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2017年12月30日土曜日

2018年1月6日(土):第244回研究会

日時:2018年1月6日(土) 14時~17時(予定) 

会場:専修大学法科大学院棟3階「835教室」 

報告者:石塚壮太郎(北九州市立大学) 

報告判例:2016年4月20日第1法廷判決(BVerfGE 141, 220)――連邦刑事庁法一部違憲判決
http://www.bverfg.de/e/rs20160420_1bvr096609.html

判例要旨
1. a) 秘密の監視措置(住居監視、オンライン捜索、電気通信監視、電気通信データ取得、データ取得の特別の手段を用いた住居外の監視)の投入に関する連邦刑事庁への授権は、基本法における国際テロリズムの危険の防止のために、基本法の基本権と合致する。 
b) そのような権限の形成は、比例原則を満たさなければならない。深く私生活にまで達する権限は、十分に重い法益の保護または補強に限られなければならず、この法益の危険が十分具体的に見通せることを前提としなければならない。目的となる人物の周囲から責任なき第三者への〔介入〕権限の拡大は、限られた条件下でのみ許される。〔介入〕権限には、私的な生活形成の核心領域ならびに職業上の守秘義務を負う者を保護するための、優れて特別な規定が必要である。〔介入〕権限は、透明性、個人の権利保護および監督的統制の要請に服し、取得データに関する削除義務により脇を固められなければならない。 

2. 国家により取得されたデータの利用および伝達にかかる要請は、目的拘束と目的変更の原則に従う。 
a) 目的拘束の射程は、データ取得のためのその都度の授権に従う。データ取得の目的は、第一にその都度の捜査手続から見つけ出される。 
b) 立法者は、データ取得を決定づけた手続を超えて、このデータの当初の目的の枠内で、データ利用を許可することができる(再利用)。このことが前提とするのは、そのデータの利用が、同じ官庁により、同じ任務の達成のために、同じ法益の保護のためになされることである。さらに、住居監視または情報技術システムへのアクセスから得られたデータが問題となる場合には、そのいかなる再利用にも、データ取得を決定づけた、危険状況にかかる要請が満たされていなければならない。 
c) 立法者は、それを越えて、当初のデータ取得の目的とは異なる目的のための、データ利用を許可することができる(目的変更)。
 そのような目的変更のための比例性要請は、仮想的なデータ取得の原則に準拠する。それによれば、データの新たな利用は、その新取得が同等に重みづけられた手段により憲法上正当化されうるような重さの、法益の保護または犯罪の解明に資するものでなければならない。それに対して、データ取得の際のような、具体化された危険状況が、原則的に新たに必要とされるわけではない。しかし、必要かつ十分なのは、通常、具体的な捜査端緒の存在である。 

3.もっとも、住居監視およびオンライン捜索から得られたデータが問題となる場合、変更された目的での利用は、データ取得を決定づけた、危険状況にかかる要請も満たされている場合にのみ認められる。外国の国家機関へのデータの伝達は、目的拘束および目的変更という一般的な憲法原則に服する。新たな利用の評価に際しては、他の法秩序の固有性が考慮されなければならない。外国へのデータの伝達には、受取国でデータの十分に法治国家的な取り扱いが期待されうるかについての確認が求められる。