会監督および情報入手を妨げるものではない。
  4. ドイツ連邦議会の予算に関する総括責任は、欧州安定制度と議会の間の妥当性関連が絶対に破られないことを前提とする。欧州安定制度に新規加盟の場合、欧州安定制度条約44条・5条6項k)により、理事会の全員一致決定を必要とするから、ドイツ連邦共和国が現在に所持している拒否権が、事情が変わっても維持されることを保障できる。当該拒否権は、憲法上に必要である。

クリップボード@月報第223号

憲法理論研究会叢書22『憲法と時代』(2014年)所収
  • 西原博史「人権理論における科学的方法と本質主義の縛り」
  • 芹沢斉「企業の社会的責任と人権尊重」

クリストフ・メラース/赤坂幸一
「議会統制の二つの概念」法政研究81巻1・2号(2014年10月)1-16頁

小山剛
「ロー・クラス『憲法上の権利』各論11 集会・結社の自由(2)」法学セミナー717号(2014)66-75頁
「ロー・クラス『憲法上の権利』各論12 集会・結社の自由(3・完)、職業の自由・移動の自由(1)」法学セミナー719号(2014年)65-72頁

鈴木秀美
「番組編集準則の現代的意味」月刊民放44巻11号(2014年)13-17頁

中西優美子
「先決裁定手続制度におけるEU司法裁判所と国内裁判所との関係」【EU法における先決裁定手続に関する研究(8)】自治研究90巻11号(2014年)98-107頁

宮地基
【ドイツ憲法判例研究163】「プロバイダのメールサーバ上にある電子メールの差押えと通信の秘密」 自治研究第90巻11号(2014年)154-161頁

2014年11月7日金曜日

マンフレート・バルドゥス教授(エアフルト大学)の講演会のお知らせ(2014/11/19更新)

 2014/11/19更新(更新部分は赤で示しました)

 小山先生の招聘により、以下の通り、マンフレート・バルドゥス教授(エアフルト大学)の講演会が開催されます。
 万障お繰り合わせのうえ、ご参加くださいますようお願い申し上げます。
 
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  • 日時:12月4日(木)18:10 - 19:40
  • 場所:慶應義塾大学 三田キャンパス 南校舎7F 476教室
  • 講演テーマ:「ドイツ基本法における人間の尊厳規範
  • 講演概要:「反全体主義の根本規範(anti-totalitäre Grundnorm)」として当初考えられていた尊厳条項が、いかにして、ドイツ憲法における今日の「超・規範(Supernorm)」へと変容しえたかにつき、考察する。
  • 使用言語:ドイツ語 (翻訳・通訳あり)
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【マンフレート・バルドゥス教授(エアフルト大学)】
Prof. Dr. Manfred Baldus, Erfurt
 
1963年生まれ。トリーア、ボン、パリ、ベルリンの大学にて、法学、政治学、哲学を学ぶ。1994年、「法秩序の一体性(Einheit der Rechtsordnung)」に関する論文(フランクフルト大学)で博士号を取得。1998年、警察法に関する論文(同大学)で教授資格を取得。1999年、パリ第10大学にて客員教授を務める。2003年より現職(エアフルト大学教授、公法および近現代法史講座)。2008年より、テューリンゲン州憲法裁判所の判事も務める。
 
【本講演のテーマ(人間の尊厳保障)について】
 
 バルドゥス教授は、2011年、「人間の尊厳保障と絶対性テーゼ」と題する論文を発表されています(AöR 136, 529-552 (2011))。
 加えて、ここ数年間、バルドゥス教授は『人間の尊厳をめぐる闘争――1949年以降の議論(Kämpfe um die Menschenwürde - Die Debatten seit 1949)』というタイトルの単著執筆に取り組んでおられ、昨年には、ドイツ研究振興協会(DFG)の支援のもと、同書執筆のための研究休暇を採っておられます。同書は、来年出版される予定だそうです。
 
 準備の都合上、本講演へのご出席をご検討されている方は、あらかじめご連絡頂けますと幸いでございます(連絡先はMLに明記)。

2014年11月2日日曜日

アレクシー教授講演会のお知らせ

 以下の日程で、アレクシー教授講演会・セミナーが開催されます。奮ってご参加下さい。

2014年11月22日(土)14:30-17:30
京都大学芝蘭会館別館
基本権、民主制及び代表(Grundrechte, Demokratie und Repraesentation)
主催:ドイツ憲法判例研究会
後援:法哲学社会哲学国際連合日本支部


2014年11月24日(祝)15:00-17:00
四高記念館(金沢市広坂2-2-5)
包摂的非実証主義についての議論
共催:金沢大学基礎法研究会・石川日独協会


2014年11月29日(土)14:30-17:30
中央大学市ヶ谷キャンパス
包摂的非実証主義(Inklusiver Nichtpositivismus)
主催:日本比較法研究所(中央大学)
後援:法哲学社会哲学国際連合日本支

2014年10月23日木曜日

11月1日(土):第212回研究会

日時:2014年11月1日(土)14時
場所慶應義塾大学三田キャンパス南校舎4F 447教室(※正門〔=南門〕入ってすぐの建物です)
報告者:武市周作(東洋大学)
 
報告判例:2009年12月1日の第2法廷判決(BVerfGE 125, 39; 1 BvR 2857, 2858/07)
ベルリン・アドヴェント日曜日
 
判決要旨
  1. 基本権―本件では基本法4条1項および2項から―導かれた立法者の保護義務は、基本法140条と結びついたヴァイマル憲法139条に基づく日曜・祝日の客観法的保護委託によって具体化される。
  2. ベルリン開店法3条1項におけるアドヴェント日曜日に関する規律は、日曜日・祝日における労働休息の保障に合致しない。

クリップボード@月報第222号

ペーター・ヘーベルレ/畑尻剛・土屋武編訳
『多元主義における憲法裁判 P. ヘーベルレの憲法裁判論』(中央大学出版部、2014)

小山剛
「ロー・クラス 「憲法上の権利」各論(08)-(09)表現の自由(4)-(5・完成) 」法学セミナー714号(2014)72-78頁、715号(2014)96-104頁
「ロー・クラス 「憲法上の権利」各論(10)集会・結社の自由(1)」法学セミナー715号(2014)68-76頁

西土彰一郎
【ドイツ憲法判例研究161】「接続データの保護[ドイツ連邦憲法裁判所2006.3.2判決] 」自治研究第90巻9号(2014)143-151頁

松本和彦
「統治と専門性―憲法の視点から」公法研究76号(2014)112-124頁

棟居快行
「大規模災害と権利保障」公法研究76号(2014)43-65頁

2014年10月20日月曜日

【ECHR研究会】ヌスベルガー欧州人権裁判所判事セミナー開催のお知らせ

 ECHR研究会のヌスベルガー欧州人権裁判所判事セミナー開催について、次の通りお知らせ申し上げます。

テーマ:「国際法と国内法の対話-ヨーロッパ人権裁判所とドイツ連邦憲法裁判所における比例原則を手がかりとして-」

講師:ヨーロッパ人権裁判所裁判官 アンジェリカ・ヌスベルガー教授

通訳:江島晶子会員
使用言語:英語

日時:2014年10月28日(火)14時30分~16時30分
場所:明治大学 アカデミーコモン8階308C教室
※キャンパスマップについては、下記をご参照ください。
http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/suruga/access.html

 ご出欠につきましては、準備の関係上、 恐れ入りますができる限り早めに、下記(MLにてお送りしております)までご連絡いただけますよう、お願い申し上げます。(可能性のご連絡でも構いません。)
 在京の先生方もご連絡いただければ幸いです。

2014年10月5日日曜日

10月17日(金):第211回研究会


日時2014年10月17日(金)18時から20時  *公法学会(中央大学)の前日

会場:専修大学神田キャンパス8号館(法科大学院棟)4階845教室

http://www.senshu-u.ac.jp/univguide/profile/access/kanda_campus.html

報告者:大森貴弘(常葉大学)

報告判例:2008年1月15日の第2法廷判決(BVerfGE 120, 56; 2 BvL 12/01)

両院協議会の決定勧告(企業税改革推進法3条4a号)-両院協議会の権限の限界

http://www.bundesverfassungsgericht.de/entscheidungen/ls20080115_2bvl001201.html


判決要旨
  • 両院協議会の発議に遡る法律改正の形式的違憲を争う具体的規範統制手続において、連邦憲法裁判所第二法廷は、次のように判示した。1997年10月29日の企業税改革推進法3条4号a(Bundesgesetzblatt I Seite 2590)は基本法に合致しえないものの、依然として有効である。

ドイツ国法学者大会参加報告

 2014年10月1日からデュッセルドルフ大学で開催された第74回国法学者大会に、戸波名誉代表、鈴木代表、高田会員、松原光宏会員、松本会員、三宅会員が参加しました。
 10月1日に開催されたGesprachskreis “Grundlagen des Offentlichen Rechts”では、イェシュテット教授の司会の下、Der “German Approach”-Staatsrechtslehre im Wissenschaftsvergleichというテーマについて、シェーンベルガー教授(コンスタンツ大学)が独仏比較の観点から報告を行い、国外の視点からとして、ヤカブ教授(ハンガリー)と高田篤会員がコメントしました。イェシュテット教授が、高田会員の紹介に加えて、日本に「ドイツ憲法判例研究会」があり、その代表や会員も今日の会合にしていることや、ドイツ憲法判例研究会が年に10回開催され、そこで連邦憲法裁判所の判例研究が行われていることも紹介してくださいました。このGesprachskreisのテーマは、来年9月に開催を予定している日独共同セミナーにつながっています。ドイツ憲法判例研究会からの参加者一同、参加していたドイツの研究者が比較法研究に大きな関心を寄せていることを実感しました。

クリップボード@月報第221号

マティアス・イェシュテット=オリヴァー・レプジウス=クリストフ・メラース=クリストフ・シェーンベルガー/鈴木秀美=高田篤=棟居快行=松本和彦監訳(杉原周治、大西楠・テア、高田倫子、西土彰一郞、村西良太訳)
『越境する司法』(風行社、2014年)

有澤知子
「同性婚と婚姻防衛法――United States v.Windsorn判決を中心に」大阪学院大学法学研究第40巻1・2号(2014年)49-88頁

實原隆志【ドイツ憲法判例研究162】「通信サービスの利用者データを保存・提供させる手続の合憲性」自治研究第90巻10号148-155頁

中西優美子「GoogleとEUの『忘れられる権利(削除権)』」【EU法における先決裁定手続に関する研究(7)】自治研究第90巻9号(2014年)96-107頁

2014年9月25日木曜日

共同研究会 オリヴィエ・ボー教授ご報告のご案内

 10月半ばに、フランス・パリ第2大学教授のオリヴィエ・ボー氏が来日され、大阪大学で開催される『ケルゼン・ルネッサンス』研究会とドイツ憲法判例研究会の「共同研究会」にてドイツ語で報告をしてくださることになりました。その詳細が決まりましたので、お知らせ申し上げます。
 ふるってご参加くださいますようお願い申し上げます。

『ケルゼン・ルネッサンス』研究会・ドイツ憲法判例研究会
         共同研究会のご案内

テーマ:フェデレーション理論の諸原理(通訳付)
原題:Prinzipien einer Bundeslehre
日時:2014年10月20日(月)15時~18時(予定)
場所:大阪大学 法経研究棟4階、大会議室
共催:阪大法学会

研究会の後には、懇親会を開くことも予定しております。
準備の都合がございますので、講演会、懇親会にご参加いただけます方は研究会代表までご連絡下さい(連絡先は研究会メールでご案内しております)。

2014年9月6日土曜日

9月7日(日)の慶應義塾大学アクセスについて

9月7日(日)の研究会会場・慶應義塾大学へのアクセスにつきまして、休日は「東門」(桜田通り沿い)が封鎖されておりますので、「正門」からお入りいただきますようお願い申し上げます。

どうぞご注意ください。

2014年8月26日火曜日

9月6・7日(土・日):第210回研究会+科研費基盤A申請準備研究会

※9月7日(日)の報告順序に誤りがありましたので訂正致します 2014/08/26訂正

日時
2014年9月6日(土)
13:00-17:30 第1・2報告

2014年9月7日(日)
10:00~12:00 第3報告(12時頃終了予定)
13:00~14:00 科研費基盤A申請準備研究会
14:00~16:30 第4報告(16時30分頃終了予定)

会場慶應義塾大学(三田キャンパス)西校舎514番教室
http://www.keio.ac.jp/ja/access/mita.html
キャンパスマップ⑫の建物

*9月7日の昼休みは1時間程度となる予定です。研究会としてお弁当の手配はいたしません。会員の皆様には、各自、会場にて昼食をとっていただきたいと思います。お手数ですが、当日、できるかぎり昼食用のお弁当やサンドイッチ等をご持参くださいますようお願い申し上げます。大学周辺にコンビニや日曜も開店しているレストランはありますが、キャンパス内のレストランは日曜日のため営業しておりません。 


報告者①:浮田徹(摂南大学)
報告判例:2006年6月13日の第1法廷決定(BVerfGE 116, 96; 1 BvL 9, 11, 12/00, 5/01, 10/04)外国人年金法(Fremdrentengesetz)の合憲性
http://www.bundesverfassungsgericht.de/entscheidungen/ls20060613_1bvl000900.html
決定要旨
  1. 外国人年金法を根拠とする年金期待権は、専らその出身地域においてもたらされたかあるいは既に完了している保険料支払期間および勤続期間を基盤とする場合には、基本法14条1項1文の保障の下にない。
  2. 1996年9月26日の経済成長・雇用拡大法に対応するために改正された外国人年金法§22の4項によって実施された報酬点数の40%引き下げは、ドイツ連邦共和国におけるのと同じく出身地域における年金法上の期間に根拠を置いた権利者の年金期待権が、包括的な法律上の地位として基本法14条1項の保護の下にある場合には、憲法上の意義を唱えることはできない。
  3. 1996年法のための改正に関する経過措置の憲法上の要請については、年金を受給することになる時期に関わる。

報告者②:大岩慎太郎(福島工業高等専門学校)
報告判例:2009年4月21日の第2法廷決定(BverfGE 124, 1; 2 BvC 2/06)Nachwahl
http://www.bundesverfassungsgericht.de/entscheidungen/cs20090421_2bvc000206.html
決定要旨
  1. 第16回ドイツ連邦議会選挙の際の160選挙区(ドレスデン第1区)における追加選挙に適用された連邦選挙法(第17次改正版)43条1項2号、2項、3項並びに連邦選挙規則82条は、基本法38条1項1文に基づく平等選挙原則と両立しうる。
  2. 追加選挙が実施される前に総選挙の暫定的な選挙結果を算出、確定、公表することは、追加選挙に関する有権者を一般的な有権者と比べて情報の点で優位に立たせる。この追加選挙に関する有権者に情報の優位性を与える連邦選挙法、連邦 選挙規則上の区別的取扱いは、普通選挙原則、政党と選挙候補者の機会均等、選挙の公開性によって正当化される。
  3. 連邦選挙法、連邦選挙規則による追加選挙前の暫定的な選挙結果の算出、確定、公表は、自由選挙原則、秘密選挙原則についても侵害していない。

報告者③:藤井康博(静岡大学)
報告判例:2010年10月12日の第2法廷決定(BVerfGE 127, 293;2 BvF 1/07)
産卵鶏飼育決定
http://www.bundesverfassungsgericht.de/entscheidungen/fs20101012_2bvf000107.html
決定要旨
  • 動物保護法16b条1項2文で定められた義務、すなわち、法規命令及び一般的行政規則の公布前に動物保護委員会から意見聴取する義務は、基本法20a条に基づく憲法委託の履行に寄与する。動物保護法16b条1項2文に対して違反して公布された命令は、同時に基本法20a条を侵害する。

報告者④:太田航平(青森中央学院大学)
報告判例:2006年6月13日の第1法廷決定(BverfGE 116, 135; 1 BvR 1160/03)
公共調達法と平等原則
http://www.bundesverfassungsgericht.de/entscheidungen/rs20060613_1bvr116003.html
決定要旨
  1. 基本法3条1項の平等原則は、公共調達の委託発注の際、国家機関を拘束する。
  2. 調達額が限界価格を下回る公共調達を委託発注する決定に対し、現行の法秩序で、無視された競争者に認められている法的保護の可能性は、司法付与請求権の要求(基本法20条3項)を満たす。
  3. 立法者が、限界価格を上回る委託発注決定に対する法的保護と限界価格を下回る委託発注決定に対する法的保護を異なる形で形成しても、それは平等原則(基本法3条1項)を侵害しない。

『ドイツの憲法判例4』について(索引用キーワード明記のお願い)

 『ドイツの憲法判例 Ⅳ』(2015年秋刊行予定)の原稿の提出期限は、2014年9月末です(字数は6,000字)。原稿執筆の詳細については依頼状に添付の「執筆要領」にてご確認ください。編集委員会では、来年10月の公法学会に間に合うよう刊行したいと考えております。執筆予定の会員の皆様には、提出期限をお守りくださいますようお願い申し上げます。
 なお、執筆要領には明記されておりませんが、索引をつくるため、原稿の最後に索引用キーワード(5つ以下)を日本語とドイツ語で明記してください。
 『ドイツの憲法判例 Ⅳ』についてのお問い合わせは、編集委員会のメールアドレスへお願いします。ファックスまたは手紙の場合の連絡先も併せて月報に掲載されています。

クリップボード@月報第220号

青柳幸一
『憲法学のアポリア』(尚学社、2014年)

柴田憲司
(ドイツ憲法判例研究159)「歯科医に対する広告・宣伝の禁止と職業の自由[ドイツ連邦憲法裁判所第一法廷2011.6.1決定]」自治研究90巻7号(2014年)144-151頁 

初宿正典
「比較の中の二つの憲法―ドイツと日本」産大法学47巻3・4号(2014年)30-88頁 

鈴木秀美
(ドイツ憲法判例研究160)「テロリストに関する秘密の公表と取材源秘匿権―キケロ判決」自治研究90巻8号(2014年)146-154頁
「特集 がんばれ!われらのNHK 放送法の理念に照らして-法の配慮を背景に『質』を守れ」GALAC2014年9月号24-25頁

中西優美子
「EUの排他的権限の生成」一橋法学13巻2号(2014年)53-91頁 

松原光宏
「公法による将来形成-教育・財政・婚姻及び家族」自治研究90巻7号(2014年)18-39頁 
 
三宅雄彦
「連邦憲法裁判所をめぐる法と人事―ドイツの場合」法律時報86巻8号(2014年)25-30頁 

村西良太
「国家緊急事態と議会留保」論究ジュリスト(2014年春号)No.9 70-76頁

2014年8月20日水曜日

9月6日(土)研究会後懇親会、7日(日)会合のご案内について

 既に研究会MLでご案内いたしました通り、9月の研究会は6日(土)・7日(日)に開催されますが、その後の懇親会および会合につきまして会員各位のご都合を急ぎお知らせください。

 MLが戻ってきているアドレスがいくつかあります。最近研究会MLが届かないという方はお急ぎご連絡ください。

 なお、研究会の詳しい内容につきましては近日中にMLで配信、当ページでご案内いたします。

2014年6月23日月曜日

7月5日(土):第209回研究会

日時:2014年7月5日(土)14時

報告者:松原光宏(中央大学)

会場:専修大学法科大学院(8号館)845教室(満席の場合は842教室に変更)

報告判例:2013年5月7日の第2法廷判決(2 BvR 909/06, 2 BvR 1981/06, 2 BvR 288/07)
配偶者分割課税に関する、登録生活パートナー不平等扱いの合憲性
http://www.bundesverfassungsgericht.de/entscheidungen/rs20130507_2bvr090906.html

判決要旨
  • 配偶者分割課税(Ehegattensplitting)に関する規定(所得税法26条、26b条、32a条5)における、既婚者と登録生活パートナーの不平等扱いは、基本法3条1項が定める一般的平等原則に適合しない。

クリップボード@月報第219号

石村修
『憲法への誘い』(右文書院、2014.7.10出版予定)

高田敏
『法治国家観の展開-法治主義の普遍化的近代化と現代化』(有斐閣、2013)

毛利透
『統治構造の憲法論』(岩波書店、2014)
『グラフィック 憲法入門』(新世社、2014)

入井凡乃(ドイツ憲法判例研究158)
「対テロデータファイル法による情報機関・警察の情報共有と情報自己決定権」自治研究90巻6号(2014.6)119頁

杉原周治
「KEKのAxel Springer決定(一)―Axel SpringerによるProSiebenSat.1合併計画をめぐるKEKの決定と行政裁判所判決」愛知県立大学外国語学部紀要(地域研究・国際学編)46号(2014.3)121-147頁
「KEKのAxel Springer決定(二)―Axel SpringerによるProSiebenSat.1合併計画をめぐるKEKの決定と行政裁判所判決」愛知県立大学大学院国際文化研究科論集15号(2014.3)103-130頁

鈴木秀美
「『政治的公平を厳密に守れ』ということは、『批判をするな』ということと同義だ」ジャーナリズム2014年6月号98-105頁

棟居快行
「人権制約法理としての公共の福祉論の現在―最高裁判決における近時の展開を踏まえて」レファレンス平成26年5月号5-26頁

高田敏会員の受勲について

 この度、高田敏会員(大阪大学名誉教授)に、ドイツ連邦共和国より、功労勲章一等功労十字章が授与されることになりました。7月24日(木)に大阪市内で勲章伝達式が開催される予定です。

オリヴィエ・ボー教授講演会のお知らせ

 オリヴィエ・ボー教授(パリ第二大学)が10月16日に来日され、約2週間滞在されます。ボー教授は憲法研究者の独仏交流にも熱心に関与されており、今回、慶應義塾大学の山元一教授のご高配により、ドイツ憲法判例研究会のためにドイツ語でも講演してくださることになりました。10月20日(月)午後、大阪大学(豊中キャンパス)で講演会を開催する方向で準備中です。詳細については、あらためてお知らせいたします。

 なお、ボー教授は、10月18日(土)には日仏会館でヨーロッパ市民権に関するシンポジウムに出席されるほか、10月24日(金)には日仏会館における樋口陽一先生との対談が、10月25日(土)には慶應義塾大学における講演(樋口陽一先生傘寿記念)が予定されています。

EUSIイベントのお知らせ

EUSIのイベントが以下の日程で開催されます。
講演はすべて英語で行われ、シンポジウムでは、英日の同時通訳がつきます。
当イベントの連絡先=中西優美子(一橋大学)メールアドレスは月報に記載
9月以降、EUSIサイトhttp://eusi.jp/でもお知らせがあります。


(1) 10月17日(金)14時40分~16時10分 Workshop
  •  Ferdinand Wollenschlager 教授(Augusburg大学)
  •  場所:一橋大学国立東キャンパスマーキュリータワー5階 EUSI事務局会議室
  •  テーマ:EU基本権
(2) 10月28日(火)11時~18時頃(予定) シンポジウム
  • Alexander Proeless教授(トリア大学)による基調講演
  • 場所:如水会館(神田一ツ橋)
  • テーマ:EU環境法
(3) 10月30日(木)10時35分~12時05分 Workshop
  • Alexander Proeless教授(トリア大学)
  • 場所:一橋大学国立東キャンパスマーキュリータワー5階 EUSI事務局会議室
  • テーマ:EU環境法に関するもの(未定)

2014年5月23日金曜日

6月7日(土):第208回研究会

日時:2014年6月7日(土)14時

場所専修大学1号館7階7A会議室

報告者:毛利透(京都大学)

報告判例:2009年7月1日の第2法廷決定(BVerfGE 124, 161; 2 BvE 5/06)
連邦秘密当局による連邦議会議員に関する情報収集
http://www.bundesverfassungsgericht.de/entscheidungen/es20090701_2bve000506.html

決定要旨(NVwZによる)
  1. ドイツ連邦議会の個々の議員及び会派の、連邦の諜報活動に関する連邦政府に対しての情報請求権は、連邦政府が秘密保持の必要性を認めた情報を、連邦議会の諜報部局統制委員会、調査委員会または長老評議会に提出したことによっては限定されない。
  2. 議員に対する諜報部局の監視は、その独立性(基本法38条1項2文)および該当する政党の政治的意思形成への協力(基本法21条)の観点から、そしてそれらにより民主的意思形成プロセス全体にとって、重大な危険を内包している。これに関する議会の情報要求は高い価値をもつ。秘密保護がこれに対抗する重要性をもつものとして貫徹するためには、特別の根拠づけが必要である。

クリップボード@月報第218号

浮田徹(ドイツ憲法判例研究157)
「選挙人におけるコンピューター制御の電子投票機の導入」自治研究90巻5号(2014年)142-150頁

小山剛
「ロー・クラス 「憲法上の権利」各論(01)(02)思想および良心の自由(1)(2) 」法学セミナー705号(2013)43-49頁、706号(2013)41-46頁
「ロー・クラス 「憲法上の権利」各論(03)-(04)信教の自由と政教分離(1)(2) 」法学セミナー707号(2013)49-56頁、708号(2014)48-56頁
「ロー・クラス 「憲法上の権利」各論(05)-(07)表現の自由(1)-(3) 」法学セミナー710号(2014)42-48頁、711号(2014)82-90頁、712号(2014)72-79頁

小山剛・畑尻剛・土屋武編(執筆者として上村都、川又伸彦、柴田憲司、武市周作、嶋崎健太郎
『判例から考える憲法』(法学書院、2014)

斎藤誠
「行政訴訟・民事訴訟の狭間と権利救済-戦前期の耕地整理組合費訴訟一斑」礒野弥生他編『現代行政訴訟の到達点と展望[宮崎良夫先生古稀記念]』所収(2014年)25-56頁
『経済行政法の可能性と課題-ドイツにおける議論を素材として-』(附編にライナー・ヴァール「行政と行政法の任務従属性」(斎藤訳)を収録)日本銀行金融研究所ディスカッションペーパー(2014-J-6)
http://www.imes.boj.or.jp/research/dps-j.html

玉蟲由樹
「『環境権』の権利構造」福岡大学法学論叢58巻4号(2014)641頁
「人権と国家権力―『公共の福祉』の多元的機能」法律時報88巻5号(2014)29頁

中西優美子
「EU法優位の原則と国内過渡的措置」【EU法における先決裁定手続に関する研究(5)】自治研究90巻5号(2014)76-87頁

藤井康博
「〈3.11〉後の事前配慮原則と人格権―憲法・環境法から見た原子力のリスクと将来性(環境問題再問)(2)」静岡大学法政研究18巻1-2号(2014)

2014年4月24日木曜日

エーラース教授(ミュンスター大学)講演会のご案内

5月7日・8日、中央大学多摩キャンパスで、元ドイツ国法学者協会理事長、エーラース教授(ミュンスター大学)の講演会が、下記の通り3回開催されますのでご案内いたします。

5月8日の司会・通訳は松原会員です。講演会終了後、名誉博士号授与が予定されております。

1)日本比較法研究所講演会・法学部特別講義
講師:Prof. Dr. Dirk Ehlers (ディルク・エーラース)
  ミュンスター大学・経済公法研究所/外国人研究者2群
テーマ:「ヨーロッパ連合における補助金規制について」
  “Die Europaeische Beihilfekontrolle”
日時:2014年5月7日(水)13:20-14:50
場所:6104号教室

※講演原稿全訳は4月30日正午以降、日本比較法研究所事務室および法学部事務室窓口にて配布します。
※法学部・山内教授「外国法概論(EU法)」の授業内で行われますがどなたでもご参加いただけます。

2)日本比較法研究所講演会
講師:Prof. Dr. Dirk Ehlers (ディルク・エーラース)
  ミュンスター大学・経済公法研究所/外国人研究者2群
テーマ:「国家行政に対する私人の情報請求権」
  “Informationsansprueche Privater gegen die staatliche Verwaltung”
日時:2014年5月7日(水)16:40-18:10
場所:8208号室

※講演はドイツ語で行われ、通訳(法学部デルナウア准教授による)があります。
※法学部・柴田助教「憲法2(統治)」の授業内で行われますがどなたでも参加いただけます。

3)D.エーラース教授(法学博士・ドイツ・ミュンスター大学)への名誉博士学位贈呈に伴う記念特別講演
テーマ:ドイツにおける国家共同体・宗教共同体 ―その関係と発展―
  “Staats- und Religionsgemeinschaften ‐ihre Beziehungen und Entwicklung in Deutschland“
日時:2014年5月8日(木)13:20-14:50
場所:6203号室
言語:ドイツ語 *通訳あり
※法学部・松原教授「憲法2」の教室で行われますがどなたでも参加いただけます。

5月9日(金):第207回研究会

日時:2014年5月9日(18時~20時   *全国憲(広島開催)の前日。
会場:広島市まちづくり市民交流プラザ(北棟5階) 研修室C
 http://www.cf.city.hiroshima.jp/m-plaza/kotsu.html  (Tel:082-545-3911)
 広島電鉄市内電車:「袋町」電停から徒歩約3分 「紙屋町東」電停から徒歩約6分、アストラムライン:「本通駅」から徒歩約5分
報告者:實原隆志(長崎県立大学)
報告判例:2012年1月24日の第1法廷決定(BVerfGE 130, 151;1 BvR 1299/05)
Dynamischen IP-Adressen
http://www.bverfg.de/entscheidungen/rs20120124_1bvr129905.html

判決要旨
1.通信番号を、その回線の保有者と関連づけること(Zuordnung)は情報自己決定権への侵害である。これに対し、変動IPアドレスの関連づけは基本法10条1項に対する侵害である
2.立法者は、開示手続を導入する場合には、情報を提供するための法的根拠と同時に、データを取得するための法的根拠も設けなければならない。
3.TKG 112条と111条の自動開示手続は合憲である。なお、TKG 112条はデータの取得については独立した授権根拠があることを前提とする。
4.TKG 113条1項1文、111条、95条1項の手動開示手続は、合憲的に解釈する限りで基本法と合致する。一つには、データの取得に対して詳細な法的根拠が必要であり、そのような法的根拠自体が通信事業者の開示義務の規範的に明確な形での根拠である必要がある。もう一つとして、この規定は変動IPアドレスの関連づけに適用されてはならない。
5.安全当局がアクセス・セキュリティコードの開示を求めてもよい(TKG 113条1項2文)のは、そのコードを利用するための法律上の前提がある場合だけである。

*第207回研究会後の「懇親会」のご案内
研究会終了後、懇親会を開催します。
事前に人数を把握する必要上、恐れ入りますが、懇親会にご出席いただける方は、5月2日(金)までに、幹事の門田会員(連絡先は月報に記載)へご連絡ください。
日時:2014年5月9日(金)20時15分
場所:「海鮮居酒屋 やぶれかぶれ 袋町店」
〒730-0036 広島県広島市中区袋町8-11
 (広電宇品線 袋町駅 徒歩3分。研究会会場からも徒歩3分程度です)
TEL:082-249-5229 または050-5798-5505
http://r.gnavi.co.jp/y283602/
会費:平均4,000円程度(有職者は5,000円程度)

クリップボード@月報第217号

青柳幸一
「『ろう者』の憲法上の権利:真の言語としての日本手話」明治大学法科大学院論集14号(2014年)1-81頁

太田航平
「憲法改正規定改正限界論序説――ドイツ基本法七九条解釈を参考に――」法学新報120巻11・12号(2014年)83‐103頁

栗城壽夫
「ドイツの憲法理論の歴史における憲法契約の思想について」法学雑誌(大阪市立大学)60巻2号(2014年1月)231-274頁

杉原周治(ドイツ憲法判例研究156)
「不正競争防止法一条にいう「業績競争」への危険の確定と意見表明の自由[ドイツ連邦憲法裁判所第一法廷2002.2.6決定]」自治研究90巻4号(2014年)148-155頁

2014年3月24日月曜日

4月5日(土):第206回研究会

日時: 2014年4月5日(土)14時

会場:専修大学法科大学院棟845号室
専修大学キャンパス案内http://www.senshu-u.ac.jp/univguide/profile/campus.html#map_kanda

報告者:松原有里(明治大学)

報告判例:2010年7月7日の第2法廷の決定(BVerfGE 127, 1; 2 BvL 14/02, 2/04, 13/05)
遡及的課税の合憲性
http://www.bverfg.de/entscheidungen/ls2100707_2bv1001402.html

*『ドイツの憲法判例 Ⅳ』編集委員会は、2010年7月7日の2つの決定を選び、そのうちどちらかを中心に報告してくださるよう松原会員に依頼しました。ただし、同日、第二小法廷から3つの決定が出ています。松原会員は、上記の決定を中心に、同日に下された以下の2つの決定(BVerfGE 127, 31; 2 BvL 1/03, 57, 58/06、BVerfG,E 127, 61, 2 BvR 748/05)とともに、3つの決定についてまとめて検討してくださいます。なお、松原会員が3つの決定のうち上記の決定を中心に報告されるのは、これら3つの決定が出された当時、連邦憲法裁判所裁判官(第二小法廷所属)で、現在は連邦財政裁判所に在職されるメリングホフ長官からのアドバイスによるそうです。
http://www.bverfg.de/entscheidungen/ls20100707_2bv1000103.html
http://www.bverfg.de/entscheidungen/rs20100707_2bvr074805.html

判決要旨

  1. 遡及的な要件事実により将来的に課される法律効果と関連する立法(=いわゆる不真正の遡及効)は、原則として認められない訳ではない。不真正の遡及効は、基本法上及び法治国家における信頼保護原則を尊重した上で、しかし、それが立法目的に即しており、そうすることが必要な場合、及び、法改正によって失われるであろう信頼の重さと法改正の緊急性との全体のバランスを利益衡量した上で、後者が勝る場合にのみ認められる。
  2. ドイツ所得税(StEntlG1999/2000/2002)上の§23Abs.1S.1Nr.1及び§52Abs.39S.1に関連するいわゆる不動産譲渡益の非課税期間の延長は、不真正の遡及効のもたらす効果と関連し、それは、一部、憲法上の信頼保護原則と反することになる。


クリップボード@月報第216号

上代庸平(ドイツ憲法判例研究153)
「ゲマインデの営業税賦課率決定と自治体財政権[連邦憲法裁判所第二法廷2010.1.27決定]」自治研究90巻1号(2014年)131-139頁

春名麻季(ドイツ憲法判例研究154)
「性転換法による婚姻解消要件と一般的人格権・婚姻の保護[ドイツ連邦憲法裁判所第一法廷2008.5.27決定]」自治研究90巻2号(2014年)126-133頁

兼平麻渚生(ドイツ憲法判例研究155)
「EU法の国内実施法律に関する連邦憲法裁判所への移送と欧州司法裁利所への付託[ドイツ連邦憲法裁判所第一法廷2011.10.4決定]」自治研究90巻3号(2014年)141-149頁

ヘルゲ・ゾーダン/太田航平
「国家と憲法裁判権」比較法雑誌47巻3号(2013年)47-100頁

工藤達朗
『憲法判例インデックス』(商事法務、2014年)

「法学研究」87巻2号(2014年)小林節教授退職記念号
 小山剛「比例原則と猿払基準」29-45頁
 上代庸平「自治体財政権侵害の審査基準としての比例原則」413-447頁
 鈴木秀美「ドイツ受信料制度改革の憲法学的考察」449-474頁

中西優美子
「先決裁定付託受理の許容性判断とEU基本権憲章」【EU法における先決裁定手続に関する研究(4)】自治研究90巻3号(2014年)86-96頁。

Yumiko NAKANISHI,
"Political Principles in Article 21TEU And Constitutionalism", Hitotsubashi Journal of Law and Politics, Vol. 42, 2014, pp. 11-23.

松本和彦
『日独公法学の挑戦-グローバル化社会の公法』(日本評論社、2014年)
<論文>
 棟居快行「グローバル化の中の憲法」17-36頁
 高田篤「グローバル化された法創設過程と議会」79-96頁
 村西良太「議会の中の権力分立」111-127頁
 鈴木秀美「取材源秘匿権と特定秘密」173-192頁
 松本和彦「環境法における情報取り扱いと知識の創出」263-280頁
<翻訳>
 フィリップ・クーニッヒ/高田倫子訳「国家と社会の間の機能変動」37-55頁
 ハンス-ゲオルク・マーセン/杉原周治訳「国際警察法の可能性と限界」57-75頁
 ジークリート・ボイゼン/松本和彦訳「EU法における環境情報へのアクセス」281-295頁

2014年2月21日金曜日

3月1日(土):第205回研究会+ブムケ教授講演会

日時: 2014年3月1日(土)13時~15時45分

会場:専修大学法科大学院棟844号室
専修大学キャンパス案内http://www.senshu-u.ac.jp/univguide/profile/campus.html#map_kanda
*通常より開始時間が1時間早く、部屋もいつもと違います。ご注意ください。

報告者:難波岳穂(日本大学博士後期課程)

報告判例:2012年2月7日の第1法廷判決(BVerfGE 130, 240; 1 BvL 14/07)
バイエルン州教育手当法
http://www.bundesverfassungsgericht.de/entscheidungen/ls20120207_1bvl001407.html

判例要旨

  1. 1995年11月16日(GVBI S.818)の改正法による、連邦育児手当の付与ならびに州育児手当給付法の導入法(バイエルン州育児手当法)第1条第1項第1節第5号、2001年3月26日(GVBI S.76)の州育児手当給付法の支払に関するバイエルン州法第1条第1項第1節第5号、2004年4月13日(GVBI S.133)の改正による連邦育児手当の支払ならびに州育児手当給付法の導入に対する第1条第1項第1節第5号、2007年6月9日(GVBI S.442)のバイエルン州育児手当給付法の改正に関する法律第1条第1項第1節第6号は、基本法第3条第1項と相容れない。
  2. 立法者が違憲規定を2012年8月31日までに改正しない限り、問題のある規定は無効になる。


研究会終了後、16時よりブムケ教授講演会を開催します(通訳付き)。
会場:専修大学法科大学院棟842号室(*当日13時から開催される月例会会場とは別室

講演テーマ:「ドイツにおける憲法適合的解釈」

原題:“Verfassungskonforme Auslegung in Deutschland“

講演翻訳:原島啓之(大阪大学博士課程)
討論通訳:松原光宏(中央大学)
*終了後、懇親会も開催します。
*ブムケ教授は、2月末から3月末まで、大阪大学に外国人研究員として滞在されます。

クリップボード@月報第215号

中西優美子
「リスボン条約後のTRIPs協定に関するEUの権限」『国際商事法務』Vol. 42, No. 2 (2014年) 298-303頁

春名麻季
「性転換法による婚姻解消要件と一般的人格権・婚姻の保護」自治研究90巻2号(2014)126頁