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2024年12月5日木曜日

第311回研究会

 日時:2024 年 12 月 7 日(土)14 時~17 時

• 会場:日本大学法学部本館 141 講堂

• 報告者:木藤茂(獨協大学)

• 報告判例:2021 年 4 月 27 日の第 2 法廷決定(BVerfGE 158, 51; 2 BvE 4/15 - Griechenlandhilfen)

https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2021/04/es20210427_2bve000415.html?nn=68020

• 決定要旨:

1.基本法 23 条 2 項 2 文に基づく連邦政府の連邦議会に対する広範かつ可能な限り早期の情報提供義務は、連邦政府の主導的な活動やスタンスにまで及ぶ。連邦政府の一構成員がとる交渉態度は、当該構成員がドイツ連邦共和国を欧州レベルで代理し明らかにその代表者として行動する場合には、連邦政府に帰責され得る。

2.情報提供義務の限界は、基本法 20 条 2 項 2 文で認められる権力分立の原則から生じる。同原則によれば、外部から追及され得ない執行権に固有の責任の核心領域が連邦政府に認められるものの、それは、連邦政府が中間的な結論に至り、あるいは自らのスタンスを構築した上でそれを既に自らの対外的な行動の基礎に置いた時に、そしてその限りで、尽きることとなる。連邦政府が自らの主導で政府内部の調整の領域から抜け出し、仮に暫定的なものに過ぎないにせよ自らの見解とともに第三者との調整過程に入ろうとするような場合には、いずれにせよ連邦政府の意思形成は完結した状態にある。

クリップボード@月報323号

 公法研究 85 号(2024 年 10 月)

・門田孝「公法解釈とグローバルな法規範の関係<総会報告>」1頁以下

・鈴木秀美「公法解釈とソフトローの包摂・競合-情報法を中心として<総会報告>」45 頁以下

・神橋一彦「公法解釈と自律的法規範<総会報告>」66 頁以下

・三宅雄彦「憲法解釈と裁量<部会報告>」114 頁以下

・赤坂幸一「自律的規範と公法学―知識形成の公法的規律<部会報告>」171 頁以下

・上田健介/平地秀哉/三宅雄彦「学会展望 憲法」245 頁以下


中村史郎、鈴木秀美、たかまつなな、佐川博之「研究座談会1 新聞は生き残れるか」

(第 77 回新聞大会 in 秋田)秋田魁新報 2024 年 10 月 17 日 16-17 頁


法学教室 531 号(2024 年 11 月)

・高田篤「日本国憲法の制定――日独比較を通じての分析」


法学セミナー839 号(2024 年 11 月)

・片桐直人「代理投票における投票補助者の選出と投票の秘密[判例解説編]」62 頁


法律時報 96 巻 13 号(2024 年 11 月)

・江島晶子・山元 一・巻 美矢紀・村西良太・栗島智明「学界回顧 憲法」


自治研究 100 巻 11 号(2024 年 11 月)

・武市周作「「【ドイツ憲法判例研究〔281〕】宿泊税決定[2022.3.22 連邦憲法裁判所第一法廷]」152 頁


山本龍彦監修・石井由梨佳編『講座 情報法の未来をひらく:AI 時代の新論点 第7巻 安全保障』

・山田哲史「第2章 デジタル技術の浸透と国家監視」36-67 頁

2024年10月31日木曜日

第310回研究会

• 日時:2024 年 11 月 2 日(土)14 時~17 時

• 会場:慶應義塾大学三田キャンパス南校舎(2階)425 教室

• 報告者:中西優美子(一橋大学)

• 報告判例:2022 年 12 月 6 日の第 2 法廷判決(BVerfGE 164, 193; 2 BvR 547/21, 2 BvR 798/21 - EUWiederaufbaufonds - NGEU)

https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2022/12/rs20221206_2bvr054721.html

• 判決要旨:

1.基本法 20 条 1 項及び 20 条並びに 79 条 3 項と結びついた 38 条 1 項の基本権に相当する権利の違反

に基づく固有財源決定批准法に対する憲法異議の許容性を認めることは、民主的自己決定の権利が無意味なものとなってしまわないように保証している。

2.基本法の観点からは固有財源決定批准法に含まれる 2020 年固有財源決定へのドイツ連邦共和国の同意に決定的な異議を唱えることはできない。2020 年固有財源決定が欧州連合自体による借入の授権を規定しており、その手段はもっぱら欧州連合に付与された個別授権に対応する目的のために使用され、その借入は期間と金額が制限されており、その他の収入の総計は固有財源額を超えるものではないため、2020 年固有財源決定は、いずれにせよ現行の欧州連合の統合プログラムから明白に逸脱するものではい。


クリップボード@月報322号

 ・福山宏・出入国管理法令研究会編『第2版 外国人の入国・在留資格案内 実務のポイントと立証資料』

(日本加除出版、2024)

石塚壮太郎編『プラットフォームと権力』(慶應義塾大学出版会、2024 年 9 月)

・石塚壮太郎「憲法の名宛人」

・カイザー、ライリング(藤田蘭丸、玉蟲由樹訳)「ソーシャルメディアによる意見フィルター」

・ブーフハイム(村山美樹訳)「DSA の欧州委員会草案について」

・クレンケ(太田航平訳)「コミュニケーション・プラットフォームへの透明性要請」

・栗島智明「コラム:DSA のポテンシャル」

・神橋一彦「憲法上の法律関係と確認訴訟 ―在外国民審査権訴訟などを契機として」立教法学 111 号(原田一明教授定年記念号、2024)123 頁

・神橋一彦「公法解釈と自律的法規範」公法研究 85 号(2024)66 頁

・神橋一彦「判例批評 健康保険組合が被保険者に対して行うその親族等が健康保険法(平成 24 年法律第62 号による改正前のもの)3 条 7 項各号所定の被扶養者に該当しない旨の通知は、健康保険法 189 条 1項所定の被保険者の資格に関する処分に該当するか。 令和 4 年 12 月 13 日最高裁第三小法廷判決民集76 巻 7 号 1872 頁 」民商法雑誌 161 巻 1 号(2024)109 頁

法学セミナー838 号

・平良小百合「人間の感情の機微に向き合う―芥川龍之介『羅生門・鼻』」

2024年10月2日水曜日

第309回研究会

 • 日時:2024 年 10 月 11 日(金)18 時~20 時

• 会場:明治大学グローバルフロント3階 N403

※明大通りに面しているリバティータワー、アカデミーコモンではありません。

〒101-8301 東京都千代田区神田駿河台 1-1

*JR 中央線・総武線:御茶ノ水駅下車徒歩約 3 分/東京メトロ丸ノ内線:御茶ノ水駅下車徒歩約 3 分

東京メトロ千代田線:新御茶ノ水駅下車徒歩約 5 分

都営地下鉄三田線・新宿線・東京メトロ半蔵門線:神保町駅下車徒歩約 5 分

アクセスマップ:https://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/suruga/access.html

• 報告者:松村好恵(茨城大学)

• 報告判例:2023 年 2 月 1 日の第 1 法廷決定(BVerfGE 166, 1: 1 BvL 7/18 - Kinderehe)

https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2023/02/ls20230201_1bvl00071

8.html

• 決定要旨:

1.基本法 6 条 1 項の意味おける婚姻は、法的拘束力があり、原則として永続的であり、自由な決定に基づき、平等および自律的に形成されている生活共同体であり、その生活共同体は定式化され、外部から認識可能な行為によって成立するものであり、特別な方法において相互の扶養義務(Einstandspflflichte)と同時に現れる。

外国法により結ばれた婚姻の性質を有する生活共同体が、憲法上の構造原理(Strukturprinzipien)に反する場合には、何の問題もなく基本法 6 条 1 項の保護領域に含まれるわけではない。

2.婚姻の自由は、憲法上保護される生活共同体を婚姻として法的に定義および区別する法的規定を必要とし、許容する。

そのような諸規定は、構造原理に一致し、比例性の要件を満たさなければならない。

3.立法者は、憲法の意味で婚姻という制度を定める構造原理を保障するために、婚姻障害を設けることが許される。

これに関して、例えば、婚姻締結のための最低年齢制限という形で、両婚姻締結者の自律的な決定を保護する婚姻能力に関する諸要件が含まれる可能性がある。


クリップボード@月報321号

 高橋和之・長谷部恭男編『芦部憲法学──軌跡と今日的課題』(岩波書店、2024)所収の以下の論文

・林知更「「政治」の現れる場所──芦󠄀部信喜の憲法制定権力論をめぐって」

・石川健治「公共の福祉」

・井上典之「基本権の制約を正当化する法理──違憲審査基準論か構造化された比例原則か」

・渡辺康行「包括的基本権論──論争における芦󠄀部信喜の位置」

・毛利透「「明白かつ現在の危険」基準──芦󠄀部の考察がインターネット時代にもちうる意味」

・笹田栄司「裁判を受ける権利──訴訟と非訟の区分をめぐって」

・赤坂幸一「憲法 62 条の憲政史──国政調査権の過去・現在・未来」

・高橋雅人「「議会政」と専門家の関与」

ジュリスト 1602 号

・中西優美子「EU の気候変動対策と法」

・石塚壮太郎「ドイツ―無人ミニスーパーは閉店法の適用対象か」

法学教室 528 号

・高田篤「憲法の基本原理から見る統治〔第 6 回〕国民主権・民主制(2)」

法学教室 529 号

・高田篤「憲法の基本原理から見る統治〔第 7 回〕大日本帝国憲法――成立,展開,崩壊

法学セミナー837 号

・松本和彦「FOCUS 憲法Ⅴ【第 3 回】ヘイトスピーチ条例の合憲性をめぐる事例分析[判例解説編]

―大阪市ヘイトスピーチ対処条例事件」

・石塚壮太郎「最新裁判例研究 憲法(最二小判令和 5・12・15 LEX/DB:25573213)

自治研究 100 巻 9 号

・辛嶋了憲「監護要件としての麻疹予防接種証明決定」

自治研究 100 巻 10 号

・宮村教平「第二次政治財団助成判決」

2024年8月29日木曜日

第308回研究会

 • 日時:2024 年 9 月 7 日(土)14 時~17 時

• 会場:慶応大学三田キャンパス南校舎 6 階 463 教室

キャンパスマップはこちら:https://www.keio.ac.jp/ja/maps/mita.html

※南校舎は正門から入ってすぐの校舎です。

• 報告者:小西葉子(関西学院大学)

• 報告判例:2023 年 10 月 31 日の第2法廷判決(2 BvR 900/22 - Wiederaufnahme des Strafverfahrens)https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2023/10/rs20231031_2bvr09002

2.html

• 判決要旨:

1.基本法 103 条 3 項の基本権同等の権利は、単なる多重刑罰の禁止ではなく、無罪判決を受けた者と同様に有罪判決を受けた者を保護する多重訴追の禁止を含む。

2.刑事手続の再審を通じ、新たな刑事訴追のための法律上の前提条件をつくる場合、[基本法 103 条 3項の多重訴追の禁止の]効果は、立法者にも及ぶ。

3.基本法 103 条に規定された多重訴追の禁止は、実体的正義よりも法的安定性に有利に働く優先決定(Vorrangentscheidung)に向けられている。この優先決定は、憲法上の地位にある他の法的利益との均衡を通じた禁止の相対化には開かれていないので、その結果、立法者にはこの限りにおいて、再審法の形成に際して[立法の]形成裁量が認められるべきではない。

4.基本法 103 条 3 項は、確定した決定(rechtskräftige Entscheidungen)における信頼保護の、狭く限定された個別形成のみを含む。同一の行為のために、既にドイツの裁判所を通じて確定した刑事判決が下された場合、同条項は、一般刑法に基づく新たな刑事訴追の前にのみ、個人を保護する。

5. この限定的な保護内容の枠組みにおいて、基本法 103 条 3 項は、基本権の享有主体の不利益となる刑事手続の再審を一般的に禁止しないが、いかなる場合でも、新たな事実又は立証方法に基づく再審は禁止する。

6. 無罪判決を受けた者は、無罪判決の既判力が、既判力の開始時点で有効な法的状況に基づいてのみ破棄され得るということを信頼することができる。ne bis in idem の原則は、無罪の刑事判決における保護の権威(Schutzwürdigkeit)を尊重し、基本法 103 条 3 項は、この信頼保護に憲法上の地位を与える。

※9 月の報告は、当初 2 つの予定でしたが、新井会員の報告が来年 1 月に延期されました。

9 月は小西会員の報告のみとなります。そのため、開始時間は通常どおり 14 時となります。

クリップボード@月報320号

 ・福山宏『<和英対訳>10訂版 外国人のための入国・在留手続の手引』(日本加除出版、2024)

・山元一・吉田徹・曽我部真裕・栗島智明『憲法学と憲法学者の〈アフター・リベラル〉-戦後憲法学

の「これまで」と「これから」を語る』(弘文堂、2024)

自治研究 100 巻 6 号(2024)

・岡田健一郎「ドイツ憲法判例研究〔276〕警察による端末通信傍受と IT 基本権に関する保護義務との

立法による調整のあり方――IT セキュリティ脆弱性決定」

自治研究 100 巻 7 号(2024)

・石塚壮太郎「庇護申請者に対する社会扶助における特別需要等級の違憲性-特別需要等級決定」

自治研究 100 巻 8 号(2024)

・岡田俊幸「ドイツ憲法判例研究〔278〕制約類似の事前効と州の気候保護法」141-147 頁

・鈴木秀美「取材源秘匿権 明文規定を」朝日新聞 2024 年 7 月 5 日朝刊 11 面「耕論 報道の自由 守

るには」(聞き手:豊秀一)

2024年7月3日水曜日

第307回研究会

 日時:2024 年 7 月 6 日(土)14 時~17 時

• 会場:慶應義塾大学三田キャンパス南館 2B15 教室(地下 1 階)

キャンパスマップはこちら:https://www.keio.ac.jp/ja/maps/mita.html

*南館はキャンパスマップ2番の建物です。正門正面の南校舎ではありませんのでご注意ください。

• 報告者:山中倫太郎(防衛大学校)

• 報告判例:2022 年 10 月 26 日の第 2 法廷決定(BVerfGE 163, 298; 2 BvE 3/15, 2 BvE 7/15 - Militäroperation

"EUNAVFOR MED Operation SOPHIA")

https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2022/10/es20221026_2bve000315.ht

ml;jsessionid=3B1A950B9B61795F93EDD92C77E90244.internet012

• 決定要旨:

1. 基本法 23 条 2 項 2 文に従って連邦議会に包括的かつなるべく早く報告する、連邦政府の義務は、共通外交安全保障政策(GASP)及び共通安全保障防衛政策(GSVP)にも及ぶ。

2. 報告の相手方は、全体としての連邦議会である。これに伝えられた情報を効果的な議会の意思形成へと導くのは、まず第一に、連邦議会自身の任務である。

3. 秘密保護の規制に服する連邦議会の情報は、基本法 23 条 2 項 2 文の要請に適さない。というのは、議会の情報は、同時に、民主制原理に基礎を置く、議会の公開性の原則に資するからである。

4. 基本法 23 条 2 項 2 文による、連邦議会の報告義務の限界は、執行府の固有責任の中核又は国家の繁栄から明らかになりうる。秘密保持の必要性は、ドイツ連邦議会に対する連邦政府の報告義務に原則的に反しない。連邦政府がその情報提供義務の全部又は一部を上記の限界のゆえに履行するつもりがないならば、連邦政府は、ドイツ連邦議会に対してその義務を援用し、そのための理由を説明しなければならない。


クリップボード@月報319号

 法学セミナー834 号(2024)

・神橋一彦・櫻井智章・鵜澤 剛・栗島智明「憲法と行政法の交差点【最終回・第 28 回】[座談会]連載

を振り返って(下)」

ジュリスト 1599 号(2024)

・山本真敬「ドイツ―大麻との「統制された関わり」の解禁」

法律時報 96 巻 6 号(2024)

・村西良太「行政法学のリ・デザイン——二元的思考を超えて・9-2 法律と委任立法のはざま(下)」

法律時報 96 巻 8 号(2024)

・赤坂幸一「幻の創文社版『憲法綱要』とその批判的検討・17 統治のアナロジー——「身体」を通じ

た「演出」

自治研究 100 巻 7 号(2024)

・石塚壮太郎「庇護申請者に対する社会扶助における特別需要等級の違憲性-特別需要等級決定」


2024年5月26日日曜日

第306回研究会

• 日時:2024 年 6 月 1 日(土)14 時~17 時

• 会場:日本大学法学部 141 講堂(本館4階)

• 報告者:武市周作(中央大学)

• 報告判例:2022 年 3 月 22 日の第1法廷決定(BVerfGE 161,1: 1 BvR 2868/15 - Übernachtungsteuer)

https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2022/03/rs20220322_1bvr28681

5.html;jsessionid=78E71BDC9D4444914448AC86EE0B4C28.internet001

• 決定要旨:

1. 支出税(Aufwandsteuer)(基本法 105 条 2 項 1 文)の対象は、個人の生活需要のための所得の消費である。支出(Aufwand)は、外部から認識可能な消費であり、そのために資金が用いられ、一般的に経済的担税力(Leistungsfähigkeit)の表れであり指標であるとみなされるが、この消費がどのような手段でなされ、どのような目的で使われるかは、詳細なところまでは問題とならない(BVerfGE 65, 325<347>; 114, 316 <334>の確認)。支出税を課すことを控えるという憲法上の義務は、基本法 105 条 2 項1 文の権限規範(Zuständigkeitsnorm)から生じるのではなく、せいぜい基本権から導かれるものである。したがって、ビジネス目的の宿泊も支出税の対象となりうる。

2.a) 基本法 105 条2a 項 1 文にある同種性の禁止(Gleichartigkeitsverbot)は、州が地域的な消費税(Verbrauchsteuer)及び支出税に対する課税権(Steuererfindungsrecht)を制限する。同種性の判断は、一方では支出税、他方では同種の連邦税の具体的な構造を総合的に考慮することによる。このことは、州や地方公共団体(Kommune)の課税権に広範な遮断効(Sperrwirkung)をもたらすものではない。

b) 宿泊施設(Beherbergungsbetrieben)での有料の宿泊に対する税は、売上税(Umsatzsteuer)のようにすべての費用に均等に課税されるものではないし、連邦政府が既に特別な課税の対象としている税源から徴収されるものでもないので、連邦法で規律する租税とは同種のものではない。

3. 立法者は、ビジネス目的の宿泊を支出税の課税から除外することはできるが、その必要はない。

クリップボード@月報318号


初宿正典訳『ドイツ連邦共和国基本法(第 2 版)』(信山社、2024)

岩間昭道「憲法改正問題について」千葉大学法学論集 38 巻 4 号(2024)


法学セミナー833 号(2024)

・柴田尭史「憲法へようこそ PartⅢ【Unit3】自分たちのことは自分たちで決めよう!―民主制と選挙」

・神橋一彦・櫻井智章・鵜澤 剛・栗島智明「憲法と行政法の交差点【第 27 回】[座談会]連載を振り返

って(上)」


EU 法研究 15 号(2024)

・中西優美子「航空分野における EU 排出量取引制度(EU-ETS)」

・石村修「ヨーロッパにおける COVID-19、ドイツを中心として」


自治研究 100 巻 5 号(2024)

・原島啓之「ドイツ憲法判例研究〔275〕自動車競走の禁止と刑罰規定の明確性」

2024年5月11日土曜日

第305回研究会中止のお知らせ

 5月11日(土)に予定しておりました研究会は、報告者が体調不良のため、中止致します。

直前のご連絡となりますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

2024年5月7日火曜日

クリップボード@月報317号

・栗城壽夫『17・18 世紀のドイツ憲法学』(尚学社、2024 年)

・門田美貴『集会の自由と「場」への権利』(尚学社、2024 年)

・中西優美子『EU 基本権の体系』(法律文化社、2024 年)

・小西葉子・新井貴大・水野陽一「ドイツ:議会法による法整備・比例原則」山本龍彦ほか(編)『個人デ

ータ保護のグローバル・マップ』(弘文堂、2024 年)

法学教室 523 号(2024 年)

・高田篤「憲法の基本原理から見る統治〔第 1 回・新連載〕新連載にあたって」「憲法の見方」

法学教室 524 号(2024 年)

・高田篤「憲法の基本原理から見る統治〔第 2 回〕憲法」と「立憲主義」(1)」

法学セミナー832 号(2024 年)

・柴田憲司「渋谷はハロウィーン会場なのか否か―憲法上の自由と給付」

・植松健一「議席ローテーションと国会議員の地位・選挙・任期」

・宮村教平「憲法へようこそ PartⅢ【Unit2】看板の不自由―表現の自由と景観保護」

・神橋一彦「憲法と行政法の交差点【第 26 回】行政法と憲法原理―「法律による行政の原理」とその周

辺」

ジュリスト 1595 号(2024 年)

・石塚壮太郎「ドイツ―Schufa によるクレジットスコアリングは制限されるか」

法律時報 96 巻 4 号(2024 年)

・小山剛「妊娠中絶とリプロダクティブ・ヘルス/ライツ——ドイツの憲法論を中心に」

・嶋崎健太郎「未出生の生命の憲法上の地位をめぐって——ドイツの場合」

・高田篤「「主権」論、「直接民主主義」論と樋口『憲法』におけるその展開可能性」

法律時報 96 巻 5 号(2024 年)

・小西葉子「国家の情報収集に関わる外国人の通信の秘密と DPF 規制」

・小山剛「海外渡航の自由と旅券発給拒否——ドイツ法からの示唆」

・村西良太「行政法学のリ・デザイン——二元的思考を超えて・9-1 法律と委任立法のはざま(上)」

6

自治研究 1202 号(2024 年)

・阿部泰隆「僕の研究人生を支えた自治研究」

・中西優美子「EU 個人データ保護規則(GDPR)と国内競争当局の権限と義務」

・平良小百合「ドイツ憲法判例研究〔274〕機関関係制度前の超過支出」

第305回研究会

• 日時:2024 年 5 月 11 日(土)14 時~17 時 

• 会場: 日本大学法学部 141 講堂(本館4階) 

• 報告者:菅沼博子(山梨大学)

 • 報告判例:2021 年 6 月 8 日の第2法廷決定(BVerfGE 158, 131; 2 BvR 1866/17, 2 BvR 1314/18 - Zwangsbehandlung im Maßregelvollzug) https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2021/06/rs20210608_2bvr18661 7.html;jsessionid=C0B572B7BAC6EE13A9664DFD13122E74.internet971 

• 決定要旨: 1.拘束される本人に対する基本法 2 条 2 項 1 文及び同 2 文に基づく国家の保護義務は、当該被拘束者 が事前指示書によって意思能力を有する状態で強制治療を拒否した場合には、当該治療を正当化する ことはできない。 2.一般的人格権に基づく個人の自己決定の優位は、本人が自由な意思に基づき、その範囲を認識した上 で決定したことを前提とする。本人の宣言は、それが十分に具体的であり、かつ、具体的な治療環境 や生活環境がその範囲に含まれているかという観点に基づいて解釈されなければならない。 3.このことは、保安処分の執行施設において当該被拘束者と接触する他者の基本権を保護する国家の 義務とは関係がない。患者の自律的な意思決定は、患者自身の権利にのみ及ぶ。他者の権利は患者の 自由になるものではない。 4.立法者が、他者を危険にさらす人物に対する強制治療の措置を規定する場合、厳格な比例原則に拘束 される。厳格な実体的・手続的要請は、影響を被る自由権が絶対に必要な以上に侵害されることのな いよう保障しなければならない。

2024年4月6日土曜日

第304回研究会

 日時:2024 年 4 月 6 日(土)14 時~17 時

• 会場: 慶應義塾大学三田キャンパス南校舎 2 階 421 教室

• キャンパスマップはこちら:https://www.keio.ac.jp/ja/maps/mita.html

※南校舎は 3 月の研究会会場(南館)とは異なる建物ですので、ご注意ください。

• 報告者:宮村教平(佛教大学)

• 報告判例:2023 年 2 月 22 日の第2法廷判決(2 BvE 3/19- Finanzierung Desiderius-Erasmus-Stiftung)

https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2023/02/es20230222_2bve000319.html

• 判決要旨:

1.基本法第 21 条第 1 項第 1 文に基づく政党の機会の均等の権利に対する介入は、国家行為についての正統性が憲法から直接に導出されない場合には、法律の根拠を必要とする。

2.国家による給付が、機会の均等のもとで政党が政治競争に参加することに多大な影響を与える場合に、その給付のための特別の法律の規律が必要であることは、予算法律の制定をもってしても充たされない。

3.政党に近い関係にある財団に対する現在の国家助成は、政治的意思形成に著しく影響を与え、それゆえに、政党の機会の均等の原則に照らして評価されなければならない。


クリップボード@月報316号

斎藤孝『「憲法上の権利」の体系』(中央大学出版部、2024 年 3 月)

吉岡万季「新・判例解説 Watch ◆ 憲法 No.227 身体障害等級 4 級の者に郵便等投票制度の利用を認めていない公選法等の規定と 障害者の選挙権」TKCローライブラリー文献番号z18817009-00-012272428

ミヒャエル・シュトライス福岡安都子訳『ドイツ公法史入門』(勁草書房、2023 年)自治研究 100 巻 3 号(2024)

ヨハネス・ブーフハイム 栗島智明訳「行政法におけるアクチオ的思考(下)」法学セミナー831 号(2024 年)

片桐直人「憲法へようこそ PartⅢ【Unit1】逢いたくなったときに君はここにいない」

石塚壮太郎「最新裁判例研究◇憲法 同性パートナーへの犯罪被害者給付金不支給事件」

2024年2月24日土曜日

第303回研究会

日時:2024年3月2日(土)13時~18時 *2つ報告があります。開始・終了時間にご注意ください。

会場:慶應義塾大学三田キャンパス南館(地下2階)2B15教室

キャンパスマップはこちら:https://www.keio.ac.jp/ja/maps/mita.html

*南館はキャンパスマップ2番の建物です。正門正面の南校舎ではありませんのでご注意ください。 

 

報告者①:土屋武(中央大学) 13時~15時20分(予定)

報告判例①:2022年6月15日の第2法廷判決(BVerfGE 162, 207; 2 BvE 4/20, 2 BvE 5/20 - Äußerung der Bundeskanzlerin zur Ministerpräsidentenwahl in Thüringen

https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2022/06/es20220615_2bve000420.html

判決要旨:

  1. 連邦首相について、職務上の行為と職務に関わらない政治競争への関与を区別する基準は、その他の内閣構成員と同一である。
  2. 連邦政府内の権限秩序から、たしかに――その他の内閣構成員と比較して――連邦首相の発言権の対象はより広いが、そこから中立性および客観性の要請に関して別の要求が生じるものではない。
  3. 不平等取扱いを正当化し、連邦政府に政党の機会均等への介入権限を与える根拠は、憲法によって正当化され、政党の機会均等原則と釣り合いをとることのできる重要性を持つものでなければならない。
  4. 政党の機会均等と等価な憲法上の法益として、連邦政府の安定性および行為能力の保護ならびに国際コミュニティにおけるドイツ連邦共和国の信用性に対する信頼が考慮される。
  5. 連邦首相には、連邦政府の安定性と活動能力の維持のためにどのような措置が必要かという問題につき、外交領域の場合と同じく広い評価余地が認められる。政党の機会均等の原則に介入する場合、そのような介入を正当化する憲法上の法益が事実として不利益的影響を受け、基本法21条1項1文の政党の機会均等の権利への介入を必要としたことが説得的に説明されるか、その他のかたちで明らかにされなければならない。


報告者②:辛嶋了憲(広島大学) 15時30分~18時(予定)

報告判例②:2022年7月21日の第1法廷決定(BVerfGE 162, 378-454, BVerfG, Beschluss des Ersten Senats vom 21. Juli 2022 - 1 BvR 469/20)

https://www.bverfg.de/e/rs20220721_1bvr046920.html

決定要旨:

  1. 親の権利(基本法6条2項第1文)は、国家との関係における自由権である。国家は親の養育の権利(Erziehungsrecht)を正当化の根拠なく介入してはならない。他方、子との関係においては、子の福祉が親の養育(Pflege und Erziehung)の重要な基準を形成する。
  2. 成長段階故に未だ自己決定できない子どもの場合の予防接種実施に関する判断は、親の健康監護(Gesundheitssorge)の重要な要素の一つであり、基本法6条2項第1文の保護領域に含まれる。しかし、子の福祉に向けなければならない子への健康監護の実行の場合には、以下の場合――すなわち、親が自らの身体的不可侵性(Integrität)に関する自己決定権に基づき医学上合理性のある水準に反する場合――と比べると、医学水準に反する親の自由の程度は低い。
  3. 基本法6条2項第1文は基本法19条1項第2文の挙示義務(Zitergebot)に含まれない。

クリップボード@月報第315号

黒木忠正著/福山宏改訂編著『3訂版 はじめての入管法』(日本加除出版、2024年2月)


入井凡乃「立法者の事後的是正義務の法的構造——ドイツの判例・学説を中心に」法学政治学論究139号(2023年)


山田哲史「法廷での被告人の主張に対する処罰と表現の自由──ミルイェヴィッチ判決」人権判例報〔小畑郁・江島晶子 責任編集〕7号(2023年12月)77-83頁


山田哲史「『人権訴訟』への取り組み方──国際人権法・憲法・行政法をいかに用いるか」判例時報2576号(2024年)


自治研究100巻2号(2024年)

初宿正典「日本におけるライプホルツ研究について」

阿部泰隆「行政権と司法権の癒着、裁判の公正を害する三権分立違反の腐敗(2・完)——判検交流・裁判官の中央行政委員会委員就任・裁判官の公証人就任・租税調査官を廃止せよ」

棟久敬「【ドイツ憲法判例研究〔273〕】連邦緊急ブレーキ決定II——学校閉鎖」

法学セミナー830号(2024年)

栗島智明「憲法と行政法の交差点【第24回】立法国賠訴訟における実体的な憲法判断の先行――付随的違憲審査制の黄昏?」

木下智史=松本和彦村西良太片桐直人=伊藤建「FOCUS憲法Ⅳ【最終回・第10回】[座談会]判決の射程の評価と学説の判例への向き合い方 (2)」

メディア法研究2号〔鈴木秀美 責任編集〕(2024年1月) 

鈴木秀美「ドイツにおけるヘイトスピーチ規制の現在——2021年のヘイト扇動的侮辱罪(刑法192a条)の新設を中心に」27-47頁

石塚壮太郎「メルケル首相によるAfD批判と『戦う民主主義』——メルケル判決」173-179頁